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ブロケードの代表取締役社長、石本龍太郎氏
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2008年度の国内ビジネス戦略
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ブロケードコミュニケーションズシステムズ株式会社(以下、ブロケード)は12月21日、自社の戦略を説明する報道向けのラウンドテーブルを開催。代表取締役社長の石本龍太郎氏が、2007年度(~2007年10月)を振り返るとともに、2008年度の展望を語った。
ブロケードの2007年度には、大きな競合相手であったSANスイッチベンダー米McDATAの統合が完了したことなどもあって、ワールドワイド・国内ともビジネス規模が大きく拡大。前年比で60%を超える成長を達成した。製品面でも、新たにHBA市場へ参入したほか、8Gbps FC製品の投入、データセンターの効率化を支援する「Brocade Data Center Fabricアーキテクチャ(DCF)」の発表などがあり、「これからのブロケードにとって必要なものをほぼ用意した」(石本社長)、大きな1年だったという。
そして「マーケットに反映するのが次の段階」として、2008年度にはこれらの積極的な展開を図るという。具体的には、既存パートナー網を通じたSAN関連の新製品販売を加速させるとともに、ハイタッチの営業を通じて、データセンターファブリックのアドバイザーとしての立場を確立させたい考えで、プロフェッショナルサービスの提供にも力を入れるとした。ブロケードではプロフェッショナルサービスや保守サービスの拡充のために、サポート&サービス分野の組織・人員を増強し、「売り上げの1割をまず目標にする」(石本社長)。
ファイルの観点からデータセンターの効率化を支援するFAN(File Area Network)に関しても、引き続き市場の認知度向上や、販売パートナーの強化を実施していく。この分野では、ファイルアクセスの仮想化を実現する中核製品「StorageX」の、IBM/NetApp製品への対応が発表されており、両社のチャネルを通じたOEM販売が行われるようにもなったほか、ストレージベンダーやネットワーク系のベンダーが相次いでファイル仮想化のベンチャーを買収するなど、市場の関心が高い分野であることは間違いない。事実、国内でも新規のパートナーを開拓したところ、すぐに多数の案件が上がってくるようになったとのことで、今後もパートナーの開拓を進め、販売を拡大したい意向だ。
一方で、サーバー向け機器の分野も推進する。まず、日本で95%以上のシェアを持つというブレードサーバー向け組み込みスイッチの市場にも引き続きフォーカスするとともに、新規参入したHBA分野でもビジネスの拡大を狙う。Brocadeのダン・クレインCTOが、まだまだ市場自体に拡大の余地が多分にあるとコメントしていたように、成長の見込める魅力ある分野であり、またDCFにおけるサーバー側の構成要素としても重要な位置を占めることから、HBAメーカーとしての認知度向上を図りたい考え。製品としても、8Gbps FCや10Gbs FCのHBA投入をすでに表明しているほか、HBAのWWPN(World Wide Port Name)を仮想的に複数アサインできる機能などを盛り込んだ、新しいアダプタの発売を2008年前半に予定している。
なお石本社長によれば、現在のビジネスのうち、国内・国外ベンダーへのOEMが約9割を占めており、ブロケードブランドでのビジネスは約1割しかないため、OEM先との関係強化が非常に重要とのこと。そのため、来期以降もしっかりとOEMにコミットしていくとした。しかし一方で、DCFによって顧客のデータセンターインフラ改善を支援するという立場からは、顧客への認知度を向上させることも欠かせないため、石本社長は「ブランディングを意識し、ブロケードという名前を出していきたい。OEM先といっしょに、我々がこういうことを考えている会社だということを伝えたい」と述べた。
この姿を説明する際に石本社長が出した例は、CPUメーカーとしてのインテル。パーツとして提供する自作市場など一部を除くと、インテルは直接エンドユーザーに製品を販売する立場にはないが、一般に広く認知されており、またそのメッセージも強く伝えられている。データセンター・ファブリック業界におけるブロケードも、そうした姿を目指したいということのようだ。
また、ここ最近関心が高まっているグリーンITにも積極的に取り組む。例えば、最新のダイレクタであるBrocade 48000では、従来の自社製品と比べて電力消費を半減。競合製品と比べても1/3程度に収めているとのことで、これからも、エネルギー消費の少ない、低発熱の製品提供を継続し、データセンターにおける省電力化を支援する。あわせて、西日本地域への対応力を強化する目的で、2008年2月ごろに大阪でオフィスを立ち上げる予定で、東京以外でも積極的に情報発信を行っていく考えを示した。
■ URL
ブロケードコミュニケーションズシステムズ株式会社
http://www.brocadejapan.com/
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( 石井 一志 )
2007/12/21 18:21
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