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エンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 執行役員の松本芳武氏
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HPの省エネ化の成果と約束
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日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は2月18日、グリーンITへの取り組みに関する記者説明会を開催した。
登壇したエンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 執行役員の松本芳武氏はまず、ワールドワイドでの活動を説明。米HPでは、社会貢献という枠組みの中で環境保護基準を定め、「リサイクル・リユース」「環境配慮設計プログラム」「エネルギー消費量の削減」「サプライチェーンにおけるグリーンIT推進」の主に4つを推進しており、具体的な数値目標としては、2010年までに2005年実績比で消費電力25%削減を掲げている。松本氏によれば、この25%という数字も実は、「当初20%削減という目標だったが、2007年の時点で19.2%の削減に成功できてしまったため、2008年2月に再設定した目標値なのだ」という。
達成に向けては「データセンターの統合など当社自身のダイエットを行うほか、提供する製品の省エネ化と、省エネを実現するサービスの提供などをさらに進めている」と説明。データセンターの統合は2006年以来の取り組みで、85以上のデータセンターを6カ所・3拠点に集約するという大規模なもので、これにより「HP本社のあるパロアルト市民の1年分の電力削減が見込まれる」(同氏)と語った。
IT以外の領域でも、WWF(世界自然保護基金)とのパートナーシップを進めるほか、2007年11月には、サンディエゴ事業所に5000枚のソーラーパネルを設置し、アイルランドにおいては風力エネルギーの購入契約を結んだことを発表している。
松本氏氏は「こうした取り組みの結果、2007年3月のFORTUNE誌では、“10 green giants(環境分野の巨人10社)”に選ばれ、315人の世界規模投資家によって行われたCDP(環境保護活動開示プロジェクト)でも、IT企業としては唯一HPが100点満点を取得している」とアピール。
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環境保護活動
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データセンターの統合
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HPが提唱する2つの効率化指標。2007年12月にはサーバー効率化の指標「SPECpower_ssj2008」が完成している
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テクノロジーソリューション事業統括 マーケティング統括本部 Adaptive Infrastructure ビジネス本部 担当マネージャの高原明彦氏
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NTTファシリティーズとの業務提携
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日本HPのグリーンITソリューション全体像
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では、国内の取り組みについてはどうか。同氏はまずNTTファシリティーズとの業務提携を例に挙げ、電源・空調・建築分野からの取り組みを進めている点を説明。さらに「HP BladeSystem c-Class」によって電力削減できたCO2排出量に応じて、顧客の毎月のリース料を減額する「CO2 削減インセンティブプログラム」を紹介し、国内においても積極的に活動していることを示した。
顧客に対しても「ITシステム自体の省エネ化を図るものと、ソリューションによって運用の省エネ化を実現する2通りのアプローチで、豊富なグリーンITソリューションを取りそろえている」(テクノロジーソリューション事業統括 マーケティング統括本部 Adaptive Infrastructure ビジネス本部 担当マネージャの高原明彦氏)。
この内ITシステム面では、チップレベル、プレードシステム、ストレージ、ラックレベル、データセンターレベル、ならびにPC・プリンタでの取り組みを進め、チップレベルでは省電力CPUへの投資や積極採用などで15%、ブレードシステムでは36%の省エネを実現。また環境を考慮に入れたとき、「特に注力すべきなのはブレードシステムで、電源・ファンの共有や効率的なエアフローが確保できるブレードシャーシはそれ自体が“究極の省エネマシン”。ハードウェア・ソフトウェア両面で革新していく意味は大きい」としている。
さらに「データセンターの現状を見ると、すでに2004年の時点でサーバーのコストよりもそれを支えるインフラのコストの方が上回っている。2008年には単純に電気代だけでもサーバーのコストを超えてしまうだろうと試算されている」とデータセンターレベルでの取り組みの重要性も説く。
「データセンターの全体最適化を行うサービスが増えている中、当社でもダイナミック・スマート・クーリングなどのサービスを提供している。提供開始当時は、“問題なのは分かるけど多額の費用を投じてまで行う必要があるのか?”というのが一般的な認識でなかなか好評を得られなかったものだが、最近になってようやく日の目をみるようになってきた。それは今がまさにIT業界の変曲点であることを示してもいる」(同氏)とした。
ソリューション面からは、仮想化技術やオートメーション技術などによりIT機器を整理し、リソース稼働率を高める「インフラソリューション」、生産管理・流通管理システムなどを活用することで、運送の最適化を行う「SCMソリューション」、Web会議で出張コストを削減する「テレプレゼンス」などを提供していると説明した。
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インフラソリューション
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SCMソリューション
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テレプレゼンス
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松本氏によれば「世界規模で25%削減というように、日本HPとして国内での目標値というものは掲げてはいないが、2008年2月には日本HPグリーンITイニシアチブを発足している。戦略立案を行うコアメンバーと現場のエンジニアから計100名ほどで構成されており、幅広いグリーンIT実現に向けたさらなる取り組みを行っている。今後も環境保護企業としてさまざまなことをコミットしていくことができるはずだ」とのことだ。
■ URL
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
( 川島 弘之 )
2008/02/18 18:27
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