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HDPの概要
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日立 RAIDシステム事業部 製品企画部の島田朗伸部長
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株式会社日立製作所(以下、日立)と日本オラクル株式会社は3月25日、事業継続マネジメント(BCM)ソリューションにおけるベストプラクティスを公開した。これは、両社がグリッド環境向けの検証施設「Oracle GRID Center」において共同検証した成果で、ストレージ管理手法と災害対策システムの構築・管理手法が公開されている。
公開された手法のうちストレージ管理手法は、日立のエンタープライズ向けストレージ「Hitachi Universal Storage Platform V」が持つボリューム容量仮想化機能「Hitachi Dynamic Provisioning(HDP)」と、データベースの側面からストレージ管理を行う日本オラクルの「Oracle Automatic Storage Management(ASM)」を連携させることで実現される。
HDPはいわゆるシン・プロビジョニング機能で、ストレージの物理容量を超えた大容量のボリュームを仮想的に定義できるため、導入時の複雑なボリューム設計を不要にしている。この機能とASMを組み合わせると、OSやOracle Databaseから透過的にHDD追加作業が行え、HDD増設に伴うシステム停止など煩雑な管理作業が不要になるという。また、ストレージプールの設計のみで各リソースの負荷分散が図れることから、ストレージ性能設計にかかわる作業が軽減される点もメリットとのこと。
日本オラクル セールスコンサルティング統括本部 テクノロジーレディネスSC本部 西島恒本部長は、「(Oracle Databaseと日立のストレージは)世の中で利用しているユーザーが多い組み合わせであるものの、これまでは最適解が提供できていなかった」と述べ、今回の検証によって、両社製品を組み合わせた際の具体的なメリットを、実証データとして訴求できるようになったとする。日立側でも、「これまでもHDPの効果をお客様へお話しすることはできたが、実際のアプリケーションでの効果が実証されたことで、具体的な効果の説明が可能になった」(日立 RAIDシステム事業部 製品企画部の島田朗伸部長)とし、成果を強調した。
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ASMとHDPを併用することで、ストレージ管理の効率化が実現する
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ASMのみの場合(左)と、ASM+HDP(右)とを比較すると、管理作業ステップが半減しているのがわかる
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日本オラクル セールスコンサルティング統括本部 テクノロジーレディネスSC本部 Grid Centerエンジニアの後藤陽介氏
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高負荷な環境でもきちんとフェイルオーバーが行われることを実証
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一方、災害対策システムとしては、実際のシステムを想定した大規模トランザクション環境での、ミラーリング機能「Oracle Data Guard 11g」と「Oracle Active Data Guard」の有効性を検証している。Active Data Guardは最新データベース製品であるOracle Database 11gから追加された機能で、障害対策のために構築されたスタンバイのシステムで、レポーティングなどの参照業務やバックアップ作業を行えるようにするもの。
この検証ではまず、大規模かつ高いトランザクション負荷が発生している環境で障害が起こった際でも、Data Guard 11gでミラー化されているサイトへ、きちんとフェイルオーバーがなされるかどうかを検証。「実業務を想定した環境で網羅的に検証したところ、確実に動くことが実証された」(日本オラクル セールスコンサルティング統括本部 テクノロジーレディネスSC本部 Grid Centerエンジニアの後藤陽介氏)という。
さらに、スタンバイサイトで検索処理を走らせてリソースを有効活用した際の効果についても検証。プライマリサイトで障害が起こった場合に、スタンバイサイトで同期作業以外の作業を行っていたとしても、フェイルオーバーがきちんと行われることを確認した。後藤氏は、Active Data Guardを利用せずにスタンバイサイトで負荷のかかる処理を行わせている時には、プライマリサイトから送られてくるログの適用と排他処理になってしまうことを指摘。その上で、「Active Data Guardを利用しない場合は、フェイルオーバー時に未適用ログが多いと、それらを反映してからの切り替えになり、長時間のダウンタイムが発生する。しかしActive Data Guard利用時にはログ適用とその他の処理が同時に行われているため、大幅にダウンタイムが短縮できる」と述べ、効果をアピールした。
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Active Data Guardを利用すれば、スタンバイサイトの有効活用が可能になる
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スタンバイサイトのリソースを眠らせずに利用する場合、Active Data Guard利用の有無でフェイルオーバー時間に大きな差が出ることをも実証された
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■ URL
株式会社日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/
日本オラクル株式会社
http://www.oracle.co.jp/
ニュースリリース
http://www.oracle.co.jp/news_owa/NEWS/news.news_detail?p_news_code=1843
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( 石井 一志 )
2008/03/25 17:34
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