|
Business Critical Systemsのシニア・バイス・プレジデント兼ジェネラルマネージャ、マーティン・フィンク氏
|
|
Adaptive Infrastructureの現在と未来
|
米Hewlett-Packard(以下、HP)は4月16日、インドネシアで開催されているフォーラムで、「Adaptive Infrastructure(AI)」の次の構想を明らかにした。「Ultra Adaptive」と呼ばれる新構想では、「Polymorphic(多形型)という考え方により、“意思決定を遅らせる”ことができるのが特長」(Business Critical Systemsのシニア・バイス・プレジデント兼ジェネラルマネージャ、マーティン・フィンク氏)という。
Adaptive Infrastructureとは、「ITサービス」「電源&冷却」「管理」「セキュリティ」「仮想化」「自動化」の6つの領域にフォーカスし、24時間365日完全自動化されたコンピューティング環境の構築を目指すもの。
フィンク氏が明らかにしたのは、このAdaptive Infrastructureの発展形で、Ultra Adaptiveという新構想だ。同氏は「現在、リソースの7%、あるいは20%しか有効活用されていないという声がある。そこで仮想化技術などでリソースを集約し、運用コストを削減する試みがなされているが、この取り組みをさらに推し進めて、CPUやメモリ、ストレージなどだけではなく、インフラやコミュニケーションツールに至るデータセンターのありとあらゆる要素を細分化していくのがUltra Adaptive」と、新構想の概要を説明する。
車で例えると、タイヤ、ハンドル、エンジン、シャーシなどそれぞれ細分化された形で製造される。それを組み立てて、消費者が購入する際には、すでに「車」として完成したものを買うことになる。「車を買うときは、恋人と乗るスポーツカー、家族で出かけるワゴンなど、用途に応じた購入プランをしっかりと立てるものだ。逆にいえば、きっちりと決めないと買うことができない。では、ワゴンを買ったあとに、恋人とおしゃれにデートしたくなった場合はどうするか。もう1台買うのも難しいだろう。このように、購入する際にきっちりとした意思決定してしまうと、あとになってニーズが変化したときにうまく対応できない場合がある」(同氏)。
これと同じことがIT機器についてもいえる。HP製品でいえば、IntegrityサーバーとProLiantサーバーを買う動機はそれぞれ異なる。現状は用途に応じてスペックを決めて購入しているが、データセンターにおいてもニーズはころころと変化する。あるニーズのために購入した製品が、別のニーズのために使い回しできるとは必ずしも言い切れない。
そこでUltra Adaptiveでは、リソースをいま以上に多くの要素で細切れにし、必要な分だけ再構築する「多形型」という考え方を採っている。「粒子化したようなリソースプールの中から、毎日必要な分だけ再構築することができれば、最初の判断はゆるめでもかまわない。意思決定を遅らせて、今日はこの業務のため、明日はこの業務のため、とワークロードに応じて、必要なリソースをリアルタイムに判断していけるのが、Ultra Adaptiveのメリットだ」とフィンク氏は述べている。
また「この構想は(夢物語ではなく)実現可能。ただし現在は、粒子状にしたすべてのリソースを再構築する際のレイテンシなどパフォーマンスの面に課題がある。実現には、Optical技術の発展や、特定のアプリにリアルタイムにリソースを割り当てるためのより洗練された管理ツールが必要になるだろう。時間に換算すると4~5年ほどで実現できると見ている」(同氏)とも説明。
そのときコンピュータの概念は大きく変わっているかもしれない。完全にリソースが別々になれば、PCそのものがいまの形を維持できなくなる。フィンク氏は、「Integrityもシステムではなく、データセンターのサブコンポーネントの1つ、という具合に、形を変えていることだろう」と語った。
|
|
|
データセンターのありとあらゆる要素を細分化
|
Polymorphic(多形型)がUltra Adaptiveのコンセプト
|
Polymorphic Computing Infrastructureの詳細
|
■ URL
Hwelett-Packard
http://www.hp.com/
■ 関連記事
・ 日本HP、Adaptive Infrastructureに関する説明会を開催(2006/06/01)
( 川島 弘之 )
2008/04/17 09:42
|