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「3つの事業にフォーカスしてTrusted 3rd Partyになる」-創設者が語るVeriSignの今後
~RSA Conference 2008基調講演
米VeriSign創設者および会長のJim Bidzos氏
サンフランシスコで開催されている「RSA Conference 2008」で4月9日(米国時間)、米VeriSign創設者および会長のJim Bidzos氏が基調講演を行った。「Good Enough is Not Good Anymore」と題された講演の中で同氏は、生まれたときからITを身近に成長してきた「Generation V」の時代には、従来のセキュリティはもはや不十分と指摘。今後のセキュリティの在り方について説明を行った。
世の中には、さまざまな脆弱性の話が転がっている。それはインターネットの世界でも例外でなく、いつ踏むともしれない地雷の海原をさまよい歩いているのが、インターネットユーザーの現状といえる。ではなぜこんなにも危険なのに、誰もインターネットの利用をやめないのか。それは「クレジットカードと同じで、便利であるがゆえに、不正があっても使われ続けているのだ」(Bidzos氏)。
利用者が増えるほどに技術も進化していく。同氏は「70年代にPKIが、80年代にLANやトークンが誕生し、90年代にはWWWが急成長を遂げた。このころはWebブラウザにPKIが入っていたため、基本的な保護はされていた。ところが2000年以降、インターネットを取り巻く環境は急変。IT環境の中に生まれ、仮想世界(Virtual)とともに育った“Generation V”世代を中心に、ソーシャルネットワークなどインターネットの見方や用途が変わってきている。ワイヤレスの急増もその一例だが、日本で銀行のデモをみたとき、何でもケータイでできることに驚いた。認証やトークンはどんどん洗練している」と話す。
こうした環境の複雑化が新たな脅威の発生を早め、結果として、「攻撃のレベルが“Good Enough”な防御のレベルを上回り、両者のギャップがどんどん広がってしまっている」と同氏は指摘するのだ。
企業をみると、ファイアウォールの中ではセキュリティはうまくいっている。セキュリティを一元管理することもできるし、予算を正当化することも可能だ。しかしそれは従業員だけが対象で、ユーザーもせいぜい数千単位の話。
「果たして、これと同じレベルでGeneration V時代のセキュリティに対応できるか。答えはNOだ。ここではコンシューマフレンドリーであることが求められる。億単位のユーザー数に対応する必要があり、非常に安いコストでなければならない。ポータビリティでありながらより強いセキュリティ、さらにはユーザーや文化の違いを吸収する適応性が求められるのだ」(同氏)。
Generation Vの時代には、ポータビリティ、より強いセキュリティ、ユーザーや文化の違いを吸収する適応性が求められる
エンタープライズ向けソリューションで、急速に変化するインターネットのニーズに対応できますか?
インターネット向けには、億単位のユーザーに、フレンドリーで低コストなソリューションを提供しなければならない
Trusted 3rd Partyが必要
このためには、「オープンスタンダードをもとに新しい仕組みを作る必要がある。当社は20年前からオープンスタンダードが重要と伝えている」と同氏は語る。さらに「そのためにも認証局のようなTrusted 3rd Partyが必要だ」とも。
2007年11月、VeriSignは周辺事業を整理し、コアとなる3つの事業にフォーカスする意向を見せている。「認証サービス」「ドメインネームサービス」「ID管理サービス」の3つだ。同氏は「3つの事業にフォーカスすることで、当社はTrusted 3rd Partyをめざす。そしてモバイルの急増など、急速に変化するグローバルインターネットのニーズに応え、もう一度“Good Enough”になるよう導いていく。VeriSignの位置づけは非常にユニークだ。コア事業に集中してから8カ月、他社にはまねできないサービスで非常にパワフルな価値をもっていると思う」と、事業整理の理由の一端をのぞかせた。
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URL
米VeriSign
http://www.verisign.com/
日本ベリサイン株式会社
http://www.verisign.co.jp/
RSA Conference 2008
http://www.rsaconference.com/2008/US/
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