株式会社シマンテックは2月12日、データセンターのグリーン化に関する調査結果「Green Data Center report」を発表した。同調査により、日本におけるデータセンターグリーン化の意識は、諸外国とくらべ低いことが浮き彫りとなった。
同レポートは、2007年9月に発表した調査レポートの補足情報としてまとめられたもの。調査対象国はオーストラリア・ブラジル・カナダ・中国・ドイツ・インド・イタリア・日本・メキシコ・シンガポール・韓国・英国・米国の13カ国で、主に従業員数3万人を超える大規模な企業を対象に、800名を超えるデータセンター管理者が回答している。
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調査概要
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調査対象データセンターの電力事情
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回答者の年間IT予算
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ソリューション&プロダクトマーケティング部 データセンターマネージメントグループ マネージャの朝倉英夫氏
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同調査では、グリーンとは「電力の利用効率の向上」を指すという回答が最多となっている。その優先度の高低について「極めて重要」とした割合が、世界平均16%、日本が8%、日本以外のアジア太平洋地域(以下、日本以外のAPAC)が29%だった。さらに「グリーンデータセンターの概念をどの程度知っているか?」という質問に対しては、「とてもよく知っている」という回答が、世界平均14%、日本以外のAPACで10%だったのに対し、日本では0%。
さらに、「グリーンデータセンター化に向け現在どの段階にあるか?」に関しても、「検討していない」という回答が、日本が最多の31%。逆に「導入を完了した」というケースが日本のみ0%だった。
ソリューション&プロダクトマーケティング部 データセンターマネージメントグループ マネージャの朝倉英夫氏は、「これはちょっと意外。日本で対策が進んでいないのはともかく、京都議定書の議長国としてやってきたにもかかわらず、意識の面で低すぎる気がする」と語る。
一方で、グリーンデータセンター推進の理由として、日本では「社会に対する責任」を74%もの人が挙げており、「議長国として社会的責任感は強く持っていることがうかがえる」。逆にいえば、社会的責任という大きな、ある意味ぼんやりとした題目に終始し、具体策を検討するマインドになっていないのではないか。それを示すかのように、同じくグリーンデータセンター推進の理由として、世界平均で44%、日本以外のAPACの35%が「コスト削減」を挙げているのに対し、日本は23%と低い。
朝倉氏は「グリーンデータセンターというと確かに“環境”というイメージが強いが、それを実際に推進するためにはもっと現実的な“コスト削減”などの意識を持たないとだめなのではないか。日本はこの点をもっと意識しなければいけない」としている。
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電力効率化の優先度について
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グリーンデータセンターの概念について。「とてもよく知っている」という回答が日本は0件
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グリーンデータセンター化に向け現在どの段階にあるかについて
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では、データセンターの電力削減に最適な技術は何か。この質問に対して、世界・日本以外のAPACでは「仮想化/統合」を最も多く挙げており、それぞれ32%・33%と3割を超える。一方で日本はまだまだ進んでおらず22%にとどまった。逆に日本で最も多かったのは「電力効率の高いCPU」で唯一3割を超える高い水準になっている。
「日本でグリーンIT推進が遅いのは、ハードウェアに偏っていて仮想化に慎重なためと思われる。今後、マイクロソフトなども仮想化技術を投入してくるが、日本では実例を重視するため、本格的に仮想化が進むのは2009年以降になるのではないか」(朝倉氏)。
ともかく、「社内でのグリーンデータセンターへの支持は?」への回答を見る限り、日本ではグリーンデータセンターへの支持・賛同者が少ないのは確かのようだ。
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グリーンデータセンター推進の理由について
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電力削減に最適な技術について
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日本ではグリーンデータセンターへの支持・賛同が少ない
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なお総じて日本以外のAPACのポイントが日本はおろか、世界平均と比べても高い結果となっている。朝倉氏は「これにも驚いた。私個人の認識では、世界平均が一番高くて、日本以外のAPACはもっと低いと思っていた。もしかしたら国レベルでの政策としては進んでいないが、データセンター事業者レベルでは対策が進んでいるという現状があるのかもしれない」と述べている。
■ URL
株式会社シマンテック
http://www.symantec.com/ja/jp/
ニュースリリース
http://www.symantec.com/ja/jp/about/news/release/article.jsp?prid=20080212_01
( 川島 弘之 )
2008/02/12 17:47
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