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上席執行役員 マーケティング・営業推進本部長の高沢冬樹氏
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SaaSアプリケーション「NetSuite」を提供しているネットスイート株式会社は4月3日、記者向けの戦略説明会を開催。同社 上席執行役員 マーケティング・営業推進本部長の高沢冬樹氏が、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)とともに、垂直型ビジネスアプリケーションの提供へ力を注いでいく姿勢を、あらためて強調した。
ネットスイートは、CRM、ERP、Eコマースの各アプリケーションを提供するSaaS専業ベンダー。もっとも普及したSaaSアプリケーションの1つであるCRMだけでなく、企業が必要とするアプリケーションを、“スイート”でそろえられることを、メリットとしてアピールしている。
また同社では、特定業務・業種に特化した垂直型ソリューションの提供にも力を入れており、そのために、特定分野に強い製品を持ったISVの開拓を積極的に進めているという。その基盤となるのが、2月28日(米国時間)に米NetSuiteが発表したSaaSアプリケーションプラットフォーム「NetSuite Business Operating System(NS-BOS)」だ。
NS-BOSは、SaaS提供のためのインフラ部分や、NetSuiteが備えるCRM、ERP、Eコマースをベースとし、開発環境「SuiteFlex」、カスタマイズ機能の再パッケージングツール「SuiteBundler」、そして新たに発表されたデバッグツール「SuiteScript D-Bug」の各コンポーネントを統合したもの。高沢氏は、「ISVには、SaaSモデルで自社の業務ノウハウを、安心・安全にデリバリできる環境が求められているのではないか」と述べ、それを実現できるものとして、NS-BOSを紹介した。
このNS-BOSがISVに提供できる最大のメリットは、「インフラの信頼性をネットスイートが提供する」(高沢氏)点。NS-BOSを基盤として利用することで、基本機能や、ビジネスアプリケーションをSaaSで提供するための複雑な仕組みの部分をネットスイート側に任せられるため、ISVでは自社が本来強みとしている機能の開発に専念できるという。高沢氏はそれに加えて、SuiteFlexによる十分なカスタマイズ性と、SuiteBundlerが持つ、カスタマイズ部分を簡単に再利用できる点も、NetSuiteの長所として訴求できるとした。一方ネットスイート側では、ISVが持つノウハウを利用して個別の業種・業務に対応することで、その分野における顧客獲得を促進できるメリットがある。
「NetSuiteは汎用製品であり、業種に対しては中立的に作られているため、顧客からは業種別のカスタマイズが求められている。また、NetSuiteだけでは(特定業種向けの)機能が足りず導入を決められないこともあるだろう。(顧客の)意志決定の鍵となるような強いアプリケーションの数をそろえていきたい」(高沢氏)。
なおネットスイートは、ISV向けの具体的なパートナープログラムを今後3カ月以内に発表する予定とのことで、高沢氏は、「当社と組むことで、SaaSという新しいビジネスに対応し、新規顧客を開拓する、または既存顧客へのサービスを向上させる機会を提供できるだろう」と話している。
■ URL
ネットスイート株式会社
http://www.netsuite.co.jp/
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( 石井 一志 )
2008/04/03 15:05
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