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マイクロソフト、Vista SP1 RC版テスト導入を企業へ広く呼びかけ

exFATのサポートやBitLockerの強化点などを説明

Windows本部 プロダクトマネジメント部の中川哲部長

大容量ファイルが扱えるexFATを新たにサポートしている

スマートカードログオン時には、PINコード入力の代わりにバイオメトリクス認証を利用できるという
 マイクロソフト株式会社は12月7日、Windows Vistaと2007 Office systemのService Pack 1(SP1)に関する記者説明会を開催。その中で、Windows Vistaを担当するWindows本部 プロダクトマネジメント部の中川哲部長は、「Vista SP1まで待たなくともVistaは十分使えるOSではあるが、多くの“おいしい”機能も用意されている。ぜひ企業で評価して欲しい」などと呼びかけた。

 Windows Vistaの初めてのサービスパックとなるSP1では、それまでに公開されたセキュリティパッチや新たに提供されるパッチを集積して提供するが、それだけではなく、機能面での改善・追加も多く行われている。例えば、新たなファイルシステム「exFAT」への対応もその1つ。Windows本部 プロダクトマネジメント部の原田英典プロダクトマネージャによれば、4GB以上のファイルが扱えないFAT32と異なり、1ファイルあたり16エクサバイト(エクサバイトはペタバイトの約1000倍)までの取り扱いに対応するほか、書き込み時・削除時の速度が向上するメリットがあるという。

 なおexFATは主としてUSB接続のフラッシュメモリやHDDで利用する技術であり、内蔵HDDには対応しない点、また下位互換性がないため、exFATでフォーマットしたデバイスはSP1未適用のWindows Vistaなどでは利用できない点に注意が必要だ。

 セキュリティ面では、ユーザーがスマートカードログオンをする際のPINコード入力に代えて、バイオメトリクス認証を利用できるようにした。指紋や虹彩(アイリス)、指・手のひら静脈などを認証に用いることで、利便性やセキュリティの向上が期待できるという。また、Vista Enterprise/Ultimateが備えるHDD暗号化機能「BitLocker」においては、OSがインストールされているブートボリューム(通常はCドライブ)の暗号化に加えて、それ以外のボリュームも同時に暗号化できるようにしている。中川氏はこれについて、「従来は、ブートボリューム以外はEFS(暗号化ファイルシステム)を利用して暗号化してください、というメッセージを発信していたが、これによって利便性が増している」と述べた。

 このほかVista SP1では、RDPの通信効率向上も実現した。リモートデスクトップやリモートアシスタントにおいて、画面情報を送信する場合の圧縮率を高められるようにしたため、非公式のテストデータでは、25~60%の通信量削減が確認できたという。この機能は、送信元・送信先PCのプロセッシングパワーを利用して効率を高めているので、非力なPCへの配慮から、設定で利用可否を選択できるようにしている。また現状では、Vista SP1のみでサポートされていることから、Vista SP1同士の通信でないと有効にできない。


インフォメーションワーカービジネス本部 オフィス製品マーケティンググループ、飯島圭一シニアプロダクトマネージャ
 なお中川部長は、パッチの集積やこのような機能追加がなされているVista SP1の価値を説明する一方で、何度も「SP1を適用したからといって互換性がなくなることがないように、最大限の配慮をしてきた」と強調。「自動アップデートを遮断するブロッカーツールも用意し、ポリシー上適用できない顧客にも配慮するものの、“おいしい”機能追加も多くあり、ぜひ使っていただきたいと考えている。適用する、しないの前に、まずは見ていただかないことには話は始まらない。企業ユーザーにはぜひVista SP1を評価して欲しい」と呼びかけた。現状、RC版はMSDNやTechNetなどで限定的に公開されているだけだが、国内でも12月11日ごろには、RC版の一般公開が開始される予定とのことである。

 一方、2007 Office systemのSP1に関する説明は、インフォメーションワーカービジネス本部 オフィス製品マーケティンググループ、飯島圭一シニアプロダクトマネージャが行った。こちらも、リリース済みのセキュリティパッチと、特定の顧客向けに限定リリース済みのパッチ、また新規で提供されるパッチが集積されており、セキュリティ、安定性、パフォーマンスの向上が見込めるという。飯島氏は、具体的な例としてIME 2007の例を取りあげ、辞書の破損問題を修正したりパフォーマンスを向上させたりしているとした。ほかのアプリケーションについても、「当社に報告された個々のアプリケーションのトップ5はすべて修正されている」(飯島氏)とのこと。なお2007 Office system SP1のリリーススケジュールに関しては、今後公開するとしただけで、具体的には言及されなかった。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/

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  ・ 「SP1まで待たなくてもVistaは十分使えます」、マイクロソフト(2007/11/27)


( 石井 一志 )
2007/12/07 15:33

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