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日本アスペクト、コンタクトセンター向け統合コミュニケーションの市場動向と戦略を説明

“知る人ぞ知る”会社からの脱却を目指す

米Aspect Software CTO兼エグゼクティブ・バイスプレジデントのゲリー・バネット氏

コンタクトセンターへのコミュニケーション手段
 日本アスペクト・ソフトウェア株式会社(日本アスペクト)は2月20日、同社のコンタクトセンター向けユニファイドコミュニケーション戦略に関するプレス向け説明会を開催した。今回の説明会は、2008年度の新たなプロダクトビジョン「Unified Communication for Contact Center(コンタクトセンターのためのユニファイドコミュニケーション)」の詳細内容が、3月10日(米国時間)に正式発表されるのに先立ち行われたもの。米本社からCTO兼エグゼクティブ・バイスプレジデントのゲリー・バネット氏を招き、コンタクトセンター向けユニファイドコミュニケーション市場の現状と将来性などを説明した。また、あわせて日本アスペクト 代表取締役社長の小枝逸人氏が、日本市場における2008年度の戦略を発表した。

 説明会では、まず、バネット氏がコンタクトセンターにおけるユニファイドコミュニケーションの重要性について、「現在、コンタクトセンター業界は、1件ごとに応対して完結するトランザクションベースのコミュニケーションから、リアルタイムコラボレーションへと移行しつつあり、その鍵となるのがユニファイドコミュニケーションだ。これは、社内のすべてのコミュニケーション手段を網羅するものであり、コンタクトセンターとの融合が実現することによって、アクセスしてきた顧客に対し、コンタクトセンター内のエージェントだけにとどまらず、企業全体のナレッジワーカーと連携して、最適なサポートを提供できるようになる」と述べた。

 顧客からのコンタクトセンターへのコミュニケーション手段についても、「2005年と2007年を比べると、いずれも電話による音声でのコミュニケーションが7割以上を占めているが、2007年にはこの比率がやや減少し、メールの比率が増加した。今後、ユニファイドコミュニケーションとの融合が進むことで、顧客のコミュニケーション手段はさらに拡大し、コンタクトセンター市場に大きな変革をもたらすことになるだろう」と指摘した。

 ユニファイドコミュニケーションがコンタクトセンターに与える具体的な影響としては、コンタクトセンターのエージェントにとって、1)問題解決までのサイクルを短縮できる、2)顧客の問い合わせに迅速に応対できる、3)潜在的な顧客に対してより効率的にサービスや商品をアップセルできる、といったメリットをもたらす。また、顧客対応の簡素化、顧客ニーズへの対応力向上、企業ワーカーの稼働率向上を実現することで、顧客ロイヤリティの向上、顧客体験の満足度向上、さらには売り上げの増加やコスト削減にもつなげることができるとしている。

 バネット氏は、「今後、コンタクトセンターは、ユニファイドコミュニケーションの心臓部として重要な役割を担っていくと確信している。そして、これは顧客にも大きなメリットをもたらすことになり、顧客が真に求めている情報を迅速かつ的確に提供するとともに、必要に応じてチャットから音声に切り替えるなどアクセス手段を自由に選ぶことも可能になる」と説明した。


統合プラットフォーム「Aspect Unified IP」の概念図

日本アスペクト 代表取締役社長の小枝逸人氏
 同社では、同分野製品の第1弾として、2007年12月に統合プラットフォーム「Aspect Unified IP」、およびコンタクトセンターのパフォーマンスを最適化する「PerformanceEdge」を展開しており、3月10日の戦略発表では、この2製品を中核として、コンタクトセンターとユニファイドコミュニケーションとの融合を加速させるための新たなソリューション、製品ロードマップなどを公開する予定だという。

 バネット氏の説明を受け、日本アスペクトの小枝社長は日本市場向けのビジネス展開について、「日本でも、いまだに多くのコンタクトセンターが、非常に複雑で運用コストの高いシステムを利用しているのが現状。これらに向けて、当社では、ユニファイド化によってシンプルなシステムを実現するAspect Unified IPと、運用面からのパフォーマンス最適化を図るPerformanceEdgeを提案し、他社より一歩進んで市場開拓に力を注いでいる」と述べた。

 Aspect Unified IPについては、統合プラットフォームによるシンプル化のメリットがコンタクトセンターに浸透し始め、受注案件が増加しており、すでに通信業界および金融業界の大型ユーザーに導入実績を持つという。PerformanceEdgeについても、運用最適化のメリットが徐々に浸透しつつあり、今後1~2カ月以内に導入が決まる案件があるとのこと。

 2008年度の戦略としては、「より多くのコンタクトセンターに、当社の提唱するメリットに気づいてもらう」ことを目指し、1)ブランド力の向上、2)営業力の強化、3)サービス力の拡張、の3点を掲げた。

 ブランド力の向上では、組織をあげて企業認知度の向上に取り組む方針で、「知る人ぞ知るアスペクト」からの脱却を図りたい考え。具体的には、広報・宣伝などを軸にブランド戦略を積極的に実践していく予定だ。

 営業力の強化では、これまでの販売代理店のみに頼っていた製品販売から、ソリューション営業への転換を図り、同社の営業部隊が直接顧客にアプローチするハイタッチの営業体制を構築する。また、引き続き販売代理店の増強も進めていく。

 サービス力の拡張としては、攻めのコールセンターを目指し、コールセンターを戦略ポイントに変えるためのベストプラクティスを提供するほか、プロフェッショナルサービスのメニュー化販売や、アスペクト標準の製品トレーニング・ワークショップの定期的な開催などを計画している。



URL
  日本アスペクト・ソフトウェア株式会社
  http://www.aspect.com/japan


( 唐沢 正和 )
2008/02/20 16:54

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