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マイクロソフト・ヒューストン社長、PLAN-Jの成果に強い自信

課題はITエンジニアに対する施策に

ダレン・ヒューストン社長
 マイクロソフト株式会社のダレン・ヒューストン社長は2月18日、石川県金沢市の同社北陸支店で会見を行い、今年6月末で終了する3カ年の中期経営計画「PLAN-J」について、「これ以上の満足はないといえるほどに、満足している」として、計画が成功裏に進んでいることを強調した。

 PLAN-Jでは、「日本における投資の拡大」、「政府および教育機関、産業界とのより深く明確なパートナーシップ」、「企業およびコンシューマ双方における技術革新」を掲げ、具体的な取り組みとして、中小企業および教育分野、官公庁におけるIT利活用の促進活動、ITデバイドを解消するための企業市民活動、シニア向けのIT利活用促進などを推進してきた。

 「この約3年間にわたって、他のMicrosoftの現地法人よりも、日本法人に対するビジネスパートナーやエンタープライズユーザー、政府関係者からの満足度が高まっている。高い評価を得ることができ、信頼関係を構築できた。People Ready Businessを提唱している当社が、それを実践しなくては、それをどう提案していくのか。マイクロソフトは、日本において最も働きがいのある会社であるという評価も得ており、People Ready Businessを実践していることを示すことができた」とした。

 また、「3年前には、マイクロソフトの社員は、笑顔がなく、頭を垂れている印象が強かった。マイクロソフトのロゴを使用することを恥じている雰囲気もあり、社内で、iPodを使ったり、検索にGoogleを使ったりといった様子も見られた。自分の会社に自信をもっていなかった。だが、PLAN-Jを通じた企業市民活動への取り組みなどにより、社員は会社に対するプライドを持つことができた。いまでは、社内で、iPodを聞いている人はいない。もちろん、相手を研究するという意味では、必要なことだが、それ以上のものであってはいけない。私の息子は、任天堂のWiiが欲しいといっているが、私は買わない。競合の製品で楽しむのではなく、自社の製品を使うのが大切であり、その意識が浸透してきた。この3年間で、社内の文化が変わっている」とした。

 一方、「Windows VistaおよびOfficeの発売直後は、コンシューマPC市場の反応が鈍く、PC市場を喚起することができなかったが、いまではそれも解決している」として、発売2年目に突入したVistaの動きに手応えを感じていることを示した。

 さらに、「満足できていない点をあげるとすれば、ITエンジニアをいかにハッピーにするか、という点。とくに、Webデザイナー、Webデベロッパー、コードを書いている開発者や、NEC、富士通、日立といった大手コンピュータメーカーの孫請けなどをしている開発会社の技術者に対して、支援施策を推進する必要がある」とし、「この点については、まだ正しい方程式といえるものが出せていない。来週、ITエンジニア向けの新たな施策を発表する予定であり、ここで大胆なアプローチを開始する。最新のツール、トレーニングプログラムを提供することでスキルアップを支援したい。マイクロソフトは、忍耐強い会社であり、常に改善を続けている。ITエンジニアに対する施策でも、必ず正しい方程式が出せるし、それが実現するまで愚直に取り組んでいく」と語った。


 次期中期経営計画の策定については、検討中としたものの、「継続的に中期経営計画を策定することになるだろう。現在、PLAN-Jで推進している取り組みは、新たな中期経営計画でも継続することになる」とした。

 ヒューストン社長からは、「PLAN-J 2.0」という言葉が飛び出したが、これはあくまでも仮称とした。

 一方、PLAN-Jの成果のひとつとして、全国10拠点体制とした支店展開をあげ、なかでも、昨年6月に開設した北陸支店の成果が高いことを示した。

 「先日、米国本社でのミーティングに参加し、支店開設は、日本法人にとって、最高の投資であることを改めて認識した。地方に拠点を置き、地域のビジネスパートナーと緊密に連携した取り組みが、新たなビジネスの創出につながっており、パートナーからはマイクロソフトを身近に感じることができるようになったという声を聞く。私は、米Starbucksに勤務していた時代に、2時間の移動時間が必要なところは、きちっとサポートできていないとおもえということを学んだ。現在、沖縄を除き、98%のビジネスパートナーに対して、2時間以内でサポートできる体制が整った。新たに開設した北関東(高崎)、北陸(金沢)、四国(高松)の各支店は、平均以上の成績を出している。とくに、北陸支店は全支店で最高の業績をあげている。ビジネスの成長率が高い点、広く、深いパートナーシップを確立できている点を評価している」とした。


北陸支店 支店長の中林秀仁氏
 マイクロソフト北陸支店は、2007年6月に開設。石川県、富山県、福井県の3県をカバーしている。

 北陸地域におけるパートナー連携強化のほか、公的機関や教育機関、地元中小企業に対するIT化支援、さらには地域のシニア向けに対する訴求活動などにも取り組んできた。

 同支店の中林秀仁支店長は、「支店を開設してから、マイクロソフトの顔が、パートナー、ユーザーに見えていないことを改めて実感した。パートナー、エンドユーザーのことをよく知るための活動に力を注いでいる。昨年9月から、セミナールームを稼働させ、これまでに40回以上の技術セミナーなどを実施し、さらに、県庁の外郭団体などが主催するイベントにも10数回参加した。売上高は、好調に推移し、目標値を上回っている。新たなパートナーのリクルート活動も予定通りに進んでおり、パートナーのMCP資格取得者の増加といった技術者の育成も進んでいる。今後は、ゴールドパートナー、認定パートナーに対する支援強化を進めていきたい。また、SharePoint Serverが、公共、民間を問わず、また大規模から中堅クラスの企業まで幅広い引き合いがある。この需要にパートナーと一緒になって応えていく必要があり、この分野における情報提供、技術者育成を急ぎたい」とした。


 一方、東芝のHD DVD撤退報道に関してヒューストン社長は、「まだ決定しているものではなく、なにもコメントするものはない。ただ、コンシューマ製品においては、こうした対立が起こるものであり、それが技術の進化につながる。ただ、Xbox 360では、なにか検討しなくてはいけないかもしれない。だが、初代Xboxは、毎週売り上げが下がっていったが、Xbox 360は、毎週売り上げが伸びている。コンテンツに集中しており、今後は、漫画をはじめとする日本のクリエイティブなコンテンツを世界で展開する必要があると考えている」とした。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/


( 大河原 克行 )
2008/02/19 10:45

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