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シーメンスPLMソフトウェア、日本法人新社長が今後の事業方針を発表

「製品と生産の一本化」を最重要戦略に

代表取締役社長の三澤一文氏

PLMソフトウェアの販売実績
 シーメンス プロダクト ライフサイクルマネジメント ソフトウェアJP株式会社(以下、シーメンスPLMソフトウェア)は2月7日、昨年11月に三澤一文氏が代表取締役社長に就任したことを受け、新社長の挨拶と今後の事業方針について、プレス向け説明会を開催した。この説明会で三澤社長は、1)製品と生産の一体化、2)パートナーとの関係強化、3)組織力の強化、の3つの取り組みを今後の重点施策とする方針を明らかにした。

 シーメンスPLMソフトウェアは、製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトウェアおよび関連サービスにおけるリーディングプロバイダ。製品の全ライフサイクルをカバーするPLMソリューションを幅広い業界に向けて展開しており、これまでに全世界で5万1000社の顧客にサービスを提供し、460万シートのPLMソフトウェア販売実績をもっている。

 まず、三澤社長は、同社のPLM事業の現状について、「当社はPLMの事業セグメントとして、CAD/CAM/CAEなどのCAx、コラボレーティブな製品開発管理を実現するcPDM、そして生産シミュレーションなどのディジタル・マニュファクチャリング(DM)の3本柱を主軸に展開しており、各セグメントでトップクラスの地位を確保している。このうち、事業の中核となるのがCAxセグメントで安定成長を続けている。一方、2番目の柱として、現在の事業成長を支えているのがcPDMセグメントであり、DMセグメントについては今後大きな成長が期待される。この3本柱をバランスよく展開できている点がPLM市場における当社の強みだ」と説明した。

 ターゲットとなる業界としては、「グローバルでは、航空・防衛から自動車・輸送機器、産業機器、ハイテク・電気、消費財・流通・医療にいたるまで幅広い業界に実績をもっているが、日本市場に関しては、このうち自動車・輸送機器、産業機器、ハイテク・電気が中心となっているのが現状。今後は、消費財・流通・医療の分野にもターゲットを広げ、新規顧客の開拓も進めていく」(三澤社長)と意欲を見せた。


国内製造業の三大課題
 また、三澤社長は、国内の製造業が現在抱えている三大課題として、1)自社の戦略に合致したR&D分野の選択・集中、2)先行技術開発へのリソース・シフト、3)洗練されたR&D&Eマネジメントの仕組みづくり、があることを指摘。こうした現状を受け、日本法人の今後の重点施策として、「製品と生産の一体化」「パートナーとの関係強化」「組織力の強化」の3つに注力していく方針を掲げた。

 この3つの施策のうち、最も重要な戦略と位置づけているのが、製品と生産の一体化。「具体的には、シーメンス本体が展開している、生産および製造の自動化を図るリアルな事業と、当社の展開している、製品設計・設計の最適化・生産準備/製造計画の効率化を図るバーチャルな事業の融合を推進していく。これにより、製品開発のスピードを上げることができるとともに、全ライフサイクルを通して高品質を維持し、顧客からの信頼性を高めることも可能になる」(三澤社長)としており、現在、シーメンス本体の設計・開発部隊とPLMソフトウェアの技術部隊が共同で作業を進める「アルキメデス」プロジェクトが進行しているという。三澤社長は、「国内製造業の今後の成長は、従来までのインハウス型を残しながら、オープンソースを適所に組み込んだ新しいR&D&Eの実現にあるとみている。当社では、製品と生産の一体化を積極的に推進することで、国内製造業の成長に貢献していく」(三澤社長)意向を示した。

 2つ目の施策であるパートナーとの関係強化については、「製品と生産の一体化を実現していくためには、当社1社の力だけでは難しいと考えている。SIパートナーによるシステム構築の支援や、PLMのコンセプト作りを支援してもらうコンサルティングファームなど、今まで以上にパートナーとの協力体制を強めていきたい」(三澤社長)方針。また、3つ目の組織力の強化では、製品と生産の一体化提案に向けて、営業部隊と技術部隊の融合を進めるとともに、より顧客の視点に立ったマーケット指向の強い組織作りを目指していくという。



URL
  シーメンス プロダクト ライフサイクルマネジメント ソフトウェアJP株式会社
  http://www.siemens.com/plm/
  ニュースリリース
  http://www.ugs.jp/news/2007/07_12_06.html


( 唐沢 正和 )
2008/02/07 16:37

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