「オープン化こそがSunの強み」そう語るのは、米Sun Microsystems上級副社長システムズグループのジョン・ファウラー氏。今回、サン・マイクロシステムズ株式会社が開催したプライベートイベント「Sun Business .Next 2008」に合わせて来日したファウラー氏に同社の取り組みや今後の戦略などを伺った。
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米Sun Microsystems上級副社長システムズグループのジョン・ファウラー氏
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―地球温暖化に注目が集まる中、グリーンITに関心が集まっています。SunではグリーンITにどのように取り組んでいますか?
ファウラー氏
現状、グリーンITという言葉がマーケティング用語として扱われてしまっています。非常に残念なことです。なぜならSunは、9年も前からグリーンITに取り組んでいるからです。
SunがグリーンITを意識したのは、ラボでの取り組みがきっかけでした。今後、電力消費がどれくらいになるのか、それに対して自分たちの設計がどのような影響を与えるのか、といったことに取り組んだのです。そのプロジェクトの成果のひとつが、開発コード名「Niagara」、つまりUltraSPARC T1です。2005年に出荷しました。
また、Sunでは環境問題に取り組むオープンなコミュニティとして「OpenEco.org」を立ち上げました。OpenEco.orgでは、温室効果ガスの排出量を計算するツールの無償公開のほか、参加者の間での情報共有などが行えます。Sunとしては、エコインフォメーションに関してもオープンであるべきという立場ですから。
自社での取り組みとしては、二酸化炭素の排出量を年次レポートとして発表しています。これは、米国企業としては先行した取り組みです。一企業として環境にどう影響を与えるかを示すもので、他社にとっても手本となる取り組みになるでしょう。
―グリーンITへの取り組みのひとつとして、Sun Modular Datacenter(開発コード名:Project Blackbox)などユニークな製品も発表されていますね。このSun Modular Datacenterの導入状況はどのようになっていますか?
ファウラー氏
1月に正式発表し、販売を開始しましたが、これまでに4~5社で導入していただきました。Sun Modular Datacenterはデータセンターの考え方そのものを変えるものなので、日本の企業を含め、現在評価をしていただいている段階です。
―仮想化分野に関しては、xVMなども展開されています。
ファウラー氏
xVMは、Solarisでの仮想環境を実現する製品です。Oracle VMのように自社製品に絞って開発したものではなく、オープンなのが特長となっています。xVMは広範なアプリケーションを想定しているので、ユーザーは汎用的なソリューションであるxVMを選択するのではないでしょうか。
仮想化に関しては、Solaris 10で採用されているSolarisコンテナも有効な選択肢です。Solarisコンテナは、サーバー上に仮想的に独立したコンテナ(論理区画)を起動することで、OSレベルでシステムのパーティショニングが可能です。アプリケーションレベルではそれぞれ独立したSolarisとして見えますので、これを利用すれば、複数OS環境を柔軟に実現できます。
―昨年発表されたIntelとの戦略的提携により、x86サーバーの製品ラインアップが充実しています。SPARC搭載サーバーの比率は下がってきているのではないでしょうか?
ファウラー氏
ハードウェアの収益で見ると、SPARCが大半を占めているのは変わりません。ただし、x86が急速に伸びているのは事実で、年10億ドル以上の事業に成長しています。
われわれにとっては、お客さまがなにを必要としているかが重要で、求めているのは、Solarisであり、Javaであり、MySQLであるといったソフトウェアプラットフォームです。われわれはソフトウェアプラットフォームを重視しており、これはSPARC上でSolarisをOSとして使っていた時代と変わりはありません。WindowsやLinuxといった他のOSを利用するのは、あくまでも実務的な問題でしかありません。われわれは、SPARC&Solarisという選択肢だけでなく、さまざまな選択肢を提供しているのです。多岐にわたる製品ポートフォリオを持つことで、サービスの展開において柔軟性があるといえます。
―Sun Modular Datacenterや、HPC向けのSun Constellation Systemなどデータセンターを対象としたさまざまなソリューションを展開していますが、データセンターソリューションでいうと、IBMも同様に取り組むことを表明しています。IBMと比べた場合の違いがあれば教えていただけますか?
ファウラー氏
われわれから見ると、IBMが提供するのはコンサルティングだけではないでしょうか。われわれは、コンサルティングの提供だけではなく、コアとなるテクノロジーを持っており、具体的なソリューションを提供できるのが強みです。また、オープン化しているというのも強みであり、汎用的なソリューションを展開できます。
―最後に今後の展望をお聞かせいただけますか。
ファウラー氏
われわれの強みはオープンテクノロジーだと考えています。サーバー分野においては、10年前はプロプライエタリな世界が大半を占めていましたが、オープン化によってユーザーの選択肢は広がりました。
現在、同じ流れがネットワークの世界でも広がってきています。われわれは、すべてのルータ、ファイアウォールをSolarisに統合することで、ネットワークでも同じオープン化を実現していきます。
■ URL
サン・マイクロシステムズ株式会社
http://jp.sun.com/
Sun Business .Next 2008
http://jp.sun.com/company/events/next/
( 福浦 一広 )
2008/04/21 13:59
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