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Flash Media Serverは企業にもリッチなストリーミング環境を与える-米Adobe


 アドビシステムズ株式会社のストリーミングメディア配信サーバーの最新版「Adobe Flash Media Server 3(以下、FMS 3)」が発売された。FMS 3では、同時接続ストリーム数の倍増や、HDクオリティでのストリーミング配信が可能になるなど、基本機能が強化されている。また、製品構成の見直しにより、大幅に価格を下げているのも特長となっている。今回、FMS 3を担当する米Adobe Systemsダイナミックメディア プロダクトマネジメントディレクターのサイモン・ヘイハースト氏に話を伺った。


米Adobe Systemsダイナミックメディア プロダクトマネジメントディレクターのサイモン・ヘイハースト氏
―FMS 3では、製品構成と価格体系が大幅に変更されています。まず、製品構成の変更の意味について教えてください。

ヘイハースト氏
 ストリーミングに特化した配信サーバーである「Flash Media Streaming Server 3」と、ストリーミングの配信に加えて、インタラクティブなアプリケーションにも対応する「Flash Media Interactive Server 3」の2つに分けました。これは市場のニーズにあわせたものです。

 動画配信の市場そのものが成熟してくると、利用方法もさまざまになります。自動車を例に考えるとわかりやすいのではないでしょうか? 自動車は走ればいいわけですから、1車種だけ用意すればいいはずですが、実際は万人に受け入れられるためにさまざまなモデルが用意されています。FMS 3での2つの製品も同様です。

 ストリーミングだけができればいいというニーズを持つユーザーにとっては、多機能は不要です。そうした方は、シンプルな構成の製品を求めます。実際、これまでのプロユースから、民生利用も進んでいます。

 一方、インタラクティブ性を高めていくと、より複雑な製品になります。こうしたニーズにおいては、システム構築も必要になるでしょう。


―価格改定を行ったのは、FMS 3の裾野を広げるためということでしょうか?

ヘイハースト氏
 もちろん、その側面はないとはいいませんが、それだけが理由ではありません。FMS 3を発表する前から、Flashビデオの特性をユーザーの方には高く評価していただいており、高い関心を示していただいていたのです。ですので、多くの方は価格に関係なく、FMS 3を購入することは決めていたというのが現実です。

 ではなぜ価格改定をおこなったかというと、動画配信の市場が広がってきているという現状をふまえたというのが一番の理由です。ストリーミングの利用が一般化しているのに、価格が高いままでは市場に対応しているとはいえません。今後、市場が広がるとみて、先手を打って価格を低くしました。


―YouTubeでの採用やアメリカのTV局での採用といった話題が目立つため、FMSを企業で利用するイメージがピンときません。

ヘイハースト氏
 ストリーミングの配信に絞れば、幅広い分野で利用できます。オンライン放送局はもちろん、教育分野での利用はすぐにイメージできるでしょう。また、企業内トレーニングやニュース配信といった用途も考えられます。そのほか、SNSといった分野で自己表現のために使うという利用も考えられます。

 ここで重要なのは、FMSならインタラクティブ性を持たせることが可能ということです。情報というものは、基本は受け身の状態ですが、なんらかの瞬間にアクティブになることがあります。それは1%程度のことかもしれませんが、そのアクティブに反応したいというときに、FMSであればインタラクティブ性を持ったコンテンツを提供することが可能なのです。一方的に講義を配信するよりも、なんらかのアクションが可能なコンテンツの方が、関心を持たせることができ、利用する人を魅了するのはあきらかです。

 また、FlexやAIRと組み合わせて利用することで、オフラインでもアクセス性を残すことも可能になります。FMSとFlex、AIRによって、企業においてもよりリッチな世界が実現するでしょう。


―なるほど。しかし日本においては、30%以上の企業がFlashプラグインのインストールを許可していないという調査結果が発表されています。これでは、Flashベースのリッチな世界は実現できないのではないでしょうか?

ヘイハースト氏
 Flashは全世界のPCのうち、99%にインストールされています。セキュリティの観点での制限とのことですが、おかしな論理です。Flashが使えないとなると、テキストベースのWebサイトになってしまいます。きっとその会社のイントラネットは味気ないものではないでしょうか(笑)。

 一昔前にメールが情報漏えいにつながるとして、メール禁止という企業がありましたが、生産性を考えると非現実的な話でした。Flashも同様なのでしょう。今は過渡期の状態かもしれません。


―アメリカでは、コンテンツ保護などの観点でTV局がFlashムービーを採用して、テレビ番組の配信を行っています。今回の来日で、日本の放送局とも話をされたとおもいますが、日本ではいつくらいに実現しそうですか?

ヘイハースト氏
 それはわかりません(笑)。ただ、今回、いくつかの放送局の方とお話しましたが、いろいろ興味深い話を聞くことはできました。内容はもちろんいえませんが(笑)。

 個人的には、日本は技術革新が進んでいる国なので、テレビ番組のネット配信も一番に展開するものとおもっていました。しかし、法律の影響などにより、結果的には他国に事業化では先行されていますね。とはいえ、一度手をつければ急速に進むのではないでしょうか。特に携帯電話のインフラが整備されている日本では、携帯電話向けの動画配信という分野で先行するかもしれません。



URL
  アドビシステムズ株式会社
  http://www.adobe.com/jp/
  製品情報
  http://www.adobe.com/jp/products/flashmediaserver/

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( 福浦 一広 )
2008/02/04 13:24

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