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インフォメーションワーカービジネス本部IWソリューションマーケティンググループ エグゼクティブプロダクトマネージャの西岡真氏
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マイクロソフト株式会社は1月23日、基幹業務システムとMicrosoft Officeアプリケーションをつなぐ新しいソリューション「Office Business Applications(OBA)」の取り組みについてプレス向け説明会を開催した。
OBAは、ERPやCRM、SCMなどの基幹業務アプリケーションを活用している業務に、使い慣れたOfficeアプリケーションを組み合わせることで、社内の生産性と新たな価値観を最大限に引き出すことができるソリューション。インフォメーションワーカービジネス本部IWソリューションマーケティンググループ エグゼクティブプロダクトマネージャの西岡真氏は、「フロント業務で使っている各種Officeアプリケーションが基幹業務システムと連携して活用できるという点は、個々のプロダクトからはなかなか見えにくいポイント。当社では、昨年春頃から、この部分に関連する製品群をOBAとしてカテゴリー化し、ビジネス展開を進めているが、まだなじみが薄いのが現状。今回改めてOBAへの取り組みを詳しく説明することで、多くのユーザーにOBAという新しいカテゴリーの認識を広めていきたい」と、説明会の狙いを述べている。
説明会では、まず「OBA」が必要とされる市場背景として、「現在、企業では各社員にOfficeアプリケーションが導入されているものの、このデータを直接、基幹業務システムと連携して分析、参照することは難しく、社内にある情報が活用しきれていないという課題がある。今後、さらに生産性を高めるためには、人と人、人と情報をつなげてビジネスのスピードを加速し、効率化する新しいワークスタイルの仕組みが求められる」(西岡氏)と指摘。「OBAは、この課題を解決するためのソリューションであり、使い慣れたOfficeアプリケーションを業務システムとして活用し、基幹系システムのデータやプロセスを有効活用することが可能となる」(西岡氏)としている。
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OBAのソリューションで実現できるメリット
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OBAの種類
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具体的にOBAのソリューションで実現できるメリットとしては、1)使い慣れたインターフェイスによる操作性向上、2)社内システム内でのデータ連携および接続性を向上し、再利用を促進、3)組織内での定型/非定型の業務プロセスを支援し、生産性を向上、4)生産性を落とさずに、日本版SOX法やe文書法、個人情報保護法などコンプライアンスの対応を強化、を挙げている。
西岡氏は、「OBAソリューションの目的は、人とシステムを使いやすいインターフェイスでつなぐとともに、システムとシステムをマイクロソフトのOfficeテクノロジーでつなぐこと。これにより、業務システム利用環境の最適化を実現し、人とシステムの潜在能力を最大限に発揮できる環境を提供する。Officeアプリケーションは、クライアントソフトのイメージが強いが、ビジネスの成功に直結する業務システム環境を実現するOBAソリューションとしても注目して欲しい」と述べている。
OBAに対応した製品群としては、「Microsoft Dynamics」、「Office PerformancePoint Server」、SAPと共同開発した「Duet for Microsoft Office and SAP」をラインアップ。とくに、「Duet for Microsoft Office and SAP」は、OfficeアプリケーションによるSAPへのシームレスなアクセスを実現するもので、これにより、OfficeアプリケーションでのアラートとレポートによるSAP財務/予算の管理、組織・人材情報のOfficeアプリケーションからのアクセスと管理、Excelからの需要計画の作成・修正などが可能となる。
このほか、パートナーが各種Officeアプリケーションを組み合わせて基幹システムとの連携を実現し、独自のOBAソリューションを提供するパターンもあるという。このソリューションでは、業務システムのフロントエンドとして、データ加工/分析はExcel、コミュニケーションはOutlook、データ入力はInfoPath、ビジュアル化はVisioなど、用途に応じて最適なOfficeアプリケーションを利用。さらに、OBAソリューションの中心となるプラットフォームとしてSharePoint Serverを採用し、BizTalk Serverを利用することで、基幹業務システムとの連携を実現。3月には、基幹業務システムとの接続を行うための新製品「BizTalk Adapter Pack」をリリースする予定だ。
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用途に応じた最適なフロントエンドの種類と適正
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OBAの基本システム構成
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SAPをバックエンドとした基本構成例
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パートナーに向けたOBAソリューション開発支援については、2月8日にパッケージ発売する「Visual Studio 2008」によって、フロントエンドからバックエンドの接続までシームレスにOBAソリューション全体を開発できる環境を提供するとしている。
説明会の最後には、OBAソリューションの代表的な導入事例を紹介。製造業ではアイシンAW株式会社が、InfoPathとSharePoint Serverを中心としたソフトウェア開発支援システム「ソフト開発ナビ」を構築し、InfoPathフロントの工程管理システムとして導入。また、医療分野では社団法人鶴岡医師会がInfoPathフロントの医療情報連携システムを導入し、大腿骨骨折の地域医療連携クリティカルパスに活用している。このほかにも、化学業のA社ではExcelフロントの受発注システム、製薬業のB社ではExcel/SharePoint Serverを使ったダッシュボード、保険業のC社ではWordフロントの保険約款管理システムが稼働中だという。
■ URL
マイクロソフト株式会社
http://www.microsoft.com/japan/
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( 唐沢 正和 )
2008/01/23 16:30
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