日本電気株式会社(NEC)は2月14日、サービスプラットフォームソリューションのグローバル展開に向けて、米BEA Systems、米EMC、米Microsoft、米Hewlett-Packard、米Oracle、米Sun Microsystemsの6社と提携すると発表した。
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NEC取締役執行役員専務・相澤正俊氏
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NEC取締役執行役員専務・相澤正俊氏は、「企業におけるITシステムの使われ方が変化している。それに伴い、パートナー各社との協業も、単に製品や技術といったプロダクト領域にとどまらず、新たなビジネスモデルを前提としたサービスプラットフォームソリューションに踏み出す必要に迫られている。コンサルティングからシステムモデルの提供、プラットフォームインテグレーション、プロダクト提供に至るまでを網羅し、従前よりも一歩踏み込んだ協業体制が必要だと感じた」と、今回の協業の狙いを語る。
具体的には、サービスプラットフォームソリューションの開発として、NECとパートナー各社が持つ、「製品」、「技術」およびサービスプラットフォームソリューションを構成するための「システムモデル」とを組み合わせたソリューションを開発するほか、システムモデルに組み込むためのミドルウェア製品などとの連携を強化し、検証を行う。また、グローバルSIビジネスの拡大を目指し、より広範な標準化の推進、および高信頼性を必要とするサービスプロバイダやキャリアなどの顧客をターゲットとしたサービスプラットフォームソリューションビジネスを、世界規模で共同で拡大していく。
主なターゲットとして、PSA(通信や金融業界などで必要とする大量なオンライントランザクションをリアルタイムに並列処理する基盤業種)やSOAによる「業種向け領域」、メディアコンテンツ管理、ストリーミングなどの「映像領域」、ECM(Enterprise Content Management)やBI(Business Intelligence)などの「情報管理・活用領域」、IDM(Identity Management)をはじめとする「セキュリティ領域」、コンタクトセンター向けの「コミュニケーション領域」などをあげている。
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グローバルアライアンスの概要
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協業領域
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各社との協業領域
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NEC執行役員・富山卓二氏
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「協業領域については、随時、拡大していく」(NEC執行役員・富山卓二氏)としており、「NECにとっては新たな付加価値ソリューションを提供し、グローバルにSIビジネスを拡大することができる。また、パートナーにとっては新たなソリューションによる新規市場の開拓、プラットフォームソリューションビジネスの拡大といったメリットがある」とした。
さらに、「新たな通信サービスの開発および実行基盤といったキャリア向けSDP(Service Delivery Platform)、銀行支店システム、IPコンタクトセンタやビリングシテスムなどのサービス提供型の基幹システム再構築といった既存領域に加えて、映像配信、EC、ユビキタスといった新サービス事業のためのシステムといった領域で展開していく。これらの3つの領域では、ターニングポイントを迎えており、サービス提供型の仕組みが求められている」(相澤氏)などとして、今回の協業の狙いを語った。
NECでは、今回の協業により、海外市場において、今後3年間で500億円の売り上げを見込んでいる。
NECでは、2007年4月に、サービスプラットフォームソリューションを発表。サービスプラットフォームを短納期で、高品質システムとして構築するために、実例に基づくシステムモデルを用意している。検証済みの製品群によって構成されるテンプレートや、コンサルティングサービス体制を整え、さらにミドルウェアなどの製品群を用意している。「顧客の用途に応じて容易に構成再定義、カスタマイズが可能になっているのが特徴で、この1年で導入成果が出ている」(相澤氏)という。
会見ではパートナー各社からもコメントが寄せられた。
日本BEAシステムズ・志賀徹也社長は、「SOA分野における協業がグローバルで推進できる。顧客と一対一モデルのスクラッチモデルによる構築ではなく、きちっとしたアーキテクチャの上でモデルを提案できるようになる」とし、EMCジャパン常務執行役員・ロバート・スティーブンソン氏は、「NECとは2006年から提携し、NECとEMCの経営陣は同じビジョンを持っている。グローバルソリューションの展開に今回の協業は欠かせない」とした。
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日本BEAシステムズ・志賀徹也社長
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EMCジャパン常務執行役員・ロバート・スティーブンソン氏
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また、米Hewlett-Packard NECグローバルアライアンスディレクターのマイケル・ヤング氏は、「長い期間におよぶNECとの協業に基づいた新たなアライアンスであり、サービスプラットフォームソリューションの時代へと突入するなかで、革新的な新たなソリューションを提供できる」とコメント。マイクロソフト執行役常務・平野拓也氏は、「NECとはデスクトップ分野において約30年にわたるパートナーシップがあり、サーバー領域でも戦略的パートナーシップがある。今回の協業では、通信領域における事業をグローバル展開を視野に入れて、とくに、コンクタトセンター・ソリューションをグローバルに取り組む」とした。
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米Hewlett-Packard NECグローバルアライアンスディレクターのマイケル・ヤング氏
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マイクロソフト執行役常務・平野拓也氏
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さらに、日本オラクル常務執行役員・三露正樹氏は、「NECは米本社もコミットするナンバーワンのパートナー。グリッド、DWHといった領域において世界的な協業が可能になる」とし、米Sun Microsystems コーポレイトデベロップメントアンドアライアンスディレクターのアルベルト・スザーノ氏は、「ソリューションベースのアライアンスを、日本市場だけでなく、グローバルに提供できる規模を拡大した協業になる」と話した。
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日本オラクル常務執行役員・三露正樹氏
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米Sun Microsystems コーポレイトデベロップメントアンドアライアンスディレクターのアルベルト・スザーノ氏
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■ URL
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
プレスリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0802/1401.html
( 大河原 克行 )
2008/02/14 18:15
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