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「注目技術は、次世代のDataCenter Ethernet」-米Foundry


 米Foundry Networks(Foundry)は、レイヤ2/3およびレイヤ4-7ソリューションの老舗であり、それぞれの分野で高いシェアを維持しているネットワーク企業だ。また、新技術を積極的に開発し、製品に実装することにも力を入れているという。今回は、同社のハイエンド&サービス・プロバイダ・システムズ ディレクタ、アメド・アブデルハリム氏に、同社の近況や注目している新技術などについて、話を聞いた。


ハイエンド&サービス・プロバイダ・システムズ ディレクタ、アメド・アブデルハリム氏
―まず、直近の業績からお聞かせください。

アブデルハリム氏
 おかげさまで、2007年は過去最高の年間6億ドルを超える売り上げがあり、四半期ベースでも過去最高を記録しました。この数字からもビジネスが順調に推移しているのはおわかりいただけると思います。


―そうした好調ぶりは、何が一番影響しているのでしょう?

アブデルハリム氏
 最大の要因は、ハイエンドのサービスプロバイダ向けビジネスが好調だからなんです。現在、このエリアには1500社ほどの主要な顧客がいらっしゃって、そのうち約500社がNetIron XMR/MLXのバックボーン/メトロルータを使われています。また、1000社ほどがBigIron RXのユーザーでして、これらの累計出荷ユニット数は5000を超えるほどになりました。


―出荷も順調のようですが、実際の環境では、それらはどのように使われているのでしょうか。

アブデルハリム氏
 ユーザー体験をできるだけ向上させ、従来のボトルネックを解消することを目的にしています。例えば、ネットゲームの例があります。これはアジアでは非常に大きな産業になっていて、米国でも盛り上がりつつあるのですが、バンド幅が狭い場合に、データ配信パスが非常に遅くなってしまうという問題があります。同じことが、コンテンツ配信にもいえます。そこでお客様ではこの問題を解決するために、複数のバックボーンを並列で構築し、大量のオンラインコンテンツの配信に遅延が出ないようにしました。

 またあるケーブルテレビの企業では、ビデオを効率的に配信するために、ネットワーク全体をNetIron MLXで構築し、レイヤ2とMPLS/VPLSの技術を効果的に使っています。別のメトロ間サービスの例では、統合された領域でMPLSを、メトロの領域ではレイヤ2とQ-in-Qの技術という、別の手段を使ってネットワークを効率化した例がありますね。同じ領域内をつなぐときにはレイヤ2だけを使い、別のメトロへ飛ばす時にはNetIron XMRを介してMPLS/VPLSを使っているんです。


―やはり、MPLSはキーテクノロジーとして利用されているのですね。これらの例はキャリアでの活用例ですが、エンタープライズのネットワークでも、MPLSが採用されるようになるのでしょうか?

アブデルハリム氏
 確かに今フォーカスはキャリア向けになっていますけれど、大規模企業や教育機関、政府機関がネットワーク運用の中でのMPLSを使いたいという声が高まってきているのは事実です。例えば米国での事例ですが、フロリダにある地方交通局でMPLS/VPLSを使いたいという要望がありました。現地の法律の規定で、クレジットカードのトラフィックは別に管理しなくてはいけないんですね。で、分けなくてはいけないのであれば、MPLSを使いたいということでした。このほか、患者の個人情報のトラフィックを別に管理しなくてはいけないという、ヘルスケア分野でも同じような需要がありました。

 またサービスプロバイダでも、MPLS/VPLSをエッジにまで拡大した方が統一した管理に役立つという考え方があります。シンプルなGUIベースのマネジメントシステムでシステムを統一して展開できるので、ネットワークオペレータへのトレーニングなどでメリットを受けられるからです。


―ただ先ほどは、コアをMPLSで、エッジをレイヤ2で、というように、アーキテクチャを分けて構築された例を紹介いただきましたが?

アブデルハリム氏
 それは、どのメリットを優先したいかによるんです。ネットワーク全体に統一したテクノロジを入れることのメリットは理解していても、レイヤ2の専門知識のあるオペレータが多いのであれば、その知識を使いたいという要望もまたあります。それから、当社でもさまざまな努力をしてMPLS対応製品の価格を低減していますが、それでもやはりレイヤ2の製品の方が導入コストが低いですからね。


―なるほど。それでは話は変わりますが、今、一番注目している技術は何でしょうか?

アブデルハリム氏
 なんといっても次世代イーサネット向けの技術でしょう。IEEEやMEFで関与しているCarrier Ethernetの取り組みにも参画していますし、当社はHigher-Speed Ethernet Study Groupの創立メンバーであり、ここでは100Gigabit Ethernet(GbE)や40GbEの標準化へ取り組んでいます。

 当社は、2005年の時点でスロットあたりで100Gbpsの性能を持つ製品を最初にリリースしており、その後のBigIron RXやNetIron NLXなどでもサポートしてきました。100GbEを提供する最初のベンダーとなれるように、R&Dにも継続的に投資してきています。なお、100GbEに関してはIEEE 802.3baで取り組まれていまして、40GbEと同じ標準化の文書の中にまとめて情報を提供する予定です。まだ時間がかかりますが、2010年くらいには文書が出せるでしょうか。


―100GbEは、以前から注目を集めていますが、まだ時間がかかりそうなのですね。それ以外に、これから出てくるであろう、面白い技術はありますか?

アブデルハリム氏
 まず、メトロ、バックボーン、データセンターという3つのキーエリアがあると思っていますが、それに加えて2つの興味のあるエリアが登場してきていますね。それは、ハイスピードバックボーンと、データセンターの統合という分野です。後者は、データセンターのEthernetを進化することが前提になりますが、InfiniBand、Myrinet、FCなどがEthernetの特性を持った形で統合されます。

 このDataCenter Ethernet(DCE)は、まだはっきりと技術として出てくるにはほど遠い段階ですが、さまざまな議論をIEEEの取り組みの中でしており、主に2つの要素が重要になるだろうと想定されています。まず1つ目は低遅延で、これは当社製品がすでに強みにしていることなのですが、さまざまなサービスが複雑に融合することになるので、それらをまとめていくのが難しいところです。2つ目は消費電力の削減ですが、これについても当社は業界をリードしていまして、他社の同等製品と比べて4割はすでに節減されています。

 とはいえ、さまざまな要素が入りますから、Ethernetでは問題でなかった部分に問題が出てくるでしょうし、こうしたコンセプトが実証され、実効可能性が証明されるのには、少なくとも3年はかかりそうです。そのころに提供が予定されている、40GbEで取り組みを進めていこうと思っていますが。


BigIron RX-32
―では最後に、日本市場での状況を教えてください。

アブデルハリム氏
 日本は全売り上げのうち6%を占めており、エンタープライズ向けのビジネスで強みを発揮していましたが、最近ではサービスプロバイダ関連も伸びています。NGNがネットワーク全般にどういう影響を与えるかという点についてまだ不安があり、国内のキャリアは慎重なアプローチを取っていますが、サービスプロバイダやメトロ関連での採用が順調に進んでいますね。高速インターネットアクセス、VoIP、FTTH、データセンターを中心としたアプリケーション配信といった分野もあります。

 また近々、理化学研究所のHPC環境で、BigIron RX-32を採用していただいたことを発表します(注:3月6日に発表された)。すでに当社の小型製品をご利用いただいているのですが、今回採用されたBigIron RX-32で統合することにより、遅延を下げることが目的です。遅延が下がれば、それだけパフォーマンスが上がりますからね。また、1つに機器をまとめることで管理性も、省エネ性も向上しますので、大きなメリットがあるでしょう。


―ありがとうございました。



URL
  米Foundry Networks
  http://www.foundrynet.com/
  ファウンドリーネットワークスジャパン株式会社
  http://www.foundrynetworks.co.jp/
  プレスリリース(理化学研究所へのRX-32導入)
  http://www.foundrynetworks.co.jp/about/newsevents/releases/article_releases.html?article_id=178&version=1


( 石井 一志 )
2008/03/12 18:42

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