インテル株式会社は3月19日、エンタープライズ市場における取り組みを説明する「インテル・デジタル・エンタープライズ・アップデート・ミーティング」を開催。45nmプロセッサなど2007年の取り組みを振り返るとともに、2008年に予定される活動方針などが説明された。「2008年は45nmプロセッサ拡販の年」とマーケティング本部長の江田麻希子氏が語るように、2008年のインテルは環境、サーバー、新プラットフォームなどさまざまな観点から「45nm」に注力し、事業を展開していく方針だ。
■ 2008年にはすべてのセグメントへ45nm製品を展開
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マーケティング本部長の江田麻希子氏
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最初に登壇した江田氏は、主に環境に対するインテルの取り組みを説明。「45nm High-kプロセス製品にさらに注力し、サーバー製品・クライアント製品ともに温室効果ガスの排出量を抑え、環境への負荷を軽減していく」とした。
インテルの環境活動の幕開けは、1994年の環境レポート公表にまでさかのぼる。以来、エネルギーレポートの公表や半導体における地球温暖化抑制の目標を設定、グローバルでの地球環境に対する目標を設定するなど、さまざまな活動を行ってきた。
しかしまだまだ、製造などインテルの事業活動を通して排出されるCO2の量は多く、出荷された製品も考慮に入れると、年間1630万トンのCO2がインテル製品から排出されているという。江田氏は「今後は、性能向上とともに、環境に配慮した設計、製造体制、ポリシーの徹底や業界各社との連携により、製品による環境への負荷を低減していく」とした上で、「45nm製品は“エコプロセッサ”。2008年にはサーバー、デスクトップPC、ノートPC全セグメントへ45nm製品を展開していく」と意気込みを見せた。
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インテルの事業活動で排出されるCO2量-製造エネルギーによるものが最多
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インテルがもっとも環境に影響を与えているのが、出荷後も含めた製品からのCO2排出量
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2008年にはすべてのセグメントへ45nm製品を展開
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■ 2008年、ItaniumとXeonはどう進化する?
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マーケティング本部 デジタル・エンタープライズ・グループ統括部長の徳永貴士氏
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続いてマーケティング本部 デジタル・エンタープライズ・グループ統括部長の徳永貴士氏が登壇。主にItaniumプロセッサとXeonプロセッサに関するアップデートを行った。
同氏はまず、Itaniumプロセッサの国内市場動向を述べ、「2007年のプラットフォーム出荷金額ベースでは、対IBM Powerで約1.9倍、対SPARCで約1.6倍の実績を残せた」と、オープンかつミッションクリティカル領域での好調さをアピール。
この流れで2008年末には、「Tukwila(開発コード名)」の投入を予定していると紹介した。これはクアッドコアのItaniumプロセッサで、最大2GHzのクアッドコアとマルチスレッティングテクノロジーを採用。8スレッド同時処理を可能にすることで、9100番台のCPUと比較して最大2倍の性能向上を実現するという。
また時期は未定だが、Tukwilaのあとには超並列マイクロアーキテクチャの「Poulson(開発コード名)」、第9世代のItaniumプロセッサ「Kittson(同)」の投入も予定しているとし、「各世代ごとに約2倍の性能向上と優れた機能を提供していく」とした。
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Tukwilaの概要
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Itaniumプロセッサのロードマップ
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Xeonにおいては45nmクアッドコアプロセッサの性能をあらためてアピール。「マルチコアの価値につながる話」と前置きした上で、「2005年にシングルコアが限界を迎えて以来、2006年のデュアルコア(65nm)、2007年のクアッドコア(65nm)、2008年のクアッドコア(45nm)とマルチコア化を進めてきたわけだが、疑う余地のないほど明らかにパフォーマンスが向上している」とグラフを交えて説明した。
「また電力効率の面でも45nm製品は優れている」とし、65nmプロセッサと比べてアイドル時の消費電力が大幅に低減しているほか、システムとしての消費電力を量るベンチマーク「SPECpower_SSJ2008」によりシステムレベルでの省エネ化も証明されているとアピールした。
2008年末には、ハイエンドのXeon 7000番台において、「Dunnington(開発コード名)」の投入を予定している。徳永氏によれば「Xeonは2ソケットのブレードサーバーなどをメインに普及しているが、Dunningtonでハイエンド領域にも進出していくつもり」とのことで、6コア、19億トランジスタを搭載し、16MBのL3キャッシュを備えるなどの概要が紹介された。
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マルチコア化により明らかなパフォーマンス向上を実現
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電力効率でも45nm製品は優れている
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Dunningtonの概要
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■ モジュラー方式のプロセッサ、最大8コアの拡張性を持つ「Nehalem」
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インテル技術本部長の及川芳雄氏
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最後にIDF 2008のアップデート情報として、インテル技術本部長の及川芳雄氏から「Nehalem(開発コード名)」の概要が説明された。
Nehalemは、2コアから最大8コアまで実装することができる拡張性に優れたプロセッサ。各CPUコアは、「Hyper-Threading」と同種の技術で、2スレッド処理が行えるため、8コアなら計16スレッドまで同時対応が可能だ。また統合されたメモリコントローラを内蔵し、メモリに対してはソケット当たり3チャネルの通信が可能なほか、8MBのシェアードL3キャッシュと、QPIに対するソケット当たり2リンクの通信を実現。これにより「レイテンシを大幅に低減するとともに、従来比4倍のメモリバンド幅を実現している」(同氏)。
こうした機能拡張のほか、Nehalemは「モジュラー方式」を採用したのが特長。IA CoreやiGraphics、Chach、QPIなどの各モジュールをニーズに応じて組み込むことで、短期間で製造することが可能という。
このほか、HDデータのやり取りやハイエンドのゲーム市場などを見据えたVisual Computing向け「Larrabee(開発コード名)」なども概要が紹介された。これはIA Coreを複数搭載することにより、テラフロップスにも及ぶ拡張性を実現するプロセッサ。キャッシュアーキテクチャも一新するほか、Vector Memory Operationsなどの機能も最適化することで、Visual Computingのニーズに対応していく予定とのことだ。
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Nehalemの概要
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キャッシュサブシステムの強化
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Larrabee
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■ URL
インテル株式会社
http://www.intel.co.jp/
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( 川島 弘之 )
2008/03/19 16:39
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