クリアスウィフト株式会社は3月5日、Web 2.0ツールを含めたインターネットセキュリティポリシーの策定・監視状況などに関する調査結果を発表した。対象は国内の人事担当者103名で、オンラインによる調査を2月19日~22日に行っている。
まず、インターネットポリシーの作成を担当している部門を問うたところ、「人事部門」のみと答えたのはわずか16%に過ぎず、「IT部門」のみの33%と比べて半数以下。また、両者による共同策定というところは、日本の26%に対して米国が60%、英国が44%で、英米と比べると低い割合になった。
続く「従業員のインターネット利用の監視」という設問は、「IT部門」がもっとも高く52%にもおよぶ一方、「人事部門」が8%、「人事部門とIT部門」が12%とIT部門に頼っている現状がはっきりと見て取れ、海外と比べても、人事部門による関与の低さが見て取れるという。これについては、「ポリシー違反の判断」を問うた設問でも、「IT部門が人事部門へ違反状況を通知する」回答が33%でもっとも高く、やはり「IT部門の通知に頼っている現状が見える」(クリアスウィフト)。
このような傾向は、人事部門の任務意識を問うた設問に、特に現れている。以前からの業務といえる「給料、年金・保険、従業員の休暇申請管理」や「従業員の採用・保持」については、6割以上が「重要」「非常に重要」と考えているのに対し、「従業員のインターネットとメール利用の監視」を「重要」「非常に重要」と考えている割合は3割以下。情報技術の利用にかかわるのはIT部門で、人事部門の仕事ではないという意識を持っている傾向がわかるというのだ。
同社 マーケティング・コミュニケーションのメイソン・さや佳氏はこうした傾向について、「人事の担当者は会社のあり方やルール、倫理を推進する立場であるのに、インターネットという技術がからむ部分は、IT管理者にまかせてしまっている。一方IT管理者は、監視はしていてもルールを完全には理解していないというように、お互いかみ合っていない。きちんとしたポリシーを作るためには、もっとお互いが関心を持ってかかわっていくべきではないか」とコメントした。
さらに、ブログやSNS、Wikipedia、ビデオ共有サイト、匿名掲示板、WebメールといったWeb 2.0系サイト(クリアスウィフトの定義による)を認識しているかどうかを問うた設問では、「詳しくは知らない・聞いたことがない」とした回答者が39%あり、欧米と比べても高い割合となっている。同社が昨年調査した結果では、Webメールなど、すでに社内での業務利用が5割を超えるものも出始めており、倫理規定を管理する立場の人事担当者がWeb 2.0を把握していない点は、リスクになりかねないと警告する。
「Web 2.0がビジネス上で及ぼすリスクもあるが、生産性を向上させるメリットもあるので、人事部門はテクノロジのメリットとデメリットを正確にとらえて、効率的に採用できるかどうかを考えていくべきだ。そのためには、コンテンツフィルタ製品などの導入も1つの手段で、ただ単に新しいテクノロジを禁止するのではなく、許可して使わせながら、利便性を最大限に引き出していくことも考える必要があるだろう」(メイソン氏)。
■ URL
クリアスウィフト株式会社
http://www.clearswift.co.jp/
( 石井 一志 )
2008/03/05 11:34
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