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レッドハット、テレコム分野向けミドルウェアの取り組みを説明


Red Hatのテレコミュニケーション担当マーケティングディレクター、トム・ワンダリック氏

レッドハットのマーケティング&パートナービジネス統括本部長、纐纈昌嗣氏
 レッドハット株式会社は11月30日、テレコム市場向けソリューションの説明会を開催した。

 Red HatはLinux OSのディストリビュータとしては広く知られているが、2006年にはWebアプリケーションサーバーなどを提供しているJBossを買収。また6月にはオープンソースのVoIPプラットフォームを手がけるMobicentsを買収するなど、エンタープライズ市場におけるミドルウェアの分野にもビジネスを拡大しようとしている。

 Mobicentsの製品も、自社のテレコム向けアプリケーション基盤「JBoss Communications Platform」に組み入れられているが、Red Hatのテレコミュニケーション担当マーケティングディレクター、トム・ワンダリック氏によれば、その特徴は3つ。1つ目は、統合されたJ2EEとJSLEEの環境を持つこと。これによって、J2EEを補完した、音声、ビデオ、IM(インスタントメッセージング)、データなどすべてを集約した次世代の通信アプリケーションが作成できるという。この技術は、時にはSIPサーブレットと比較されるものであるが、ワンダリック氏は「SIPサーブレットはSIPだけをサポートするが、大半の事業者はSIP以外も必要とするし、堅牢性や管理性などでも差がある」と述べ、JSLEE側の優位性を強調した。

 また2つ目のメリットとして、他システムとのAPI連携をサポートすることを挙げたほか、ネットワークを抽象化できるという3つ目のメリットを説明。リソースアダプタを使用することにより、さまざまな環境とのやりとりをミドルウェア側が行ってくれるため、「特定のネットワークに縛られないアプリケーション開発が可能になる」と話した。

 こうしたテレコム市場向けのアプリケーションは、もちろんほかにも存在するが、Red Hat製品は、同社のOSがそうであるようにオープンソースソフトウェア(OSS)であるという特徴を持つ。ワンダリック氏は、通信事業者やネットワークハードウェアベンダーと連携し、活発なコミュニティ活動が行われている点を強調。またOSSならではの低コストもアピールできる点とのことで、「競合製品の80%の機能ではあるが、次世代アプリケーションの構築に必要な機能は100%カバーしており、しかもコストは20%で提供できる。差別化部分はここだ」(ワンダリック氏)とした。

 さらに、Mobicents時代からの数多くの導入実績があることも強調できるという。VodafoneやPortugal Telecomなどの通信事業者をはじめ、モバイルビデオを提供するD2SEE、WiFiと携帯電話を活用したソリューションを提供するFirstHandTech.comといった事業者にまで広く採用されている状況を説明したワンダリック氏は、「通信事業者は実証済みのもののみを導入したいと要望するのが普通だが、すでに実績が多くある」と述べた。

 一方国内でも、「通信事業者が非常に強い興味を示している」(レッドハットのマーケティング&パートナービジネス統括本部長、纐纈昌嗣氏)という。纐纈氏は、「OSSで提供することで、安く高機能なものを届けられる。NGNの技術評価や開発をしている大きなタイミングで紹介できるのはチャンスだ」と述べ、今後の展開に期待を示した。なお国内では、北米や欧州と異なって通信系のISVが少ないため、キャリアやネットワーク機器プロバイダなどを主な顧客として狙っていく考えである。



URL
  レッドハット株式会社
  http://www.jp.redhat.com/


( 石井 一志 )
2007/11/30 18:38

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