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日本IBM、GBS事業の2008年重点施策など発表-「3D+T」戦略をさらに加速


専務執行役員グローバル・ビジネス・サービス事業担当のピーター・カービー氏
 日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は4月21日、グローバル・ビジネス・サービス(GBS)事業戦略についてプレス向け説明会を開催した。説明会では、専務執行役員グローバル・ビジネス・サービス事業担当のピーター・カービー氏が、同社GBS事業の概要、ビジネス戦略、2008年の重点施策などを発表した。

 現在、GBS事業が展開している主なビジネスは、ビジネスコンサルティングサービス、システムインテグレーション、業界別ソリューション、アプリケーションアウトソーシングで、これらに関わるコンサルティング、アプリケーション開発、アプリケーション保守などを業種別営業部門と協業して顧客に提供している。

 具体的なサービスラインとしては、「ストラテジー&チェンジ」「フィナンシャル・マネジメント」「サプライ・チェーン・マネジメント」「カスタマー・リレーションシップ・マネジメント」「ヒューマン・キャピタル・マネジメント」「アプリケーション・イノベーション・サービス」「アプリケーション・マネジメント・サービス」の7つを用意しており、ターゲット領域として、ゼネラルビジネス、流通事業、金融事業、インダストリアル事業、公共事業、通信・メディア・公共事業の6つのセクターをカバーする。


GBS事業の位置づけ GBS事業のサービスラインとセクター

顧客のビジネスに価値のあるサービスを提供

コンサルティングとアプリケーションサービスにおける顧客満足度の推移

GBSが推進する事業戦略「3D+T」
 カービー氏は、GBS事業の現状について、「規制緩和や法規制、経済のグローバル化、業界再編、団塊世代の退職、環境問題への関心度向上、SOAの普及、オープン化・仮想化技術の発達など、日本のITサービス市場を取り巻く環境が変化するなかで、GBSもこうした動きに対応し、顧客にとって価値のあるサービスを提案できるよう変革が求められている。GBS事業では、常に顧客のビジネスを成功に導くためのサービス提案を目指し、IBMのもつグローバルな実績を生かしながら、さまざまな施策を展開している」と説明した。実際に、「GBS事業の取り組みによって、同社のコンサルティングおよびアプリケーションサービスに対する顧客満足度は、2006年から2008年にかけて、年々向上している」という。

 顧客満足度の高いGBSを提供するための具体的な施策として、同社では「3D+T」戦略を推進している。これは、顧客とのより深いリレーションシップを構築する「Deeper Client Relationships」、IBMの強みを生かしたソリューション&サービスを提供する「Differentiated Solution and Services」、グローバル規模でのデリバリーモデルと品質向上を目指す「Delivered Globally」の3つの“D”に、人財に関わる「Talent」の“T”を加えたビジネス戦略。2007年は、この「3D+T」戦略をベースに、「顧客価値の強化、さらなる成長のための戦略的な領域展開、グローバルなスキル/経験の活用を重視して、GBS事業を展開し、全日空の新国際貨物システムを構築するなどの実績をあげてきた」(カービー氏)としている。

 2008年についても、「3D+Tの基本戦略を継続しながら、これをさらに加速していく」(カービー氏)方針で、重点領域として、1)グローバル・アセット/ソリューションの活用、2)グローバル・デリバリーの活用/パートナーとの協業、3)人材育成-の3点を掲げている。

 グローバル・アセット/ソリューションの活用では、まず、日本IBM東京基礎研究所と米IBMワトソン研究所が共同で研究している「PDOS」(Production Design and Operations Scheduling)を積極展開するとともに、日本IBM発のアセット/ソリューションとして、JavaパッチフレームワークやWeb Application Componentsなどをグローバルで横展開していく考え。また、アセット/ソリューション開発への投資を継続し、2007年の登録アセット数約170件のさらなる拡大を目指す。

 グローバル・デリバリーの活用では、世界中のグローバル・デリバリー・センターから、最適な人財を日本の顧客向けに確保。グローバルに事業展開している顧客に対して、最適なサービスを提供していく。あわせて、パートナーとの協業として、アプリケーションスキルに強みをもつ国内コアパートナーとの連携強化を図っていく。

 最後の人材育成については、グローバル・デリバリーとの協業プロジェクトによって、グローバル人材の育成を目指し、年間数百人を海外へ派遣する計画。海外の先進的な取り組みを習得し、帰国後に国内で新ソリューションを展開できる人材の育成や、次世代のグローバルリーダーとなる人材の育成を視野に入れた海外派遣を進めていく方針。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/


( 唐沢 正和 )
2008/04/21 18:03

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