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日本オラクル、SOA戦略を加速化するプラットフォーム「AIA」を説明


常務執行役員 製品戦略統括本部長の三澤智光氏

製品戦略統括本部 ディレクターの大本修嗣氏
 日本オラクル株式会社は12月20日、「Application Integration Architecture(以下、AIA)」に関する記者向け説明会を開催。常務執行役員 製品戦略統括本部長の三澤智光氏、製品戦略統括本部 ディレクターの大本修嗣氏らが、AIAの投入によるSOA戦略の強化を説明した。

 SOA自体にはすでに3年ほど前から高い関心が集まっており、日本オラクルでも「Oracle SOA Suite」などの製品を提供し、早くからSOAに取り組んできた。しかし残念ながら、現在でも浸透しきれているとは言いがたい状況で、三澤氏はこの理由について「導入のガイドとなるフレームワークが存在しなかったから」(三澤氏)と指摘する。その上で、現在の開発の主流であるJavaを例にとった三澤氏は、「Javaも裸のままでは使いにくかったが、開発フレームワークが登場することで劇的に普及した」と述べた後、「SOAにとってもそれは同じで、それを支えるフレームワークが存在しないと成功は難しい。AIAは、欠けていたフレームワークを補完できるものだ」と話し、AIAの持つ意味の大きさをアピールした。

 実際に、日本オラクルと同社のパートナーによる共同検証でも、劇的なコスト削減が実証できたとのことで、「従来は、SiebelとOracle EBSを接続する場合、高価なEAIツールを使うか、完全なスクラッチで作るかのどちらかしか手段がなかった。しかしAIAを利用することで、工数を96%、コストを85%削減できた」(三澤氏)という。

 AIAの具体的な製品としては、日本オラクルがあらかじめ定義したシナリオに沿ってOracle Applications同士を接続するビジネスプロセス群「プロセス統合パック(PIP)」を用意。業務モデルの設計やサービス粒度の決定、共通データモデルの設計、業務フローへの落とし込みといった、SOAの実現にあたって顧客やインテグレータがしなくてはならない作業を事前定義して提供することにより、インテグレーション時の負荷を大幅に軽減するという。

 さらに、PIPの中から汎用的な要素だけを抽出してパッケージにした「ファウンデーションパック」を提供し、サードパーティ製やユーザー企業独自のアプリケーションについても、AIAのフレームワークを適用できるようにしている。もちろんこの場合は、アプリケーション固有のビジネスサービスの開発など、PIPと比べてある程度の作り込みは必要になるものの、「SOAを実現するためのリファレンスとして利用することにより、ゼロベースの開発と比較すると大きな差が出る」(大本氏)とのこと。

 現在は、業種特化型を含めて10製品程度のPIPが提供可能な状態になっているほか、DemantraやAgileなどの買収製品との連携や、マスターデータ統合などで利用できるPIPを用意し、年度内にも20~30製品に拡充したい意向。一方ファウンデーションパックは、2008年早々にも提供できる見込みとしている。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/


( 石井 一志 )
2007/12/20 17:32

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