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BSAが2008年の活動方針を発表-企業・自治体に対するソフトウェア資産管理に注力


BSA日本担当顧問で弁護士の石原修氏
 ビジネス・ソフトウェア・アライアンス(以下、BSA)は1月30日、2007年の活動実績と2008年の活動方針を発表した。

 BSAは、ビジネスソフトウェア業界の継続的な成長と、安全で信頼できるデジタル社会の実現を目指し、政策提言・教育啓発・権利保護支援などの活動を行う非営利団体。40社が参加しており、現在、世界80カ所以上の国・地域で活動を行っている。日本では、1992年より活動している。

 説明会では、2007年に公開したグローバルでの違法コピー率、およびIT産業競争力を紹介。BSA日本担当顧問で弁護士の石原修氏は、「2006年の日本の違法コピー率は、3%減の25%。これは世界で3番目に低い数字となっている。しかし、違法コピーによる損害額は約2140億円となっており、これは世界で5番目の高さ。違法コピー率は減っているものの、損害額の高さが目立つ」と説明。さらに違法コピー率の削減を目指すとした。

 IT産業競争力のベンチマーク調査では、日本はアメリカについで2位と高い競争力があると評価されたと紹介。これについて石原氏は、「日本の研究開発環境のスコアが突出していたことと、同調査での研究開発環境の比重が25%と高かったことが要因。総合的なビジネス環境では24位、ITインフラで17位、法的環境で18位、IT産業に対する支援で18位と、まだまだ課題は残っている」と、改善すべき点が多数あると指摘した。

 また、同日発表された組織内での違法コピーの情報提供数は506件となっており、2006年の376件と比べて34%増となった。情報提供数を業界別にみてみると、ソフトウェア業界が101件で1位、広告・出版業界が41件で2位、土木・建設業界が22件で3位となっており、上位3業界で全体の約3割を占めている。石原氏は、「コンプライアンスの意識の高まりから、従業員などから違法コピーの通報が高まっているのではないか」としている。

 「違法コピー率は減っているものの、損害額は拡大している。また、オークションサイトでの違法出品の手口が巧妙化するなど、まだまだ違法コピーは大きな問題。また、SAM(ソフトウェア資産管理)に対する関心が高まっていることにも注目している。実際、セミナーを実施すると多くの企業・大学の方が参加している」(石原氏)と、ソフトウェアを適切に管理する手法への関心の高まりと、その支援が今後の課題と指摘した。


違法コピーの動向 IT産業競争力のベンチマーク調査結果 組織内違法コピーの情報提供数

BSA日本担当事務局長の竹下千恵氏
 これらの現状をふまえ、2008年の活動方針として、「IT競争力による日本のイノベーションとさらなる成長への貢献」「オークションサイトにおける消費者保護の強化」「企業・自治体向けSAM支援」の3つの基本方針を発表した。

 「IT競争力による日本のイノベーションとさらなる成長への貢献」では、これまでの活動に引き続いて知的財産の保護を実施。模倣品や海賊版対策などにより、政府が進める「知的財産推進計画」をサポートするとしている。

 「オークションサイトにおける消費者保護の強化」では、従来から行っているオークションサイトでの違法出品のモニタリングに加えて、落札者側に対する教育・啓発活動を実施する。BSA日本担当事務局長の竹下千恵氏は、「誤って違法品を購入しないよう、BSAのWebサイトにおいて情報公開などを行う」とした。

 「企業・自治体向けSAM支援」では、ノウハウ提供などによりSAM導入を支援する。「SAMへの関心は高くても、ノウハウが不足しており、それがSAM実施の障壁となっている。大学においてSAMのモデル校が存在するように、自治体においてもモデル自治体などを設けて、SAM導入を支援したい」(竹下氏)と、積極的に取り組んでいくとした。



URL
  ビジネス・ソフトウェア・アライアンス
  http://www.bsa.or.jp/
  プレスリリース
  http://www.bsa.or.jp/press/release/2008/0130.html

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( 福浦 一広 )
2008/01/30 13:23

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