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NEC、2007年度第3四半期は減収減益-今後、PC出荷は縮小傾向と予測


小野隆男執行役員常務

2007年度第3四半期実績

通気目標達成に向けて
 日本電気株式会社(NEC)は1月29日、2007年度第3四半期連結決算を発表した。

 売上高は前年同期比4.0%減の1兆522億円、営業利益は15.8%減の160億円、経常利益は前年同期比58.5%減の95億円、当期純損失は前年同期の26億円から、赤字転落しマイナス52億円となった。

 また、2007年4~12月までの9カ月累計では、売上高は前年同期比3.9%減の3兆1928億円、営業利益は9億円増の434億円、経常利益は82億円増加の193億円、当期純損失は27億円減のマイナス100億円の赤字となった。

 NECの小野隆男執行役員常務は、「9カ月間の営業利益は前年実績に比べて若干の改善にとどまったが、ネットワークシステムを中心に第4四半期偏重の状況にあり、通期目標に向けては着実な進捗。また、モバイル/パーソナル事業および半導体事業が黒字化するなど着実に回復している。さらに、NGN構築事業の売上高は、第3四半期で約500億円、9カ月累計で約1300億円となり、通期2000億円の達成に向けて、予定通りに事業が拡大している」と自己評価した。

 だが、NECでは、通期計画として「営業利益1300億円」を掲げており、累計9カ月間の実績が434億円であることから逆算しても、第4四半期だけで約850億円以上の営業利益を計上する必要がある。

 小野執行役員常務も、「1300億円は必達の目標」と、この目標は変えない姿勢だ。さらに、「第4四半期に収益性の高い案件が偏重しており、積み上げを行った上では達成は可能」と、目標達成に自信を見せる。

 とくに、第4四半期に利益が集中するITサービス/SI、ネットワークシステムおよびモバイルターミナル事業における収益確保が、目標達成のポイントとなるのは間違いなさそうだ。


第3四半期はITサービス/SIが好調

セグメント別実績

IT/NWソリューション事業
 第3四半期におけるセグメント別の業績は、IT/NWソリューションは、売上高が前年同期比1%減の6132億円、営業利益は68%減の160億円。営業利益の大幅に減少は、前年度第3四半期に収益性の高い案件があったことが影響しているという。

 IT/NWソリューションのうち、ITサービス/SI分野の売上高は前年同期比2%増の1775億円。営業利益は約80億円。公共分野での予算削減の影響はあるものの、通信、金融分野を中心に着実な伸張を見せたほか、製造業向けにSAPソリューションを強化したことが功を奏したという。

 ITプラットフォーム分野の売上高は3%減の1270億円、営業利益はブレイクイーブン。光ディスクドライブ事業をソニーとの合弁会社に移管した影響により減収となったが、「メインフレームやIAサーバーなどが徐々に増加しており、下期の計画達成に向けて着実に進捗している」とした。

 ネットワークシステム分野の売上高は5%減の2451億円、営業利益は約70億円。国内移動通信システムが、MNP需要の一巡、収益性の高い案件が第4四半期偏重となったことで、売上高は前年実績を下回ったが、「パソリンクではアジア、中近東向けに売り上げを拡大し、世界トップシェアを獲得した。また、NTTドコモのスーパー3G基地局商用ベンダに選定された」などと、今後の明るい見通しをあげた。

 社会インフラ分野は、売上高が7%増の637億円、営業利益は10億円となった。


携帯電話事業が予想を上回る黒字を確保

モバイル/パーソナルソリューション事業
 モバイル/パーソナルソリューション事業は、売上高が前年同期比9%減の2054億円、営業利益は前年並の24億円となった。

 モバイルターミナル分野の売上高は、前年同期比9%減の880億円、営業利益は約20億円。NTTドコモ向けのN905iが好調な売れ行きとなり、携帯電話の出荷台数が110万台に達したことで、黒字を確保。「年間30億円の利益を見込んでいたが、9カ月累計で70億円の利益。これがさらに拡大することになるだろう」として、利益確保の原動力となっていることを示した。「四半期で100万台を出荷することで、利益を確保できる。シェア回復に向け、NECならではの魅力ある新製品を継続的に投入していく」とした。

 PCおよびビッグローブ事業で構成されるパーソナルソリューション分野は、売上高が10%減の1174億円。営業利益はブレイクイーブンとなった。

 「国内PC事業はトップシェアを堅持し、採算ラインを確保している。また、NGN時代の新たなホームサーバー・クライアントソリューションとしてLuiを投入。既存のPC事業のポジションをベースに、新たなソリューションを提案することで、今後事業を拡大していく」とした。

 だが、パーソナルソリューション分野の第3四半期の営業利益はブレイクイーブンとなったものの、前年実績に比べて約20億円も減少している。出荷台数は前年実績の58万台から59万台へと1万台増加しており、収益性の悪化が浮き彫りになった格好だ。

 小野執行役員常務は、「次世代のホームサーバーなど、新たな領域への開発投資にコストがかかっているのが要因」とし、「ただし、PC事業を長期的に捉えると、増加していくよりも、縮小していくことになる。毎年、増えていくことは期待できない」などとした。

 NECでは通期見通しとして、270万台(前年実績273万台)のPC出荷を計画しており、第3四半期までの9カ月間で186万台を出荷している。


エレクトロンデバイス事業
 エレクトロンデバイス事業は、売上高が前年同期比5%減の2120億円、営業利益は前年同期のマイナス19億円の赤字から33億円への黒字転換。そのうち、半導体分野の売上高は前年同期比4%増の1708億円、電子部品その他は7%減の412億円となった。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  平成19年度第3四半期および直近3ヵ月連結決算概要
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0801/2901.html

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( 大河原 克行 )
2008/01/30 00:01

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