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「Integrityに追い風、APJ地域でメインフレームの移行進む」-米HP Zwenger氏

日本は変化を嫌がる気質で若干遅れ

BCS バイス・プレジデント兼ジェネラルマネージャのHerbert Zwenger
 「メインフレームのリプレースは順調に進んでいる」。インドネシアで開催された「HP APJ Executive Forum」で、米Hewlett-Packard(以下、HP)、Business Critical Systems(BCS) バイス・プレジデント兼ジェネラルマネージャのHerbert Zwenger氏が語った。

 HPでは、インテル製Itaniumプロセッサを搭載したIntegrity製品シリーズを武器に、メインフレームからの移行戦略を積極的に展開している。Zwenger氏は同フォーラムにおいて「一部、独自にアプリケーションを作ったユーザーでコードを変える必要があったりするが、ほとんどの移行が問題なく完了している」とし、リプレースひいてはIntegrity製品シリーズの好調さをアピール。「ユーザーは、Integrityの信頼性とアップタイムに十分満足している」と述べた。

 メインフレームの問題点は、1)コスト増加、2)環境の変化に対応するAgility(俊敏性)の限界、3)企業合併・分割に伴うITの統合の難しさ、4)メインフレームの若い人材の不足、の大きく4つ。これらを紹介したZwenger氏は「事実、IBMのメインフレームを見ても業績は下降気味」とし、「Integrityに追い風が吹いている」と対比した。

 Integrityの成長要因としては、リプレースのほか、仮想化や次世代ネットワークへのニーズが挙げられる。同氏によれば「アジアパシフィック・ジャパン(APJ)地域では、このニーズが強く、インストールベースで8000件の実績がある。特にインド・中国市場が強く、Integrityの2けた成長を大きくけん引した」という。こうした実績から、同社ではAPJ地域を今後も重要視。「新製品を次々投入していく。中規模企業マーケットに対しては、順次、サービス提供範囲を拡大しているところだ」と意気込みを見せた。


BCS製品ポートフォリオ BCSビジネスハイライト。2007Q4では、Integrityサーバーで58%のシェア、ソフトと合わせると80%のシェアを達成 アジアパシフィック地域でIntegrityが好調な理由

 HPでは2006年からの5年間で、年間10億ドルをIntegrityに投資すると発表している。今回のZwenger氏の発言は、この5カ年計画の成果を示したものといえそうだ。しかし日本ではどうか。メインフレームの移行が順調というが、日本ではあまりそれを実感できない気がする。

 Zwenger氏は、「確かに移行の度合いは国ごとに異なる。日本には、富士通やNECなど強いメインフレームベンダがいて、変化を嫌う性質もあり、これらがメインフレームの移行を遅らせる要因になっている」と話す。では、日本ではメインフレームのリプレース市場が花開くことはないのか。同氏は否と答える。「日本には4000以上のメインフレームがあり、そのうち30%が潜在的にオープン化への必要性に迫られている。Gartnerでも、日本のメインフレームは減少傾向にあると報告しており、今後5~7年ほどにかけて、多くのメインフレームが切り捨てられるだろう」。

 HPでは、リプレースの流れを促進すべく、新しい施策も予定している。HP APJ Executive Forumで明らかにされたところによると、企業のレガシーアプリケーションの変換を支援する「モダニゼーション・オファリング」を行う方針だ。具体的には、インド、シンガポール、東京、米国、フランスの各拠点に、以降の成功事例を紹介する「ショーケースセンター」を開設。併せて、移行を支援する各種ツールの提供を行なっていくという。

 提供するツールは例えば、新製品の「HP Legacy Application Transformation」「Visual Intelligence Tools」などだ。これらを使えば、メインフレーム上のレガシーシステムを可視化し、何百万というコードから重複や相互依存性、そごを発見。レガシーシステムの複雑性をCIOに簡単に提示することができるという。Zwenger氏は「メインフレームリプレースメントではROIをしっかり示すことが大切。この施策が日本の状況を変えるきっかけになるだろう」としている。

 また、変化を嫌う日本人気質に対しては、「(移行によって)コストが削減すること、少なくとも横ばいになることを保証した上で、オープンでできることを確実に示していくことが重要。これは世界レベルで成功してきた戦略で、日本でも通用するはず。また、株主からのコスト削減を求める圧力に対する有効策であることも訴求していく。韓国のテレコムの事例では、移行により2億6000千万ドルから2000万ドル以下にコストを削減できた」とした。



URL
  Hewlett-Packard
  http://www.hp.com/


( 川島 弘之 )
2008/04/18 17:36

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