Enterprise Watch
最新ニュース

米Microsoftビル・ゲイツ会長が“最後”の来日、「Yahoo!とは独立した方向性で進む」


米Microsoftの会長、ビル・ゲイツ氏
 マイクロソフト株式会社は5月7日、米Microsoftの会長、ビル・ゲイツ氏の記者会見を開催した。ゲイツ氏は7月をもってMicrosoft経営の第一線を退き、主として慈善団体「ビル アンド メリンダ ゲイツ財団(以下、財団)」で活動していく予定。今後も、会長兼相談役としてMicrosoftにかかわり、同社または財団の仕事の中での再来日はあるとしたが、“フルタイム”のMicrosoft経営者としては最後の来日になる。

 こうした今後の自身の予定について、「17歳からMicrosoftの仕事をフルタイムで、またパートタイムでは財団の仕事をしてきた。今後はパートタイムの会長としてMicrosoftにとどまり、戦略策定の手伝いなどはしていくものの、フルタイムは財団の仕事をすることになる」と述べている。また、Microsoftのチーフソフトウェアアーキテクトを自身から引き継いでいるレイ・オジー氏、新設された最高研究戦略責任者に就任しているクレイグ・マンディ氏らについて、「もっと目立った存在になってほしい」と言及。「人々がMicrosoftについて考えるときには、わたしを思い浮かべるが、わたしがやってきたのは小さなことであり、彼らがもっと評価されるべきだ」とした。


記者会見でスピーチするゲイツ氏
 あわせてゲイツ氏はスピーチの中で、強調すべき大きな取り組みとして「若いデベロッパーのサポート」を挙げ、その具体策として、2月に発表した「Microsoft DreamSpark」に触れた。このプログラムは、開発ツールのVisual StudioやデザインツールのExpression Studioを、学生のデベロッパーに無償で提供するもの。「昔はわたしも若いデベロッパーだった。若い力から新しい発想が生まれる」と述べたゲイツ氏は、「彼らの活躍を楽しみに待っている」とも語った。

 また質疑応答では、断念した米Yahoo!の買収について、「結論としては、それぞれが独立した方向性を追求すべきだということになった。当社は独立した戦略に集中している」と話し、今後は独自路線で開発やマーケティングなどを続けていく姿勢を示す。

 一方、国内のPC販売状況が、他の先進諸国に比べると停滞気味であることの理由を問われたゲイツ氏は、その理由の1つとして、「日本では特に若い学生のPC使用率が低い」ことを指摘。「学生がオンラインのインターネットカリキュラムを使うようになっているのにもかかわらず、日本ではそれが遅く、学校では(インターネットへの)接続性がないところもある。教育におけるオンライン化を進めていく必要がある」との考えを示す。さらに、「PCで画面から読み取ることが、紙から読み取るのと同じくらい魅力的にしていかなければならない」とも話し、新しいアプリケーションでPCの世界をさらに拡大したいとした。

 もっとも、国内でもWindows、Microsoft Office、Exchange、SQL Serverといった基幹製品群は順調だとアピールする。「製品によってシェアが高い国、低い国があるが、基幹製品はどの国においても順調といえる。ここまで、成功をけん引しているのは基幹製品だ」と述べた。最後に、次期Windowsクライアントについて問われた際には、「Windowsでやらなければいけないことはまだまだあるので、期待はしている」としたものの、「出荷日についてはまだ申し上げていない」「過去は2~3年に一度リリースしているが、今回もその通りだといえない」などとはぐらかし、具体的なことは一切触れなかった。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/

関連記事
  ・ 米Microsoftゲイツ会長、「ソフト企業でMicrosoftは幸運だった」(2006/04/21)
  ・ ビル・ゲイツが語る検索市場戦略、エンタープライズへの進出は?(2005/06/28)


( 石井 一志 )
2008/05/07 19:28

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.