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富士通、グリーンITなど2008年度の研究開発戦略・知財戦略を発表


富士通研究所 代表取締役社長の村野和雄氏

研究開発ロードマップ
 富士通株式会社は4月4日、同社の研究開発戦略および知的財産戦略についてプレス向け説明会を開催した。

 研究開発戦略の現在の取り組みについて、株式会社富士通研究所 代表取締役社長の村野和雄氏は、「従来の研究所は、サイエンスとエンジニアリングを原動力に競争力のある新技術を生み出してきた。このサイエンスとエンジニアリングが統合して生まれたのが半導体とそれによる情報革命。これに加えて現代では、Googleなどに象徴されるようにビジネスモデルが重要になっている。また、環境やコンプライアンスなどCSR(社会的責任)も重要」と紹介。これらを踏まえ、富士通研究所では、「知財・標準化」「マーケットクリエーション」「グローバルネットワーク」「パートナー連携」を柱に、21世紀型グローバル研究所となって、豊かで夢のあるネットワーク社会の実現を目指すとしている。

 説明会では、2018年までの同社の研究開発ロードマップも公開。ITシステム・サービス分野では、SaaSやクラウドコンピューティング、オーガニックコンピューティングなどに取り組んでいることを紹介。また、ネットワーク分野ではNGNや3G-LTE、ユビキタス分野ではタンジブルインターフェイスの実現に向けた取り組みを行っていくことなどが紹介された。「ユビキタス分野ではセンサーネットワークの研究も行っている。センサーについては、機器に取り付けるといった使い方だけでなく、歩数計との連携などヘルスケア用途への展開なども考えられる」(村野氏)と述べた。

 特にグリーンテクノロジーについては、重要分野として取り組んでいることを紹介。「富士通では、CO2負荷を低減するITソリューションと、サーバーやネットワークなどのITインフラの双方で、2007年度から2010年度までに約700万トンのCO2削減貢献を目標としている。1年あたりで換算すると180万トンの削減目標になる。富士通全体で年間のCO2排出量が110万トンあるので、この倍近い削減貢献を行っていく」(村野氏)と説明。「この実現のために、デバイスからネットワーク、データセンターなど、グリーンIT技術をトータルで開発することで貢献していく」とした。


経営執行役 法務・知的財産権本部長の加藤幹之氏
 続いて、経営執行役 法務・知的財産権本部長の加藤幹之氏より、知的財産戦略についての説明が行われた。

 加藤氏は同社の行動規範で知的財産を尊重していることに触れ、「富士通にとって知的財産は、事業の競争優位性を確保し、事業の自由度を確保し、事業収益を確保するもの」と、会社として重視していると説明。

 その中でも加藤氏は、「現在はさまざまな技術により製品が成立しており、1社だけで製品を作り上げるのは困難。特に、最近のブルーレイとHD-DVDの例を見ればわかりやすいが、いかに自社の技術を標準化するかが大切」と、標準化活動への参加が同社の知的財産戦略の中でも重要な位置づけであると説明する。

 なお、戦略説明会終了後に行われた見学会では、同日発表された「データセンター向けリアルタイム多点温度測定技術」「Webアプリケーション向け品質保証の基礎技術」や、「システム可視化技術」「リスクマイニング」などの最新技術が展示された。



URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  株式会社富士通研究所
  http://jp.fujitsu.com/group/labs/

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( 福浦 一広 )
2008/04/07 11:00

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