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「ソフトの強みでx86サーバー市場でのプレミアムを獲得する」、日本HP


米HPのISSソフトウェア担当副社長、スコット・ファーランド氏

日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 プロダクトマーケティング部の担当部長、赤井誠氏
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は12月13日、x86サーバー事業に関する説明会を開催。同事業分野における同社製ソフトの優位性を、米Hewlett-Packard(以下、HP) ISSソフトウェア担当副社長のスコット・ファーランド氏と、日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 プロダクトマーケティング部の担当部長、赤井誠氏が解説した。

 ファーランド氏によれば、HPはワールドワイドのx86ラック/タワー型サーバーで、45四半期連続シェアで第1位のシェアを獲得。またブレードサーバーにおいても、ワールドワイドでは45.3%、国内でも33.3%のシェアを獲得しており、いずれも第1位となった。こうした実績を残している理由としては、当然ハードウェア面や価格面での評価もあるだろうが、HPではソフト面での差別化にも力を入れており、「コモディティ化しているx86サーバー市場でのプレミアム」を獲得しているという。

 ファーランド氏は、「ソフトの差別化についてはあまりよく知られていないかもしれないが、HPは世界で5位のソフト会社であり、OSの売り上げも1億2000万ドルを超えている。また(管理ソフトの)Insight Control環境は90%の接続率があり、ほとんどのブレードサーバーがHPマネジメントの傘下に入っている」と、HP全体でのソフト面での状況を紹介した後、具体的な強みを説明した。

 それによると、第1の強みはx86サーバーを利用した、さまざまな仮想化の分野だ。ユーザーの関心がますます高まるこの分野において、仮想化に適したハードウェアを提供するとともに、VMware、Xen Sourceを買収したCitrix、Microsoftなど多数のベンダーと協調。管理性の向上などのメリットを顧客に提供できるようにしている。

 ブレードサーバーにおいても、LAN/SANの設定を一元管理し、ネットワークインターフェイスが持つMACアドレスや、SANで利用するWWNをプールし、必要に応じて割り当てられるようにする仮想化製品「HP バーチャルコネクト」を提供している。今回日本HPでは、これを単一のブレードサーバー筐体に対してから、100台まで対応できるようにした「HP Virtual Connect Enterprise Manager」を、12月13日付けで発表。データセンター全体に、インターフェイスの仮想化を拡張できるようにした。

 さらに、VMware環境に必要な一通りのソフトウェアライセンスをパッケージ化した製品を同時発表。今後は、VMwareなどのハイパーバイザーを内蔵USBポート経由で直接ブートできるようにする仕組みの導入も予定されており、より顧客が仮想化を導入しやすいように支援していく計画である。

 またファーランド氏は、サーバーの仮想化だけでなく、デスクトップ環境の仮想化も顧客の大きな関心事だと指摘。それに対応するためのソリューションとして、サーバー上の仮想環境で何十台何百台ものクライアントOSを動作させ、RDP経由で接続するVirtual Desktop Infrastructure(VDI)を紹介し、そのプラットフォームとしてブレードサーバーを初めとする製品で支援するとした。なお同社ではVDI以外にも、ブレードPCやブレードワークステーションを用いた「HP CCI」、Citrix Presentation Serverなど多数の仮想クライアントソリューションを持っており、ユーザーの必要条件に応じて案内できる体勢を整えている。


PolyServeのソリューションを利用すれば、サイロ化したSQL Serverのシステムを仮想化し、共有データプールとして利用可能。仮想サーバーとの組み合わせにより、全体の運用を効率化できる
 一方ではPolyServeを買収するなど、ストレージ仮想化の取り組みも進めている。PolyServeのソフトを利用すると、x86ハードウェアを利用して、直線的にスループットを拡張できるNASヘッドを構築可能。またSQL Serverを利用する環境において、ストレージプラットフォームを仮想化することができる。「データベース環境においては、サーバーとストレージは1:1のアプローチが普通だったが、PolyServeのソリューションでは、仮想データプールを用いて、全体で1つの仮想ストレージを構築できる」(赤井氏)。なおPolyServeのソリューションは、国内では2008年春ごろに提供できる見込みである。

 仮想化に続く第2の強みは、管理性の高さだという。ProLiant Serverでは、管理コプロセッサを利用したiLO(integrated Lights-Out) 2を利用でき、OSが立ち上がる前でもさまざまな管理機能を利用できるほか、ブレードサーバーには、筐体のすべての情報を管理・監視できる「Onboard Administrator」モジュールを提供し、管理性を高めてきた。またこれらに加えて、Insight Controlソフト製品群により、電力制御までを含めた各種管理機能も提供可能になっている。HPではこれらの取り組みを継続して進め、サーバー性能の最適化を初めとするさまざまな機能を提供していく意向だ。

 最後の第3の強みは、OSベンダーとの広範なパートナーシップを持っていることだという。Windowsを提供するMicrosoftはもちろんのこと、Linuxについても、多くのディストリビュータと協業を重ねており、管理性や電力制御などの面でメリットを享受できるようにしている。さらには、Solarisを擁するSun Microsystemsとも、技術面を含めて関係を強化。各種ツールの提供などにより、ProLiantを安心してOSが使えるプラットフォームとして展開するとしている。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/

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( 石井 一志 )
2007/12/13 18:50

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