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Citrix、主要製品すべてを包含する新ブランド“Citrix Delivery Center”を立ち上げ

Presentation Serverも“XenApp”へ変更

Citrix Delivery Centerは、4つの既存製品ラインを中核に構成されるほか、それらを連携管理するツール「Citrix Workflow Studio」も提供される予定

シトリックス マーケティング本部 プロダクトマーケティング担当部長の今野尚昭氏
 米Citrix Systems(以下、Citrix)は2月11日(米国時間)、「Citrix Presentation Server」を新ブランド「Citrix XenApp」に変更することを発表。さらに、同製品を含めた主要製品を包括する新ブランド「Citrix Delivery Center」を立ち上げることなどを含めた、これからの製品戦略を明らかにした。

 Citrixでは長年、サーバーベースコンピューティング環境を構築するためのPresentation Server(旧MetaFlame)を事業の大きな柱としてきたが、2005年から2006年にかけて、Webアプリケーションデリバリの技術を持つNetScalerや、Webアプリケーションファイアウォールを手がけるTeros、アプリケーション性能監視ソフトを提供していたReflectant、WAN高速化製品のOrbital Dataなど、多数の企業を買収。さらに2007年には約5億ドルでXenSourceを買収し、これまで提供してきたアプリケーションの仮想化だけでなく、サーバーやデスクトップの仮想化ソリューションまでを、自社のポートフォリオへ加えるに至った。

 そうした動きの中で同社が今回、Citrix Delivery Centerというブランドを打ち出したのは、買収やその後の開発によって得たさまざまな製品群を、大きな視点からふかんする必要が生じたため。サーバー仮想化の「XenServer」、デスクトップ仮想化の「XenDesktop」、XenAppという仮想化関連の3製品と、アプリケーション配信を支援するためのNetScalerを大きな柱とし、主要ソフトウェア/ハードウェア製品すべてを内包したブランドとして位置付けられる。

 シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(以下、シトリックス)、マーケティング本部 プロダクトマーケティング担当部長の今野尚昭氏は、新ブランドの持つ意味を、「Delivery Centerには、データセンター(情報システム)を“デリバリーセンター”へ変えていくという決意を込めている。旧来のデータセンターは企業の情報やアプリケーションをそこに閉じこめて作られていたので、エンドユーザーから遠ざかっていた。それを進化させ、アプリケーションやデータを、どんどんユーザーへ配信(デリバリー)していくための情報基盤として、当社ではDelivery Centerを位置付けている」と説明する。

 また、ようやく浸透してきたPresentation Serverの名称をXen Appへあらためたことについては、「Xen=仮想化、App=アプリケーションの意味で、これでようやく、仮想化関連の製品を“Xen”という象徴的なキーワードをつけて表せるようになった」(今野氏)とし、統一したメッセージで、顧客への訴求を図っていく意向を示した。なお、既存製品についてはPresentation Serverのままで販売やマーケティングを継続し、新版からXenAppへ名称を変更するが、製品全体のマーケティング活動についてはXenAppの名称で行っていくとのことである。


Platinum Editionを利用すれば、仮想・物理の両環境に対してプロビジョニングを行えるようになる

シトリックス マーケティング本部 プロダクトマーケティング担当部長の竹内裕治氏
 一方、仮想化製品のうちCitrixが2008年の柱として期待するXenServerは、競合製品との差別化を進めるため、速いペースでの機能強化を行っていくという。2月11日に米国で発表された新版の「XenServer 4.1」では、XenServer上でXenAppを利用する場合のパフォーマンスを改善させるなど、50以上の新機能追加や強化が行われた。米NetAppのストレージ向けOS「Data ONTAP」との連携機能を追加し、XenServerの管理コンソールである「XenCenter」から各種操作を行えるようにするのもその1つで、管理者の負荷軽減を図ったという。

 さらにXenServer 4.1以降で、最上位ライセンス「Platinum Edition」が追加される。これは既存ライセンスの最上位「Enterprise Edition」をベースに、さらなる付加価値を提供するもので、その第1弾として、ネットワークストレージからOSやワークロードを配信するプロビジョニングのライセンスを同梱した。

 シトリックス マーケティング本部 プロダクトマーケティング担当部長の竹内裕治氏が引用したガートナーの調査によれば、仮想サーバーは全サーバー中6%に過ぎず、2010年の段階でもまだ14%にとどまり、依然として物理サーバーはデータセンターの中でも大きなウエイトを占めると予想されるという。Platinum Editionではこれを踏まえ、仮想化環境に対する無制限のライセンスのみならず、物理サーバーに対しても3台分のライセンスを提供。「1つのイメージを仮想・物理の両サーバーに適用でき、管理者の大きな負担であるワークロードの管理を、物理サーバーにも同じように提供可能」(竹内氏)な点を強みとして、顧客への浸透を図っていく考えを示した。XenServer 4.1の提供時期は、米国では3月の予定で、国内ではそれよりも遅れる見込み。またPlatinum Editionは2008年第2四半期以降の提供を予定する。

 なおCitrix Delivery Centerの発表にあたりCitrixでは、各製品の連携を強化する目的で、連携管理ツール「Citrix Workflow Studio」を今後提供することも明らかにした。このツールでは、スクリプトを手組みすることなく、グラフィカルなインターフェイスでワークフローを生成可能。従来、管理者が製品個々に行っていた運用作業を簡略化するとともに、作業の自動化を支援するという。また自社製品のみならず、サードパーティ製品との連携も視野に入れており、パートナーのシステム管理ソリューションとの連携にも対応する予定。製品化の時期は未定だが、2008年第2四半期には、Tech Preview版(英語のみ)がリリースされる予定だ。



URL
  シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
  http://www.citrix.co.jp/
  プレスリリース(日本語抄訳)
  http://www.citrix.co.jp/company/press/releases/20080213_01.html
  http://www.citrix.co.jp/company/press/releases/20080213_02.html


( 石井 一志 )
2008/02/13 15:42

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