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インテル、IDF上海ふまえた最新クライアント動向説明会を開催


吉田和正共同社長
 インテル株式会社は4月9日、4月2日、3日に中国・上海で開催された「Intel Developer Forum 2008(以下、IDF 2008))」を踏まえ、マスコミ向けに最新のクライアント技術を紹介する「インテル クライアント・レギュラー・アップデート」を開催した。

 冒頭、吉田和正共同社長は、IDF 2008を振り返り、「今回はInvent the new realityをテーマに、6500人が参加し、5つの基調講演と、5つの技術講演を開催し、さらに7つのハンズオンラボ、8つのChalk Talkが開催された。会場では、ポケットの中に収まる端末向けのCentrino Atomプロセッサ・テクノロジーの発表、Nehalemの技術公開、Centrino 2プロセッサ・テクノロジーの紹介、Calpellaの初公開などが行われ、2008年は本格的にモバイル市場拡大の年となることを再認識する内容だった」と紹介した。


米Intel主席副社長 兼 モビリティー事業本部長のダディ・パルムッター氏

シリコンを手に、「これを使ってAtomが製造される」とパルムッター主席副社長
 これを受け、米Intel主席副社長で、モビリティー事業の本部長であるダディ・パルムッター氏がIDF 2008の発表のハイライトをあらためて紹介した。

 まず、パルムッター主席副社長は、Intelの提供する製品領域が幅広く拡大していることを言及した。

 「サーバーから、デスクトップ、モバイルに至るまですべての領域で45nm製品を提供している。数年前、最初に“チックタック戦略”を披露したときには、実際の製品出荷前だったこともあり、この戦略に懐疑的な向きもあった。しかし、現在ではこの戦略は実現しており、サーバーからモバイルまで、最先端プロセステクノロジーを提供している。この戦略は2011年、2012年になっても継続する。『マイクロアーキテクチャ+デザインテクノロジー』を提供できることが、他社にはないIntelの優位性であり、この点は今後も変わりない」

 その上で、次世代のマイクロアーキテクチャである「Nehalem」について言及。2もしくは4、8のコア、内蔵メモリー・コントローラー、QuickPathインターコネクト、2-Way SMT、マイクロアーキテクチャの拡張、ダイナミックパワー管理、SSE 4.2をサポートし、2008年の第4四半期に量産を開始し、「来年にはノート用も提供する」と、やはり対応製品の幅広さが特徴となっているとした。

 また、ノートPC用プラットフォームについては、2006年のNapa、2007年のSanta Rosaに続き、2008年6月にはMontevinaを、2009年にはCalpellaを提供する計画で、「毎年、新しいプラットフォームを提供する」と早いスピードでノートPCの進化が続くことを宣言した。

 今年、登場するMontevinaについては、WiFi.11n+WiMAXミニカード、Core 2 Duoプロセッサ、WiFi.11n+WiMAXハーフミニカードを主要な構成要素としているが、「2003年に初めてこのプラットフォームを紹介したときに、『パフォーマンス』、『バッテリー駆動時間』、『フォーム・ファクター』、『ワイヤレス』という4つの要素を実現することにより、モビリティコンピューティングのあり方を変えるとお話しした。ようやく、そのすべてを実現できることとなった。パフォーマンスについては、単なるクロックと周波数だけでなく、現在は外付けで提供されているのと同等のビジュアルテクノロジーをサポートすることで、ハイビジョン映像の視聴を容易にする。バッテリー駆動時間も長くなったことで、長時間のストリーミング映像視聴も可能となった」と話した。

 これを利用したノートPCとしては、「薄く、軽く、おしゃれな製品が開発可能となる。これはIntelのテクノロジーがあるからこそ実現するものだ」とテクノロジーの進歩が見た目の形状にも大きく影響すると強調した。


次世代のマイクロアーキテクチャであるNehalemの構成要件 2008年に登場予定のMontevinaの主な構成要件

 また、モバイルについては用途別に求められる仕様にも大きな違いがあることから、以下の3つのプラットフォームを提供する。

 1)ポケットサイズのインターネット端末で、画面サイズは4.5から6インチ、OSとしてはLinuxもしくはWindows XPを採用し、インフォテイメントを主な用途とした端末用プラットフォーム「Centrino Atom」

 2)インターネット用に特化した端末で、画面サイズは10インチ以上、OSとしてはLinuxもしくはWindowsを採用した端末用プラットフォーム「Atom」

 3)パソコンの性能をフル活用したノートブックPCで、画面サイズは12インチ以上、OSとしてはWindowsを採用し、生産性とマルチタスク機能を持ったノートブックPC用プラットフォーム「Centrino 2」

 「中でもAtomテクノロジーは、Intelが新しい市場への参入を実現するもので、家電、組み込みコントローラといった新しいデバイスや、新興市場、教育分野およびファミリー市場などに大きな力を発揮することになるだろう」と新しい市場に向けた意欲を強調した。


モバイル用プラットフォームは用途に応じて異なるプラットフォームを用意 モバイル用プラットフォームのそれぞれの開発コードネーム

Intelがテストを行ったところ、IA以外のアーキテクチャ上でインターネットを利用するとトラブルが多かったという
 この分野でのIntelの強みとして、「最近、スマートフォンが人気を集めているが、実際にWebブラウズを行うとうまく表示できないという経験を持つ人が多いのではないか。インターネットサイトの多くが、IAをベースに開発されている。インターネットの世界においては、Intelの戦略であるサーバーからノートまで同じアーキテクチャを提供することの強みが生かされることになるだろう」と話している。

 Atom対応の製品については、日本メーカーでは日立、NEC、松下電器産業、シャープ、東芝、富士通などが開発することを表明している。

 モバイルの重要な要素であるWiMAXについては、日本ではKDDIなどが資本参加するUQコミュニケーションズが2009年初頭に東京で実証実験を行うことを表明しており、「同様に世界のあちこちで回線提供を行うよう、働きかけを行っている」とした。



URL
  インテル株式会社
  http://www.intel.co.jp/

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  ・ インテル、「Centrino Atomプロセッサー・テクノロジー」を発表(2008/04/02)


( 三浦 優子 )
2008/04/09 16:45

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