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(左より)新会長の間塚道義氏、新社長の野副州旦氏、現社長の黒川博昭氏
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富士通株式会社は3月27日、代表取締役副社長の間塚道義氏を代表取締役会長に、経営執行役上席常務の野副州旦氏を代表取締役社長とする役員人事を発表した。6月下旬に開催される定時株主総会および終了後の取締役会を経て正式決定される。代表取締役会長の秋草直之氏は取締役相談役に、代表取締役社長の黒川博昭氏は相談役に就任する。
新社長の野副氏は、1947年生まれの60歳。早稲田大学卒業後、富士通に入社。2005年に経営執行役常務に就任し、ソリューション事業の立て直しを担当。2007年に経営執行役上席常務に就任している。海外駐在時に日米通商摩擦を経験するなど、海外経験が豊富な点が評価されたという。
新会長の間塚氏は、1943年生まれの64歳。学習院大学卒業後、富士通ファコム株式会社に入社。1971年には富士通に転社している。2003年に経営執行役常務に就任。2005年に取締役専務 経営執行役専務に、2006年に現職の代表取締役副社長に就任している。
黒川氏は今回の人事について、「2003年の社長就任以来、富士通の信頼回復および業績回復に尽力してきた。その成果として2000億円の営業利益を出すまで回復し、昨年には成長と利益を上げる富士通を目指して3カ年計画も立ててきた。(会社をひっぱるために)ワンマンコントロールをとってきたが、弊害も見え始めた。たとえば、常務会では、私の考えを意識しすぎた結果、意見をいわなくなっていたり、現場から情報が直接上がらないような状態が起こっていた」とワンマンコントロールの問題点が見えてきたことを退任の理由として説明。
新社長として野副氏を指名した理由については、「バランス感覚の優れたリーダーである点を評価した。変化に対する柔軟性のほか、海外経験の豊富さなども評価している」と説明。今回の人事は会長の秋草氏も同意見であったとしている。
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社長に就任する、経営執行役上席常務の野副州旦氏
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会長に就任する、代表取締役副社長の間塚道義氏
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代表取締役社長の黒川博昭氏
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新社長に就任する野副氏は、「3カ年計画を黒川社長が引いており、これを確実に実行するのが私の役割。そういう意味では非常に楽だ」と、黒川氏が引いた路線を継承することを表明。「グローバル化が大きな課題と認識している。グローバルパートナーとのコラボレーションのほか、富士通の強みであるプラットフォームと一体化したサービスの提供などを行っていきたい。また、営業利益の改善も課題であり、一つ一つ実行に移していきたい」と述べた。
新会長に就任する間塚氏は、「野副さんは本質を見抜く力を持った人。だからとして冷たいわけではなく、部下の意見を聞いてかなえてあげるなど親分肌な人でもある。会長となってもこれまで同様に、お客さま視点という立場は変えるつもりはない。経営執行は野副さんにまかせ、私自身はお客さまの声、外部の声を経営に反映させていきたい」と語った。
会長・社長が揃って退任することについて、黒川氏は「両氏が自由に腕をふるえるようにすることがわれわれの役割と考えて、退任することを決めた。とはいっても外部とのつながりなどもあるため、秋草会長には取締役として残っていただくことにした」とした。
■ URL
富士通株式会社
http://jp.fujitsu.com/
プレスリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2008/03/27-1.html
( 福浦 一広 )
2008/03/27 18:20
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