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代表取締役社長の小俣修一氏
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アカマイのサービス体系
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アカマイ株式会社は4月3日、同社のインターネット高速配信技術が、富士通株式会社のネットワークソリューション「FENICS II」で採用されたと発表した。
アカマイは、世界最大規模の分散コンピューティングを基盤とした、インターネット高速配信サービスを提供する企業。独自の「インテリジェント・ルーティング・アルゴリズム」により、“インターネットの雲”の混雑を解消し、多数のグローバル企業のコンテンツやアプリケーション配信を高速・高信頼化している。
アカマイの技術が注目されるようになったのは、「グローバルにコンテンツ/アプリケーションを配信しようとした際に、従来のISPバケツリレー式の配信方法に大きな課題があったからだ」(代表取締役社長の小俣修一氏)。同氏によれば、「昨今、配信サーバーは内部統制の観点などから集約化が進み、結果、ユーザーへの配信距離は延びてしまっている。そうした状況の中、複数のISPがバケツリレーをするようにデータを配信する方法では、途中でバケツリレーをさぼる者(サーバー)が出たりして、遅延やタイムアウトを発生させてしまう。また、無事にデータが届いたとしてもパケットロスが発生している可能性も大きい」というのだ。
そこでアカマイでは、世界71カ国、約3万台のサーバーから構築される「インターネット・オーバーレイ・ネットワーク」を利用し、“雲”の中の交通整理を行っている。バケツリレーではなく、すべてアカマイのサーバーを使い、複数の経路からもっとも早いルートで配信を実施。この「ラウンドトリップ」と呼ぶ方式で、スピードと可用性を実現しているのだ。さらに、それ以外のルートからも並行して配信。目的地にデータが届く直前でそれらを集約し、ロスしたパケットを補完するなど、徹底的な輸送の最適化を行っている。
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配信サーバーの集約で延びる配信距離。レスポンスタイムの95%が、この延びたミドルマイルで発生している
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ラウンドトリップ方式で交通整理を行うアカマイ技術
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複数の経路から配信することで、パケットロスを排除
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FENICS IIの概要
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今回、富士通が採用したのは、アカマイの技術の中でも「ADN(Application Delivery Network)」というアプリケーション高速化を実現するソリューション。2007年5月にアカマイが発表したもので、同年12月には日立が採用。続いて富士通が採用した形となる。
この2つのケーススタディ。同じ技術の“採用”でも、その内容は大きく異なる。小俣氏によれば「日立のケーススタディでは、企業間取引を行うアプリケーションの高速配信、という限定的なものだった。今回の富士通ではもっと規模が大きく、当社が本来のコンセプトとする“クラウドコンピューティング”をともに実現できる内容になっている」という。
富士通のFENICS IIは、通信事業者の通信サービスを借り受け、セキュリティなどの付加価値を加えて提供しているサービスだ。PCや携帯電話以外のさまざまな端末も対象とし、一般的なIPネットワークや専用線のほか、グローバルVPNなどにも対応する国際サービスを想定している。このFENICS IIの配信サービスメニューとしてアカマイの技術が採用され、IPネットワークの高速配信を実現する付加価値として提供されることになる。
また富士通では、このFENICS II上で業務アプリケーションを提供するための「SaaSプラットフォーム」を展開している。
こうした背景をひっくるめて、今回の“採用”は、インターネット網の制御を視野に入れたシステム構築運用、柔軟なグローバルシステム構築、SaaSの活用など企業を取り巻く今日的な課題を、両社で解決していこうという趣旨なのだという。「すなわち、クラウドコンピューティングの実現だ」(同氏)。
小俣氏は、富士通に大きな期待をかけている。
同氏によると「日本では、SIerとネットワークプロバイダはそれぞれに業種特化しており、お互いの領域にはアンタッチャブルな状況。インターネット配信で問題が起きたとき、SIerはサーバーを増やしましょうという発想しかなく、ネットワークプロバイダはホスティング量を増やそうとか、回線を太くしようという発想しかなかった。しかし、ボリュームが膨らむ一方のデータをグローバルに配信しようとしたら、エンド側での解決は無理で、どうしても“雲”の中での解決が必要となる。それを支える技術屋としては、SI/ネットワーク両方のスキルを持っていないとどうしようもない」という。
そんなアカマイにとっては、富士通はまさに渇望していたパートナーなのだ。小俣氏は「富士通は、ネットワーク基盤技術にSI技術、ならびにアプリケーションスキルと、クラウドコンピューティング実現に必要なスキルをすべて持っている。一緒に実現をめざしたい」とコメント。その上で、「富士通が当社の技術を利用して、SaaS事業を拡大する際には、当社も何か手伝いができるはず。富士通にはぜひ、日本発の真のSaaSを実現してもらいたい」と富士通への期待を語った。
なお、今回富士通はアカマイ技術を採用するだけでなく、SIパートナーとして代理店販売を行うことにも合意している。アカマイ技術を搭載したFENICS IIは、4月下旬より提供開始される予定だ。
■ URL
アカマイ株式会社
http://www.akamai.co.jp/
富士通株式会社
http://jp.fujitsu.com/
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