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「すべてのフィールドで環境イノベーションを」-富士通の環境への取り組み

一級建築士が主体のCO2削減施策も発表

常務理事 サービスビジネス本部長の阿部孝明氏

GPIによるCO2削減目標
 富士通株式会社は12月10日、顧客の環境負荷低減を支援するプロジェクト「Green Policy Innovation(以下、GPI)」を発表した。同プロジェクトにより、2010年までの4年間で累計700万トン以上のCO2削減をめざす。

 GPIは、富士通の環境問題に対するプロジェクト。内容は、ITインフラそのものによる環境負荷低減と、ITを活用することによる環境負荷低減、大きく2つのアプローチでCO2削減をめざすものとなっている。常務理事 サービスビジネス本部長の阿部孝明氏は、「当社はこれまでにも“すべてをグリーンにします”の合い言葉の下、環境行動コンセプト『Green Policy 21』を推進してきた。GPIはこれをさらに発展させ、いままで粒々に提供してきたグリーンIT関連のソリューションを“すべてのフィールドで環境イノベーションを”というコンセプトでまとめあげたのが特長」と説明した。

 ITインフラそのものによる環境負荷低減では、省電力でコンパクトなIT機器、仮想化技術による省電力運用、それらを活用したデータセンター全体のエネルギー効率向上などを行っていく。具体的には、サーバーブレードで低消費電力CPUやソリッドステートドライブ(SSD)を、オープンサーバーなどで65nmCMOSテクノロジーや変換効率90%超のAC/DCコンバータを採用するなど、サーバー、ストレージ、ネットワークなどあらゆるITインフラにおいて、技術的な側面からCO2削減をめざす。

 IT活用による環境負荷低減では、従来、業務効率の向上のみにフォーカスされてきた各種のITソリューションに、“環境保全”という視点をプラスして、主に人や物の移動にかかる無駄なエネルギー消費を抑えていく。具体的には、全国各地から人や物を輸送して行う人材育成をeラーニング化して無駄を省くソリューションや、輸送車両などに運転状況を詳細に記録できるステーションシステムを搭載し、非効率な運転や無駄なアイドリングを最適化するソリューションなどを、コンサルティングを交えて提供していく。

 これらにより、2010年までに累計700万トン以上のCO2削減をめざす方針。


サーバーブレードにおける今後の省電力化計画 オープンサーバーなどにおける今後の省電力計画 eラーニングシステムで、人や物の無駄な輸送費を削減。ほかにも各種のIT活用ソリューションにて、CO2削減をめざした提案を行う

グリーン・インフラ・ソリューションの狙い

13種類のメニュー内容
 さらにIT活用によるCO2削減の新施策として「グリーン・インフラ・ソリューション」の提供を開始する。これは、建物・マシンルームや電源・空調・照明などの付帯設備群を含めた、IT機器以外のファシリティにおいて、顧客の省電力環境の最適化を図るもの。全国50拠点の富士通データセンターでのノウハウを基に、電力消費量が大きいITファシリティに関して、コンサルティング・設計・構築・運用を支援する13種類のサービスを用意し、顧客の省電力環境をトータルに最適化していく。

 IT機器以外のファシリティを対象とするため、ITと建築の両分野に精通する「富士通一級建築士事務所」が主体となってサービスを提供するのが特長。顧客の設備診断、最適化計画立案、効果測定などのコンサルティングから、実設計、増改築などの工事、ならびにエネルギーモニタリングなどの運用までを、一気通貫で支援する。さらに、12月に開設した現時点で最高設備という「富士通東京第2システムセンター」とも連携して、熱流体シミュレーションによるレイアウト設計、温度モニタリング機能付きの専用ラックなど、省電力に向けたサービスを提供していくという。

 こうした顧客設備の最適化のほか、「自社内設備で最適化を図るのが難しいユーザーには、アウトソーシングサービスも提供する。どちらか最適な方を選択できるほか、電力容量に制限されない柔軟なITシステムの拡張や、予算に応じた段階的な拡張を実現。ユーザーのITファシリティが消費する電力量を最大50%まで低減することを目標とする」(阿部氏)とのこと。

 富士通では、今後3年間に同ソリューションの40社への導入、50億円の受注をめざす。


一級建築士が主体となって電力量を削減した事例 12月に開設した「富士通東京第2システムセンター」も連携。2010年には館林新システムセンターを、2012年には次世代データセンターの開設も予定しているという 各種のソフトウェアも利用して運用の効率化を図る


URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2007/12/10-1.html
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2007/12/10.html


( 川島 弘之 )
2007/12/10 15:57

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