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アドビ、「BlazeDS」でFlexのサーバー利用拡大へ

Enterprise RIAのオープンソース戦略を説明

マーケティング本部 エンタープライズ&デベロッパーマーケティング部の小島英輝部長

アドビのRIA技術のアーキテクチャ

アドビのオープンソースへの取り組み
 アドビシステムズ株式会社(以下、アドビ)は12月18日、同社のEnterprise RIA(リッチインターネットアプリケーション)におけるオープンソース戦略に関して、プレス向け説明会を開催した。この説明会は、12月13日(米国時間)に、米本社からEnterprise RIA技術のオープンソースソフトウェア「BlazeDS」が発表されたことを受けて開催されたもの。マーケティング本部 エンタープライズ&デベロッパーマーケティング部の小島英輝部長が、Enterprise RIAおよびオープンソースに関する同社の取り組みを説明した。

 先に発表されたBlazeDSは、これまで「Adobe LiveCycle Data Services ES」の一部として提供されていた、Flashテクノロジーにおけるリモーティングおよびメッセージング技術のソースコードを、LGPL v3に基づきオープンソース化したもの。これにより、通常のバックエンドデータとの接続だけでなく、リアルタイムでのプッシュデータをAdobe FlexやAdobe AIRアプリケーションで利用することが容易となり、よりレスポンスの速いEnterprise RIAの構築が実現する。

 小島部長は、同社のEnterprise RIA戦略における重要な要素として、1)Flexフレームワーク、2)Adobe AIR、3)データコネクティビティ、4)オープンソース戦略、の4点を挙げ、「FlexフレームワークはアドビのRIA戦略の根幹となるフレームワークであり、この利用を加速するのがRIAの機能やパフォーマンスをデスクトップに拡張するAdobe AIRだ。また、RIAの進展とともに、さらに優れたデータコネクティビティ手段が求められており、これに対し当社ではLiveCycle Data Services ESを提供している」と述べた。

 そして、今回のテーマであるオープンソース戦略については、「これまでFlex SDKの一部などで、部分的には取り組んできたが、今回のBlazeDSの提供によって、より多くの開発者やオープンソース団体などに向けてメッセージングやリモーティング機能を公開できた。これによって、Flexフレームワークのサーバーサイドにおけるユーザーベースの拡大とナレッジの進化を図り、フロントだけでなくバックエンドのコネクティビティの部分までFlexフレームワークで開発してもらえる環境を整えていく」と説明した。将来的には、商用のLiveCycle Data ServicesやそのほかのLiveCycle/ColdFusion/Flash Media Serverなどのサーバーソリューションの利用にもつなげていきたい考え。

 コミュニティへの取り組みでは、「まずは、社内のLiveCycle開発チームのエンジニアがコントリビュータとなってコミュニティを展開していくが、順次、パートナーやデベロッパーの方ともコントリビュート契約を行い、外部からのコミュニティ参加者を増やしていきたい」という。


BlazeDSとLiveCycle Data Services ESの機能比較

商用およびオープンソースバージョンのリリース計画
 BlazeDSの特徴としては、FlexとAIRアプリケーションを既存のサーバーロジックに簡単に関連づけられるとともに、高機能なデータ伝送によりアプリケーションの応答性を改善できること、また、標準的なHTTP経由でリアルタイムサーバープッシュを実現することが挙げられる。これによってデベロッパーは、RIAとバックエンドデータとの接続性を強化し、リアルタイムのコラボレーションやデータプッシュ機能を通じて、よりよい意思決定を支援するダッシュボードアプリケーションや、ガイド付きのセルフサービス、ライブヘルプ、パフォーマンス監視といった、より魅力的なユーザー体験を実現するアプリケーションを提供できるようになる。

 なお、エンタープライズ向けのサポートを改善するため、BlazeDSの認定ビルドを利用し、製品としてのソフトウェア保証、アドビのエンタープライズサポートを購入ベースで得ることができるサブスクリプションモデル「Adobe LiveCycle Data Services Community Edition」を提供する予定。

 小島部長は、「BlazeDSは、単にRIA技術をオープンソースとして提供するだけでなく、Enterprise RIAに関連するさまざまな動きを加速していくものだと位置づけている。例えば、リモーティングとメッセージングの導入を簡素化し、IDEとサーバーテクノロジーの間の技術以外のギャップを解消することで、ユーザーコミュニティを拡大できる。さらに、パートナーや団体とのコラボレーションによって、Ruby、PHP、Javaなど、異なるサーバープラットフォーム間で共通した開発エクスペリエンスを実現できる」としている。

 Adobe Flex、Adobe AIR、BlazeDSともに、2008年早々に正式版が発表される予定で、日本語環境への完全対応は2008年中旬となる予定だ。



URL
  アドビシステムズ株式会社
  http://www.adobe.com/jp/

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  ・ 米Adobe、エンタープライズ向けRIA技術を「BlazeDS」としてオープンソース化(2007/12/14)


( 唐沢 正和 )
2007/12/18 18:23

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