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NGN本番稼動を目前に、日立がSDP関連事業の強化を発表


執行役専務 情報・通信グループ副グループ長の高橋直也氏
 株式会社日立製作所は1月29日、3月のNTT NGNサービス開始を前にして、同社情報・通信グループが提唱するプラットフォームコンセプトHarmonious Computingに基づく通信・ネットワーク事業強化を発表した。強化のキーポイントは、NGNのサービス提供基盤SDP(Service Delivery Platform)関連事業の強化と新たに今後ライフ・コミュニティやビジネス分野へも適用を拡大していこうというものだ。

 執行役専務 情報・通信グループ副グループ長の高橋直也氏は「日立は2006年9月にグループの通信・ネットワーク関連の売上げを2010年に5000億円達成を目指すと発表した。その実現のためには3つの重点事業で臨む」と、その内容を明らかにした。重点事業の第1はSDPをこれまでのキャリア中心からビジネスやライフ・コミュニティまで拡大、これら3分野で横断的に展開することであり、具体的にはまずインテリジェントホームゲートウェイを2008年第1四半期(4~6月)に発売(予定)する。第2が企業ネットワーク製品・ソリューション「CommuniMax」をNGNに対応することであり、具体的には小容量IPテレフォニーサーバーを同時期に発売(予定)することである。さらに第3がキャリアNGNを支えるアクセス・トランスポート製品をグローバル展開することとしている。


2010年売上げ5000億円が目標の通信・ネットワーク関連事業 3分野に向けたSDP拡大戦略

理事 情報・通信グループネットワーク事業統括の竹村哲夫氏
 SDPはこれまでキャリア向けには取り組んでおり、たとえばBladeSymphonyと組み合わせたActive Web Gatewayがモバイル系の複数通信事業者で稼働中であり、ユーザー累計は3000万規模という。また、150ストリーム(10Mbps時)の同時配信が可能なエンジンによるVideonetによりネットTVから携帯電話までの映像配信サービスが、IPTV業界標準のMarlinに対応した著作権管理まで含めて実現されている。

 今回発表のライフ・コミュニティ分野でも、昨年行われたNTTのNGNフィールドトライアルで介護サービスやホームセキュリティのサービス提供などで検証されており、なかでも介護サービスは同トライアルで約30の展示内容中、使用してみたいというニーズの第4位を占めたそうだ。理事 情報・通信グループネットワーク事業統括の竹村哲夫氏は「日立はNTTのトライアルで、標準であるOSGi(Open Service Gateway initiative)フレームワークも実装し検証した。OSGiはJavaに基づくオープンなソフトウェア部品化技術で、機器動作の停止なく新サービスやデータ追加、機能変更などが可能なミドルウェアプラットフォームを実現する。インテリジェントホームゲートウェイは、この成果に基づいたものでNGN-SIPに対応している」と2008年第1四半期発売の新製品に向けた魅力をアピールする。


NGN-SIP対応、OSGi対応のインテリジェントホームゲートウェイ。IP電話I/Fやアナログ電話I/Fをもち無線LAN内蔵。ギガビット対応BBルータ機能やPPPoE、IPv4/v6デュアルスタック、IPv6マルチキャスト対応ほかの特徴をもつ NGN対応の小容量SIPサーバー。1台でIP電話環境を構築するオールインワン型。NGN網に直接接続しドアホン、アナログ、LAN/WAN、無線LANなどのI/FをもちFTP/HTTPリモートファーム更新など設定も容易 左はOSGiフレームワーク採用のインテリジェントホームゲートウェイ(試作機)。右は同商用機

 また、CommuniMaxはIPテレフォニー導入をコンサルテーションから設計、構築、運用、保守までワンストップ提供するソリューションで、これも日立社内の3万ユーザーにおよぶIPテレフォニーや日立プラントテクノロジーにおける1600ユーザー利用のIP電話や携帯電話、無線LANに基づいたモバイルセントレックス環境などで活用されている。2008年第1四半期にはこうした実績をふまえて、オールインワン型小容量SIPサーバーを発売する。

 そして、アクセストランスポート製品も、たとえば2.4GbpsでQoS制御を行う光アクセス装置が2006年米オレゴン州で開始されたG-PONベースフルスペックによるトリプルサービスで導入、引き続きアイオワやコロラドでも導入され、またギガビットスイッチGS4000シリーズも韓国の最大通信事業者に導入累計販売台数も1000台を突破するなどの好調ぶりという。このようにキャリアNGNを支えるトランスポート製品群もすでに海外で着々と浸透しているが、さらにグローバル展開に向け拡大をはかっていきたいかまえだ。

 なお、日立製作所では今後、2009年のNGN普及期には中大容量VoIPゲートウェイやマイグレーション用NGNゲートウェイを、さらに2010年度NGN発展期にはCommuniMaxほかPBXやルータなどの製品群にNGN関連機能を逐次内蔵させるなどを予定しているという。



URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2008/01/0129a.html


( 真実井 宣崇 )
2008/01/29 18:39

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