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「ファイルコピーが最大70%高速化」、マイクロソフトがServer 2008+Vistaをアピール


Windows本部の中川哲部長

Windowsサーバー製品部の藤本浩司マネージャ
 マイクロソフト株式会社は4月4日、Windows Server 2008+Windows Vistaに関する記者説明会を開催。両者を組み合わせることで実現する製品価値をあらためて訴求した。

 最初に登壇したWindows本部の中川哲部長は、「Server 2008発表のタイミングで、Vistaともども導入が進むと考えている」と発言。その根拠として、1)好評なVista SP1のクオリティ、2)そのSP1と同じコードベースで開発されたため、Server 2008では最初から高品質な環境を提供できること、3)同じコードベースゆえの親和性の高さ、の3点を挙げた。

 続いて登壇したWindowsサーバー製品部の藤本浩司マネージャも、「開発プラットフォーム(Longhorn)が統一されているメリットは大きい。Server 2008とVistaを組み合わせることで実現できる便利な機能はたくさんあるが、中でもセキュリティを共通化できる点が特筆点だろう。また、両者はメニュー構造をはじめ、操作性の共通化も図られている。こうした点を考えても、Server 2008のタイミングで両者の導入は進んでいくはずだ。IPv6などの次世代ネットワークを構築するための機能も標準装備しているので、こうした世の中の新しいチャレンジに、ぜひServer 2008とVistaを活用してほしい」とアピールした。

 では、もっと具体的に、Server 2008+Vistaの価値とは何か。藤本マネージャは「主に速い、安心、手間いらずの3点が挙げられるのではないか」と説明。その根拠として、実際に新しく採り入れられた機能の一例を紹介した。

 まず“速さ”の面だが、Vista SP1では、SMB 2.0やウィンドウ自動チューニング機能などにより、大幅にパフォーマンスが上がっているという。「特にファイルコピーの速度アップが顕著で、Vista RTMと比較すると、ローカルコピーで約10%、USBからのコピーで約20%、ネットワークコピーに至っては約70%も向上している」(藤本マネージャ)。

 また、「XP+Server 2003」と「Vista SP1+Server 2008」の環境を比べた場合、「10MB×10個のファイルをサーバーからクライアントへ転送した検証では、転送終了するまで前者では84秒、後者では14秒と、約6倍もの高速化が認められた。昨今サーバーの統合が進み、ネットワークパフォーマンスの低下が問題となっているが、こうした検証結果からも、Server 2008とVistaならば、統合後も生産性を下げずに業務を行えることが分かる」(同マネージャ)としている。


Vista SP1では特にネットワーク越しのファイルコピー速度が劇的に向上 パフォーマンス向上を実現したのが、SMB 2.0やウィンドウ自動チューニングなどの機能だ パフォーマンス検証結果-Server 2008+Vista環境ではファイル転送速度が約6倍に

 続いて“安心”という面だが、この根拠としては、新たに搭載された検疫ソリューション「NAP(ネットワークアクセス保護)」を紹介した。藤本マネージャはまず、従来の検疫ソリューションがなかなか導入が進んでいないことに触れ、その原因として「1つにコストの高さがある。一般的に検疫ソリューションも導入に500万円から1000万円ほどかかるものだ。また、運用ソフトの管理が煩雑であるという問題もある」と説明。「一方のNAP機能では、Server 2008でもVistaでも標準搭載する機能で実現できる。利用も主に、Active Directoryで必要な項目にチェックをいれるだけ。さらにPCの検疫だけでなく、柔軟なポリシー機能を使えば、ネットワークを暗号化し、特定の情報へのアクセスを一元的に管理することも可能になる。一元的なセキュリティを実現する上で、このメリットは大きい」とアピールした。


NAPの概要 NAPの標準機能で監査できる項目 Server 2008+Vistaで実現する柔軟なアクセスポリシー設定

 最後の“手間いらず”に関しては、「RemoteApp」や「TSゲートウェイ」といった新機能を紹介。RemoteAppは「リモートデスクトップ」が進化した機能だ。藤本マネージャは「デスクトップ画面ごと配信するリモートデスクトップとは違い、アプリケーションのウィンドウ部分のみをクライアントPC上に表示することができる。さらにRemoteAppで利用するアプリケーションは、クライアントPCのスタートメニューに登録したり、デスクトップ上にショートカットを置いたりすることも可能」(藤本マネージャ)とメリットを説明。

 またTSゲートウェイでは、「外出先から社内ネットワークにアクセスする際に、これまでのようにVPNを張る必要がなく、RDP over HTTPSによる通信が可能。これにより、社外から社内のPCのリソースを使う場合に、これまではVPN接続してターミナルサービスを使って、と設定もややこしくなりがちだった環境を改善できる。さらに、この機能を使って外部からアクセスした際にも、NAP機能をシームレスに利用できるのもポイントだ。さまざまな要素が関連しあう複雑な環境でも、手間いらずの管理が実現する」とした。


RemoteAppの概要 TSゲートウェイの概要

支援活動の成果
 こうしてServer 2008+Vistaのメリットを再三訴求するマイクロソフトでは、両者共通のパートナー向け支援活動も進めている。技術情報の提供やトレーニング、認定ロゴの支援などを行う「イノベートオンプログラム(ISV向け)」や、エンジニア育成支援や認定資格(MCTS)取得支援などを行う「Ready Partnerプログラム(SI向け)」などだ。

 藤本マネージャは、「Server 2008とVistaの導入を推進するため、こうした支援活動も着々と進んでいる。数字で示せば、トレーニング参加エンジニアは約1万4000名、MCTS資格者は1000名以上、アプリ開発支援プログラムへのISV参加者数は336社、Windows Vista Ready PCは9社から155モデルも発表されている」と成果に言及。4月15日のServer 2008発表に向け、同日に「the Microsoft Conference 2008」を予定するなど、今後もさらなる訴求活動に注力していく意向を見せた。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/

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( 川島 弘之 )
2008/04/04 17:40

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