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累計受験者が200万人を突破したMicrosoft Office Specialist、その成功の理由とは?


サーバープラットフォームビジネス本部 マイクロソフトラーニング部のシニアマーケティングスペシャリスト、篠木隆一郎氏

現在は5つのMicrosoft Officeアプリケーションについての試験を実施している。Windows Vistaについては、2008年春に開始する予定だ

MCASの試験では、単に知識を問うだけでなく、受験者が正しい操作を行えるかについてもきちんとテストする点が特徴という
 マイクロソフト株式会社は12月20日、Microsoft Officeのアプリケーション利用スキルに関する認定試験「Microsoft Office Specialist」の日本国内での累計受験者数が、200万人を突破したと発表した。今回は、同試験の成功の要因や今後の展望を、同社のサーバープラットフォームビジネス本部 マイクロソフトラーニング部 シニアマーケティングスペシャリスト、篠木隆一郎氏に聞いた。

 Microsoft Office Specialistとは、Microsoft Officeのアプリケーションソフトについての基本知識や操作能力を問う、一般ユーザー向けの認定試験。Word、Excel、PowerPoint、Access、Outlookの各アプリケーションについて試験が用意され、最新の2007 Office systemからは、Microsoft Certified Application Specialist(MCAS)の名称で実施されている。国内で開始されたのは1998年で、累計受験者数は、2000年末で約15万人、2003年末で約92万人、2006年末で約175万人と順調に増加しており、ついに同日付けで200万人に達した。ワールドワイドでの累計受験者数が約450万人なので、その半分近くを日本が占める計算となる。

 篠木氏はその理由について、「日本ではPCスクールの市場が確立されており、さまざまな街にスクールが存在するが、そこを試験会場として利用している。このように、どこでも気楽に受けられる環境を整えている点が大きいのではないか」と説明する。また、「受験者は、20代と30代が全体の71%を占め、さらにそのうちの6~7割が女性。そうした方が自分のスキルを上げるために個人でトライするケースも多く、女性誌などでの『取りたい資格ランキング』でも、常に1位か2位になるなど、大変高く認知されている」と述べた。

 このように個人の受験も盛んに行われている一方で、団体受験が増えていることも成功を収めている要因という。大学では、「就職活動向けに学生に取得を勧めているケースが多いようで、毎年10%程度の伸びを見せている」(篠木氏)状況。これは、企業へ入社後の日常業務において、Microsoft Office製品を使う場合が圧倒的に多いためで、この資格は「履歴書に書ける資格」としての人気が高いようだ。

 もちろん人材受け入れ側となる企業でも、Microsoft Officeの操作を必須の業務スキルとしてとらえているところは多い。そのために、「新卒社員の配属前に長期間社員教育をする企業の場合は、その教育期間中にトレーニングを組み込み、スキル習得の確認として試験を行うケースがよく見られる。逆に、OJT主体の教育を行うところでは、Office製品を使えないと配属先での仕事ができないことから、入社前の取得を課題として出している場合も珍しくない」という。

 また人事部門主導ではなく、IT部門主導での導入もよく見られるとのことで、篠木氏は「社員全体の(ITスキル)底上げの一環として、トレーニングとあわせて社内への展開を図るケースが増えている」と話した。このように、エンドユーザーの技術が上がったかどうかをきちんと確認するためのツールとして、企業内での利用が広がっているというのだ。


 マイクロソフトでも、こうした好調な流れを加速させるべく、ラインアップの強化を予定している。まず、OS操作の知識を問う「Windows Vista for the Business Worker」を2008年春にスタートさせるほか、「今の試験では、例えばExcelはExcelの知識だけを問うているものの、本来のビジネスシーンでは、Excelだけで一日の仕事が完結するわけではない」(篠木氏)との立場から、2008年秋以降には、複数製品にまたがった知識・操作を問うプロフェッショナル資格試験を開始する計画だ。なおこの試験では、サーバー製品も含めた2007 Office system全体を視野に入れており、製品を組み合わせたシナリオベースの試験を実施することによって、より実際のビジネスシーンに沿った実力を認定できるようになるとしている。

 「もともとはMicrosoft Office製品の普及が目的だった試験だが、今では、合格者に喜んでもらえる試験になった上、ExcelやWordといった製品のファンにもなってもらえている。当社の中では唯一、感動していただけるプログラムになっており、そういった期待に応えるためにも、サポートやフォローをきっちりとしていかないといけない」(篠木氏)。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3309


( 石井 一志 )
2007/12/20 16:13

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