|
樋口泰行社長
|
マイクロソフト株式会社の樋口泰行社長は、7月にも発表する予定の新たな中期計画の方向性について明らかにした。
樋口社長は、今年6月末で3カ年の企業行動計画「PLAN-J」が終了するのにあわせて、新たな中期計画を策定することを明らかにしており、これまでにも、「PLAN-Jによって実現した日本に密着した社会貢献活動などは、引き続き、次の計画のなかに盛り込む」としていた。また、「ITProに対する支援策が遅れていた。ここに対する投資も加速したい」として、PLAN-JにはなかったITProに対する支援強化を、次期中期計画のなかに含める考えを示していた。
樋口社長によると、中期計画の背骨となる部分に、「ビジネスを推進するためのエンジン強化」を置き、エンタープライズ事業領域における顧客エンゲージメントモデルを推進するためのエンジン、ソリューションパートナーやISV、OEMベンダーとの連携エンジン、パートナー支援のためのエンジンなどの強化を図るという。
マイクロソフトでは、パートナーや顧客への支援体制、営業体制などの仕組みに対して、「エンジン」という表現を用いており、支援体制、営業体制の強化を課題とする考えだ。
「パートナーのカバレージ範囲や、パートナーへの支援体制という観点から見ても、質、量ともに、さらに濃くしていく必要がある。だが、パートナーのエンジン強化といっても、エンジニアがトレーニングを受けたり、技術認定を取得するだけでは、本当の意味でのエンジン強化にはつながらない。多くの経験をして、修羅場を体験して、はじめて力がついてくる。1年で完成させるのではなく、中長期的な観点から、エンジン強化に取り組んでいく」とした。
樋口社長は、現在のエンジンの大きさを「軽自動車のようなもの」と比喩。「まずは、今後1年で、普通自動車並のエンジンにまで拡大していかなくてはならない」などとした。
また、中期計画における売上高目標については、「外部に公表することはない」としながらも、「初年度においては、VistaによるコンシューマPC分野は、AV機器に需要が流れやすいオリンピックの影響もあり、厳しい状況にあるだろうが成長戦略を描く。また、ビジネス分野においては、2ケタ成長のレベルをやっていきたい」とした。
また、日本法人における組織間の連携や、営業力の強化にも取り組む考えだ。
「マイクロソフトには強い製品があるため、逆風のなかで売るという経験をしたことがない営業チームができあがってしまい、営業力がつきにくい体質がある。データベース製品をはじめとする、エンタープライズ分野では、これから厳しい競争が待っており、本当の営業力を持つことが必須。この営業力に、マーケティング力、サポート力を加えて、底力といえるものを早急に確立する必要がある」と、マイクロソフトにおける課題を示した。
一方、コンシューマ事業の強化にも取り組み、「改めて、コンシューマ分野におけるブランド確立を目指す」とした。
さらに、3月から変更しているマネジメントチームによる体制構築、会議の手法や社員とのコミュニケーション手法の見直しなどにも取り組むという。
中期計画の具体的な内容については、売り上げ計画を含めて検討段階にある。
4月1日付けで、社長に就任した樋口氏のカラーが出る新たな中期計画となりそうだ。
■ URL
マイクロソフト株式会社
http://www.microsoft.com/japan/
( 大河原 克行 )
2008/04/18 09:00
|