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小倉正道代表取締役副社長
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富士通株式会社は1月31日、2007年度第3四半期連結決算を発表した。
9カ月間の売上高は前年同期比7.0%増の3兆8080億円、営業利益は56.9%増の905億円、経常利益は76.1%増の737億円、当期純損失はマイナス38億円の赤字となった。
「第1四半期から会計処理の方法変更があり、それを考慮すると121億円の最終黒字」(富士通・小倉正道代表取締役副社長)となっている。
また、第3四半期の売上高は、前年同期比8.1%増の1兆2949億円、営業利益は556%増の466億円、経常利益は395億円増の437億円、当期純利益は43億円増加の55億円となった
上期に続き、サービス事業が好調なテクノロジーソリューションをはじめとする全セグメントにおいて増収となった。四半期業績の開示を開始した2001年以降、第3四半期としては過去最高の業績となった。
国内では、携帯電話基地局や基盤ロジック製品は伸び悩んだものの、金融分野を中心にしたSIビジネスやアウトソーシングビジネスが伸張。パソコンや90nmテクノロジーを採用したロジック製品も増収になり、7.6%増の1兆102億円。
また、海外では既存ビジネスの好調ぶりに加えて、ドイツのTDS社の買収した効果などがあり、すべての地域で増収となり、6.3%増の5400億円となった。
「IT投資は、米国での景気減速の影響などを受け、慎重な面が見られたが、企業部門の収益、財務体質の改善基調が継続するなか、グローバルな事業拡大や成長に向けた設備投資は依然堅調で、全体としては底固く推移している。営業利益は11月公表値に比べて、266億円増加している。テクノロジーソリューションにおいて、サーバー関連費用の効率化、サービス事業の増収効果により好転。ユビキタスプロダクトソリューションも、パソコンの増収効果、部品のコストダウン効果があった」とした。
セグメント別では、テクノロジーソリューションの売上高が前年同期比6.8%増の7657億円、営業利益は196億円増加の342億円。そのうち、システムプラットフォームの売上高は2.4%増の1560億円、営業利益は86億円改善したもののマイナス5億円となった。
システムプラットフォームのうち、システムプロダクト売上高は、10.5%増の780億円、ネットワークプロダクトの売上高は4.6%減の779億円。
国内は携帯電話基地局が伸び悩んだが、海外ではサーバー関連が米Sun Microsystemsとの統合ブランド製品「SPARC Enterprise」の売上増により伸張した。また、その一方で、携帯電話基地局や光伝送システムにおいて、次世代ネットワークの開発投資負担があったという。
サービス事業の売上高は8.0%増の6097億円、営業利益は110億円増加の348億円。
そのうち、ソリューション/SIの売上高は21.2%増の2946億円、インフラサービスの売上高は6.6%増の3011億円。
国内の金融分野を中心にしたSIビジネスやアウトソーシングビジネスおよび海外での事業拡大が影響したという。
同社では、昨年10月から、フィールド・イノベーション推進の取り組みの一環として、フィールドイノベータの育成に取り組んでおり、今後は、これをベースに事業継続マネジメント、日本版SOX法対応ソリューションなどのビジネスソリューションに力を注ぐとした。
ユビキタスプロダクトソリューションの売上高は11.7%増の3054億円。営業利益は123億円増の134億円。
そのうち、パソコン/携帯電話の売上高は19.4%増の2109億円、HDDの売上高は1.8%減の897億円。
国内は、前年同期にWindows Vista発売前の買い控えの影響受けていたパソコンがその反動として伸長したことに支えられ、17.0%増の2ケタの増収。また、海外でもアジア地域を中心にノートパソコンの売り上げが増加し、4.1%増収。営業利益はパソコンの増収効果や部品のコストダウンが増益に貢献。パソコンの部品におけるコストダウン効果については、「メモリの価格が、ここ1年で、6分の1あるいは、7分の1にまで下がっており、これが大きい」とした。
第3四半期のパソコン出荷台数は、前年同期比4%増の250万台。
HDDは販売台数では過去最高となったものの、売上高は価格下落や為替の影響などによりマイナス。だが、3四半期ぶりに黒字化した。
デバイスソリューションは、売上高が前年同期比8.3%増の2030億円、営業利益は89億円増の94億円。
そのうち、LSIの売上高は前年同期比15.0%増の1291億円、電子部品その他の売上高は1.7%減の739億円。
国内は90nmテクノロジーの選択ロジック製品がデジタル家電向けに好調。また、フラッシュメモリもスパンション・ジャパンから購入した製造工場での受託生産開始により増収となった。
また、同社では、通期見通しを修正した。売上高は当初予想に対して500億円減の5兆3500億円、営業利益は50億円増の2000億円、経常利益は変更なしの1600億円、当期純利益は250億円減の400億円とした。
「12月末以降の円高の進行による影響などを織り込んだもの。また、営業利益ではロジックLSIや電子部品の利益減を見込む一方、パソコンなどの増額や、営業外損益において為替差損を織り込んだ」という。
テクノロジーソリューションで200億円減収、デバイスソリューションで300億円の減収とする。
ユビキタスソリューションの営業利益は、100億円増加の500億円としたが、「500億円の利益のうち、500億円強がパソコンおよび携帯電話の利益。HDDが2ケタ分の赤字になる」とした。
なお、パソコンの出荷計画は、30万台減の900万台と下方修正した。
「パソコンは全体的に増額しているが、台数の下方修正分は、富士通シーメンスの外部調達分が減少しており、国内ではほぼ計画通り」とした。
■ URL
富士通株式会社
http://jp.fujitsu.com/
決算概要
http://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2007q3/
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( 大河原 克行 )
2008/02/01 00:00
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