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レノボ・アメリオCEO、「ワールドソーシングはイノベーションのための原動力」

レノボ・イノベーション・フォーラム 2008 基調講演

 レノボ・ジャパン株式会社は2月12日、東京・溜池のANAインターコンチネンタルホテル東京において、「イノベーション・フォーラム 2008 “組織・人・IT”」を開催した。

 「グローバル社会での競争に勝ち抜くために」をテーマに、レノボ製品を導入している企業ユーザーを中心としたビジネスリーダーを対象に開催したもので、企業にとってのフレームである「組織」、ソフトウェアである「人」、さらに「人」と「組織」をサポートする「IT」という3つの観点から、社会的な変化を的確にとらえ、新たな競争力を生みだすためのヒントを探り出しすことを目的にしたという。


レノボ・ジャパンの天野総太郎社長

レノボ・グループ社長兼CEOのウイリアム・アメリオ氏
 レノボ・ジャパンの天野総太郎社長は、レノボが全世界規模で好調な業績をあげ、日本においても増収増益を達成していることを示す一方、世界的な経済環境にも言及。「発表されている各指標を見ても明らかなように、日本の国際競争力が低迷しているとの指摘がある。経済新興国の躍進、企業活動のボーダレス化、飛躍なITの普及、労働人口の減少、会社と社員の距離感の変化などがその背景にあるといえよう。企業の競争力向上のためにはイノベーションが必要であり、組織、人、ITという3つの観点が重要である。レノボは、日本の企業の競争力向上のための支援をしていく」などとした。

 一方、レノボ・グループ社長兼CEOのウイリアム・アメリオ氏は、「イノベーションを生み出す“Worldsourcing(ワールドソーシング)”」をテーマに講演。レノボ自らがワールドソーシングを実現している企業であることを示して見せた。

 アメリオCEOは、「企業では、プライオリティの上位3つのなかにイノベーションをあげており、投資の3分の2をイノベーションに投下したいとしているが、どのような計画を持ってイノベーションしていくかが明確ではない場合が多い。イノベーションの基盤が怪しくなっているともいえる。ワールドソーシングは、イノベーションのための重要な原動力となるものであり、いままでのアウトソーシングとはまったく異なる、これまでの垣根を越えるもの」と位置づけた。

 アウトソーシングは、先進国でイノベーションを起こし、新興国で材料を調達し、新興国の低コストの労働力を活用するという仕組みであるのに対して、ワールドソーシングは、資源、機会、アイデアはどこにでも存在するという考え方のもとに、世界中のリソースを横断的に活用するという仕組みを指す。


大和、北京、ラーレイの3カ所を結んだレノボ・イノベーション・トライアングル
 「例えば、レノボには本部がなく、エグゼクティブチームは10カ国にまたがって拠点を構え、6大陸において開発、製造を行い、マーケティングハブはインドに置きながらも、瞬時に世界のマーケットに対応した施策を打てる。まさに国連のような組織だ。研究開発体制についても、大和、北京、ラーレイの3カ所を結んだレノボ・イノベーション・トライアングルによって24時間の開発体制が整っている。それぞれのチームがコラボレーションすることで多様化したアイデアが出ているのが今のレノボの体制だ。ワールドソーシングの体制とすることで、顧客の近いところでニーズをとらえ、いち早く製品、ソリューションに反映し、これらの製品によって市場の問題を解決し、それを実現するために最も効率的なサプライチェーン体制を構築している」などとした。

 だが、その一方で、「ワールドソーシングを実現するには越えなくてはならない壁がある」として、頻繁なコミュニケーションや多様性に対応した環境、ビデオ会議やインスタントメッセージをはじめとする最新の技術の採用などが、その実現には必要だとした。

 「地域による祝日の違いを認めたり、同じ言葉でも意味の違いがあることを理解したりといったことも必要。レノボ社内では、共通という言葉の理解が、地域によって差があったために、議論が4時間止まったこともあった。また、中国では電子メールでほめるのでは敬意が伝わらないという文化もある。西洋人は沈黙せずに何かを言おうとするが、中国人は考えた上で発言しようとする。こうした違いもこえなくてはならない。だが、ワールドソーシングには、壁を越える多くの努力を払っても、労力に見合うだけのメリットがある」と、レノボでの経験と、業績向上に裏打ちされた成果を示してみせた。

 最後にアメリオCEOは、「レノボは、日本を重要な市場だととらえている。新たなレノボのチームを立ち上げたのもその狙いからで、日本の市場に対して、積極的に活動していく。A61eのようにフットプリントの小さいノートPCや、ThinkCentreにおいても日本の環境に適した最善の製品を投入していく。それらの製品を高い品質、高い効率性とともに、生産性を高めるツールとして提供していく」とまとめた。


末續慎吾氏
 なお、同フォーラムでは、早稲田大学経営専門職大学院/大学院商学研究科(ビジネススクール)経営情報学教授である平野雅章氏が「ITを活かす組織、人材を活かす組織」をテーマに、組織IQとIT投資との関連性などについて説明。社団法人自動車技術会(JSAE)所属トヨタ自動車株式会社常務役員の小林信雄氏が、「トヨタR&Dのグローバリゼーション」をテーマに、ハイブリッド車であるプリウスの開発エピソードなどを交えながら、トヨタの研究開発部門におけるグローバリゼーションにおける取り組みについて、それぞれ講演。さらに、陸上選手であり、世界で9人が認定されているレノボ・チャンピオンとしての活動を行っている末續慎吾氏が、「北京オリンピックを目指して」と題した講演を行った。

 末續選手は、「世界レベルでの競争に打ち勝つには、毎日の課題をひとつひとつ克服していくことが大切」と、自らの世界レベルで戦うアスリートの立場からコメント。「北京オリンピックでは、メダルが目標になるが、一アスリートとして、4年間の成果を表現できる走りをしたい」と語った。



URL
  レノボ・ジャパン株式会社
  http://www.lenovo.com/jp/
  レノボ・イノベーション・フォーラム 2008
  http://www-06.ibm.com/jp/pc/seminar/2008globcamp.shtml


( 大河原 克行 )
2008/02/12 18:10

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