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「爆発的なスパムの増加にも対処できます」、SaaS型のメリットを語るメッセージラボ


メッセージラボジャパンの代表取締役、山本誠治氏
 昨今、迷惑メール(スパム)対策製品は数多く出されているが、中には製品を販売するのではなく、ASP(SaaS)方式でサービスを提供している企業もある。メッセージラボジャパン株式会社(以下、メッセージラボ)もその1つで、グローバルでは1万6000社、700万人に利用されている実績があるという。今回は、同社の代表取締役を務める山本誠治氏に、その特徴を聞いた。

 メッセージラボは、ビジネスユースに特化したセキュリティサービスをSaaS形式で提供している企業。国内におけるサービスの中心はメール向けのセキュリティで、迷惑メール(スパム)対策機能を中核に、ウイルス対策機能などを用意している。サービスはSaaS形式なのでハードウェアやソフトウェアが一切必要なく、メールサーバーのMXレコードを変更するだけで利用可能。また、英国発のグローバル企業として16カ国にデータセンター・営業拠点を持ち、世界で広くビジネスを展開しているのも強みで、「グローバルに単一のサービスが提供できることが評価され、採用されるケースも多い」(山本氏)という。

 スパムやウイルスの検知には、非公開の独自エンジン「SKEPTIC」を利用する。これは、「非公開であるためにスパマーなどの攻撃者が検知手法を確認できない」(山本氏)点が最大の強み。アプライアンスで提供されている製品の場合、いくら性能が良くても、攻撃側が事前に入手して検知されるかどうかをテストできるため、検知性能が低下してしまう。しかしSKEPTICは非公開ゆえにそれが不可能なため、常に安定した検知を行えるというのだ。

 もちろん性能面でも自信を持つ。常にチューニングされて検知能力が向上しているほか、シグネチャを使ったパターンマッチングの手法では対処しきれない、新種のスパムやウイルスにも対応できる。またメッセージラボでは、SKEPTICでふるいにかける前に、メール流量を制御するTraffic Management技術や、ヒューリスティック技術による検知、サードパーティ製のウイルス対策・スパム対策製品などを利用した多層防御を行い、SKEPTICにかかる負担を軽減。これらの防御によって、スパムでは検知率95%以上、誤検知率0.0003%以下のSLAを提供し続けている。


 しかし山本氏によれば、メールセキュリティサービスを提供する上で検知性能以上に大事なことは、いかに大量のスパムを処理できるキャパシティを用意できるかだという。山本氏は、「スパムは、基本的には右肩上がりで増えているのだが、ターゲット型の攻撃が増える中で、突発的に極端な増加を見せるケースが出てきた。しかしながら、スパムが5倍になって耐えられる企業はほとんどない」という点を指摘。「もし対処しきれなかった場合は、メールという重要なインフラ自体が止まってしまうかもしれない。今の企業でメールが長時間止まるようなことがあれば、ビジネスに影響してくる」と述べ、従来のアプライアンスによるスパム対策では限界があると主張した。

 メッセージラボではこのようなスパムのバーストと障害に対処するため、世界14カ国のデータセンターに約3000台のサーバーを分散配置し、利用する全ユーザーのメール量が倍になったとしても耐えられるインフラを用意した。山本氏はこれについて「全ユーザーが同時に狙われることは考えにくいので、スパムが100倍になっても耐えられるだろう。しかも実際の事例では、特別サービスではなく標準のサービスで、極端に増加したスパムをすべて止めた実績がある」と胸を張る。事実、このようなキャパシティの大きさを評価されてアプライアンスから乗り換えた顧客も出ているとのことで、今後もこの面のアピールを続けていく。

 一方では、2008年から2009年にかけて、まだ国内で提供できていない各種サービスを順次提供する計画。メール関連でも、コンプライアンス強化の流れで関心の高いアーカイブ機能やエンドトゥエンドでの暗号化機能などを予定する。さらにメールだけでなく総合的なセキュリティを提供するために、WebやIM(インスタントメッセージング)へのアンチウイルス機能についても提供を急ぐ意向である。

 また今後の課題としては、メッセージラボ自体の知名度向上を挙げた。国内では日本IBMとベライゾンを経由してOEM販売しており、120~130社の顧客を抱えているが、同社の名前が表に出ないからか、知名度はさほど高くない状況だ。山本氏は「直販は考えていない」とするものの、「パートナーが販売するにしても、名前が知られていないと売りづらい」ということを踏まえ、2008年はマーケティング活動にも力を入れる考えを示した。



URL
  メッセージラボジャパン株式会社
  http://jp.messagelabs.com/


( 石井 一志 )
2007/12/26 11:00

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