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「いまいちど顧客視点にポイント置いて」、NECがSI革新活動を強化


取締役 執行役員専務の相澤正俊氏
 日本電気株式会社(以下、NEC)は2月6日、ソリューション事業におけるSI革新活動の今後について、記者説明会を開催した。

 世の中ではサービスの多様化が進んでいる。例えば、おサイフケータイやSuicaなど1つのビジネスモデルを各社が自社領域に取り込んでサービス化する、いわば「業界連携」という新しいビジネスモデルが確立されつつある。取締役 執行役員専務の相澤正俊氏によると、こうした状況でのITソリューションの課題としては、「変化に伴い、企業の経営や社会への影響が大きなものとなり、顧客のSIへのニーズも増していくという点が挙げられる」という。

 「アクセンチュアの調査でも、ITに基づく生産性が向上したとする声が52%あるのに対し、投資と経営目標の整合性については、38%がとれていないと回答している。当社としてはこうした顧客の悩みや期待に応えるべく、さまざまな活動を行っており、それが“SI革新活動”である」(相澤氏)。

 狙いとしては、「顧客価値の向上」と「SI事業効率の追求」の2点を挙げ、この両立を図るため具体的には、1)営業プロセス改革、2)SIエンジニアリングの追求、3)SEリソース施策、の3点を進めている。


SI革新活動の目的-顧客価値の増大とSI事業効率の向上の両立めざす いまいちど顧客視点に重点を置く

実践的コンサルタントを3年で160名に拡大

システム技術統括本部長の辻孝夫氏

ソリューション提案力の強化
 1)の営業プロセス改革では、「ソリューション提案力の強化」と「ワークフロー改善」が主な内容となる。顧客のニーズに対応するため、「従来注力されてきたシステム設計の領域からすそ野を広げ、システム要件定義までを支援できるよう提案サポート力を強化する」(システム技術統括本部長の辻孝夫氏)。

 その一環として、実績ベースの業務提案、IT戦略領域の提案まで対応できる実践的コンサルタントを3年間で160名に拡大(現在27名)する予定。併せて要員育生のために研修・資格制度を整備していく。また、これらコンサルタントと営業隊が相互に連携が取れるよう役割を明確化し、営業・コンサルタント・営業支援の各部隊からなる“営業の3層モデル”を策定。「ワークフローを改善し営業プロセスを標準化することで、効率化とコンプライアンスを実現する」(辻氏)狙いだ。


PJの開発標準・管理基準をNEC全グループに展開

SIエンジニアリングの追求・全体像

システム開発標準-今後3年間で1200PJに適用
 2)のSIエンジニアリングの追求では、「新しいSI構築技術への対応」「システム開発標準」「ソフトウェア開発における現場改善活動」「プロジェクト管理標準」「PMO活動」などに取り組む。

 新しい構築技術では、ノウハウの蓄積・共有によるシステム構築の工業化を狙い、実績に基づく「システムモデルベースSI」を推進している。これはシステム構築を工業化することで、システム部品の再利用を図り、低コスト・高品質のほか、50%以上の工期短縮をめざすもの。今後はこのシステムモデルを、SOAやSaaSなども含む、30種類に整備を進めていく方針という。

 システム開発標準では、すでにNECのJava/.NETの開発に全面適用されている開発標準「SystemDirector Enterprise(SDE)」のさらなる展開を図る。「すでに約250プロジェクト(PJ)での適用実績があり、効果としては10~20%の生産性向上を実現している。今後は、発注者ビュー検討会準拠のユーザーインターフェイスなど各標準を採り入れて機能強化を図りながら、3年間で1200PJに適用を拡大していく。これにより、生産性は現在のさらに1.5倍に向上する見込み」(辻氏)。もちろんそのための教育展開も図る予定で、「業界標準などに関する教育をSE1万人に対して実施する」としている。

 これに併せて、PJ管理標準「APPEAL」も全PJに適用する。これは「実践的PJの開発方式別に手法・ノウハウを整備したもので、開発工程ごとの生産物を明確にし、厳密なフェーズ終了判定を可能にするもの。これによりPJの課題先送りによる問題発生を防止できる」(辻氏)という。「これを全PJで適用するほか、中小規模の案件でも適用しやすくなるよう改良を加えていきたい」とのこと。

 さらにPMO(プロジェクト管理オフィス)活動も強化。組織的な受注前・設計審査を強化することで、開発のロスコストを削減していくという。「すでに取り組んでいる活動で、この結果、2006年度のロスコストを前年度比約1/2に削減することに成功している。今後は審査を強化し、基準に満たないPJについては即座に担当事業部長へ通知が行くような体制を整えることで、ロスコストのさらなる縮小化をめざす」(辻氏)。


SEリソースの「量の確保」と「質の向上」へ

 3)のSEリソース施策としては、「国内グループ会社」「国内パートナー」「オフショア開発」のレイヤごとに施策を推進。国内グループに関しては、NEC本体と一体となりSI革新を推進しつつ、今後は国内パートナーとオフショア開発に重点を置いて施策を展開していくという。

 国内パートナー向けには、「100社程度を市場ごとの重点パートナーと位置づけ、長期人材の確保を図るとともに、スキル向上・開発効率化を推進する。具体的には、APPEALやSDEを展開し、パートナーにおいてもPJ単位の品質や生産性を管理できるようにしていく」(辻氏)。

 オフショア開発に関しては、「2007年11月に設立した中国NECソリューションズの日本法人などを中心に人材確保に努め、中国・日本の相互出向による人的交流も強化していく。NECソリューションズに設置したSI技術統括室などを活用して、中国の要員に対してオフショア開発に必要なスキルやノウハウの提供なども行っていく」。


国内パートナー向けのSEリソース施策 オフショア開発のSEリソース施策

 こうしたSI革新活動によって、「ビジネスモデル検討も含めた提案力強化、システム構築信頼性の向上、コスト削減など顧客価値の増大に貢献する」(辻氏)とのこと。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/


( 川島 弘之 )
2008/02/06 16:07

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