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「目指すはネットワークの超高速ホワイトボックス」、ビヴィオ兵頭氏


ビヴィオの代表取締役、兵頭弘一氏
 ビヴィオネットワークス株式会社(以下、ビヴィオ)は、Linuxベースのネットワークアプライアンスを提供するベンダー。通常、ネットワークアプライアンスといえば、ファイアウォール、IPS、モニタリング、といったように、何らかの機能へフォーカスして提供されるものがほとんどだ。しかしビヴィオの製品はあくまでプラットフォームでしかなく、その上で何をするかは、完全にユーザーやインテグレータに任されている。今回は、いわば「ネットワークのホワイトボックス」ともいうべき、ユニークなコンセプトで製品を提供している同社の代表取締役、兵頭弘一氏に話を聞いた。

 ビヴィオのビジネスはこれまで、SourcefireやCheck PointといったソフトウェアベンダーへアプライアンスのベースハードウェアをOEM提供することが中心であり、裏方としての立場に甘んじてきた。その同社が、どうして自身のブランドでハードウェアを提供するようになったのか。この疑問に兵頭氏は、「変化するニーズに、柔軟に対応できるプラットフォームを提供してくれないか、という要望があったから」と答える。

 「これまで提供されているアプライアンスの多くは、この“箱”はこの機能、というように、基本的には固定機能だった。中には、パケットヘッダだけを見て柔軟に処理を行えるようなものもあるけれど、深く分析し、かつダイナミックに対応できるようなものはない。そこで、それを提供してほしいという要望が当社に来るようになった」(兵頭氏)というのだ。

 一般的にはそういった場合、“何でもできる”ことが売りであるPCベースのアプライアンスを作り上げることが多い。PCならば、ソフトウェアを載せ替える、もしくは切り替えるだけで、機能を変更することができる。しかし兵頭氏は、「ネットワークアプライアンスのハイパフォーマンス化へのニーズが高く、トラフィックが増える中で、サーバーベースでは追いつかなくなってきた」と、そのアプローチの限界を指摘。「ネットワークでの高速処理に特化したハードウェアが求められるようになった。そこで登場したのが当社だ」と主張する。

 あわせて、ビヴィオの製品が支持されるもう1つの理由として兵頭氏は、同社のコア技術でもあるDPI(ディープパケテトインスペクション)を挙げる。「以前は、TCPのポート番号程度までの識別までがいいところだったものの、今では、P2Pアプリケーションのファイルシェアが全体のどのくらいの割合を占めるのか、ストリーミングのうちどのサービスがどのくらいの割合なのか、といったことまでを企業は知りたがっている」と兵頭氏は、現在の状況を説明。「さらには、特定のP2Pアプリケーションだけを識別して止めたり、特定のサービスが帯域を圧迫しているからそれを制限したり、といった制御の部分までが求められている。当社製品なら、これが実現可能だし、しかも標準ベースの技術に基づいているため、他製品との連携がしやすいのもポイント」と述べ、同社製品の強みをアピールする。


新製品となるアプライアンス「Bivio 7000」

Bivio 7000の背面。現在は10GbEがメインだが、将来的には40GbEなどさらなる高速インターフェイスや、キャリア向けのOC-x POSインターフェイスなども提供するという
 ビヴィオではこのような特徴を持つ新製品のBivio 7000シリーズを4月23日にリリースしているが、この製品では、最大で12コア(デュアルコア×6)に入ってくるデータを並列処理させることで、高速処理を実現している。さらに同シリーズは最大4台までのスタック接続に対応。必要に応じて、処理能力を拡大できるようにした。また、高速ファブリックの活用で筐体内でのバスのボトルネックを克服するほか、ルータやスイッチでよく見られるパススルー(バイパス)機能を搭載し、障害時にもネットワークを止めないようにしているのも、重要な点だ。

 では、どのようなアプリケーションをこの上で動作させることができるのか。兵頭氏は、「Linuxベースのため、簡単な移植作業でほとんどのネットワークアプリケーションが対応する」と述べ、主に3つのパターンが考えられるとした。1つ目は、既存の商用アプリケーションを移植するケース。ベースがLinuxのため、簡単な作業で移植を行えるとのことで、兵頭氏は「ハードウェア的にはさまざまなアーキテクチャに基づいていても、アプリケーションからはどこにでもあるLinuxの“箱”のように見える。アプライアンスを渡したらその日のうちにアプリケーションが動いていたという例もあったくらい」とする。

 2つ目は、オープンソースソフトウェア(OSS)を搭載するケース。有名なところではIDSの「Snort」があるが、こうしたソフトを移植して搭載することが考えられるという。最後の3つ目は、ユーザーが独自の要件に見合ったカスタムアプリケーションを開発して搭載するケース。これもベースがLinuxであるため、IAサーバー向けのカスタムアプリケーション開発とさほど変わらない労力で開発を行えるという。また、国内ではまだ提供されていないものの、米国ではBivio Networks自身がプロフェッショナルサービスとして開発も行っており、SIerなどがユーザーに代わって開発するケースも考えられる。

 いずれにしても、乗り換え/導入のメリットとなるのは、「IAサーバーでは実現できなかった、圧倒的な高速性」(兵頭氏)。そのため、当初は大手データセンターやキャリアなど、高いトラフィックが集中し、また高速インターフェイスをかかえるユーザーを対象としてビジネスを進めていく意向だ。



URL
  ビヴィオネットワークス株式会社
  http://www.bivionetworks.jp/


( 石井 一志 )
2008/04/30 09:33

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