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「携帯端末管理市場は第2世代へ、戦略的なツールに進化」-イノパス


米InnoPath マーケティング&プロダクト担当副社長のデイビッド・ギンズバーグ氏

イノパスのシステムアーキテクチャ
 携帯端末管理(以下、MDM)のソリューションベンダーであるイノパスソフトウェア株式会社(以下、イノパス)は12月4日、MDMに関するプレス向け説明会を開催した。説明会では、米InnoPath マーケティング&プロダクト担当副社長のデイビッド・ギンズバーグ氏によるプレゼンテーションが行われ、MDM市場の現状、同社の今後の企業戦略などが説明された。

 まず、ギンズバーグ氏は同社のこれまでの事業展開について、「当社は2002年に最初の携帯端末向けファームウェアをNEC、松下といった日本の企業に導入、2003年にFOTA(ファームウェア更新)をシャープに世界初導入した。そして、2004年にOMA規格をサポート、2005年にはOpenwaveを買収、2007年は戦略的iMDMソリューションに重点を置いて全世界で事業展開しており、グローバル企業として成長を続けている」と説明した。

 MDMが求められている市場背景としては、「携帯端末の複雑化が進むのに伴い、利用者に対するオペレータのトラブルシューティングも難しくなっている。そのため、自動的なサポートを無線で、無料で提供しなければならない時代になってきた」と指摘。「このニーズに対応するのがMDMであり、その市場は、従来までの設定管理、FOTAといった基本的な機能を提供する第1世代のMDMから、統合プラットフォームとアプリケーションによる高度な携帯インフラを実現する第2世代のMDMへと入りつつある。この動きは全世界で同時に起こっているのではなく、地域ごとに段階的に導入が進んでおり、特に進歩しているのが日本、韓国、北米。その他の地域は過渡期である」とMDM市場の現状を分析した。

 こうした市場動向の中、同社では高機能な統合型MDMサーバーおよびクライアントスイートを製品展開しており、消費者および企業に向けて、FOTAや構成設定といった基本機能を始め、アンチウイルス、ファイアウォール、ロック&消去、バックアップ&復旧などを含めたセキュリティ機能、ライフサイクルソフトウェア管理機能、UIカスタマイズ機能などを提供している。特にUIカスタマイズ機能については、KDDIおよび沖縄セルラー電話にUIマネージャーソリューションとして提供した実績があり、これを基に昨年から提供開始したau加入者向けサービス「EZケータイアレンジ」は、現在、何百万人ものユーザーに利用され、好評を得ているという。


MDMクライアントのロードマップ
 MDMクライアントのロードマップについては、現在、リアルタイムOSに対応し、診断管理やセキュリティ機能を備えたバージョン5.xを提供しているが、2009年に向けて開発中の次期バージョン6.xではオープンOSにも対応し、スマートフォン市場に注力していく考え。

 2008年の同社戦略のキーワードとしては、1)セルフサービスを含む顧客対応のコスト削減、2)消費者および企業向けに単一のMDMで対応、3)簡素化およびOA-DM規格のリーダシップをとることによるMDMへの障壁の排除、の3点を挙げ、「2008年、MDMは通信事業者にとって、いままでの戦術的なものから戦略的なツールへと、全世界的に変わっていくだろう。非常に楽しみな年になる」(ギンズバーグ氏)と期待を寄せた。

 またギンズバーグ氏は、業界標準化への取り組みについても触れ、「複数のベンダーにとって使い勝手のよいソリューションにするためには、互換性が大きなポイントになる。今後、2008年から2009年にかけては、当社がリーダーシップをとって、MDMの診断管理、ソフトウェア管理、ロック&消去分野に関する標準化を積極的に進めていく。業界標準化の進展にともない、MDM搭載携帯端末の市場は大きく成長していくだろう」との見解を示した。



URL
  イノパスソフトウェア株式会社
  http://www.innopath.com/jp/


( 唐沢 正和 )
2007/12/04 17:49

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