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デル、2009年度の戦略を発表-「成熟した日本市場にもチャンスはまだまだある」


米Dell 日本/アジア太平洋地域統括責任者のスティーブ・フェリス氏

グローバルでの2008年度の業績
 デル株式会社は3月5日、2008年度(2007年2月~2008年1月)の業績と2009年度(2008年2月~2008年1月)の事業戦略に関する説明会を開催。説明会には、同社代表取締役社長のジム・メリット氏、および米Dell 日本/アジア太平洋地域統括責任者であるスティーブ・フェリス氏が出席した。

 2008年度のグローバルでの業績は、売上高が前年比6%増の611億ドル、営業利益が前年比12%増の34億4000万ドルと引き続き好調に推移したと発表。フェリス氏は、「直近の第4四半期を見てみると、BRICs地域の売上が36%増と大幅に伸びたほか、ノートPC製品も24%増と高い成長を遂げたのが大きな要因となった」と、新興国市場での成長が牽引したと説明。このうち、日本を含むアジア太平洋地域の第4四半期の実績を見ると、出荷台数・売上・粗利・営業利益のそれぞれで計画を上回る成績を収めたと述べた。

 エンタープライズ事業に関しては、「Simplify IT(ITのシンプル化)」戦略を昨年10月に発表。ITのシンプル化は、ハード・ソフト・インテグレーションを組み合わせることで、顧客に対して“シンプルな”IT環境を提供するもので、いくつかのソリューションが発表されている。そのほか、低消費電力が特長のブレードサーバー、EqualLogic買収によるiSCSIストレージなどの製品を投入したことも紹介。「環境問題を非常に意識しており、新製品のブレードサーバーなど低消費電力製品を発表するなど、グリーンITに企業として取り組んでいる」と、環境を意識した取り組みにも触れた。


代表取締役社長のジム・メリット氏

今年度の重点課題
 国内での取り組みに関して、メリット氏は、「BRICsと違い、日本は成熟した市場。とはいうものの、ノートPCビジネスや企業のPC買い替え需要、レガシーシステムからの移行など、チャンスはまだある」と、同社にとって成長の余地は十分にあると説明。実績として、法人事業の売上の伸び率が市場平均の2倍以上であることや、営業利益が前年比50%増を実現したことなどを紹介。「オラクルなどと比べて、デルは利益率が低いビジネスを行っているといわれたが、ビジネスそのものの多様化により利益率も高まっている」と、順調に推移していると説明した。

 2009年度に関しては、引き続き収益性の高い成長を目指すと説明。エンタープライズ分野では、ITのシンプル化戦略の促進、Dell EqualLogic製品の活用、顧客との接点拡大を実現すると述べた。「特にEqualLogicは重要な要素と見ている。EqualLogic単体製品の提供はもちろん、Dell+EqualLogicによるiSCSIストレージマーケットの開拓などを推進する」(メリット氏)と強調した。

 SMB分野では、各チャネルとの関連づけを充実化することでカバーしていくと説明。「専任パートナーを用意するなど、付加価値提案を強化する」(メリット氏)と、サービスの価値を高めることで、SMB市場を開拓する考えを示した。

 そのほか、ノートPC分野については、引き続き競争力のある製品を投入することを発表。コンシューマ分野に関しては、小売りパートナーを引き続き開拓することなどを発表した。「各分野に注力するのはもちろん、それらすべてにおいてサービスを強化し、顧客満足度を高めていく」と、サービス分野も引き続き力を入れる考えを示した。

 なお、クアッドコアOpteronプロセッサのエラッタによる出荷遅れがもたらした影響については、「Opteronの出荷遅れは業界全体に影響を与えた。(Opteron搭載の仮想化サーバーが未発表であることは)他に仮想化対応ソリューションという受け皿があったので、影響は少なかった」と、製品投入に影響したものの、仮想化ソリューション全体での影響は軽微であると強調した。



URL
  デル株式会社
  http://www.dell.com/jp/
  プレスリリース
  http://www1.jp.dell.com/content/topics/segtopic.aspx/pressoffice/2008/080304?c=jp&l=ja&s=corp


( 福浦 一広 )
2008/03/05 15:04

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