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日立、2007年度連結決算を発表-情報通信システムは大幅な増収増益に


中村豊明執行役専務
 株式会社日立製作所は5月13日、2007年度連結決算を発表した。

 売上高は、前年比9.6%増の11兆2267億円、営業利益は89.3%増の3455億円、税引前純利益は60.5%増の3247億円、当期純損失はマイナス581億円の赤字となり、前年に引き続き最終赤字からの脱却はならなかった。

 同社中村豊明執行役専務は、「3月14日に公表した数値では、営業利益を3000億円としていたが、情報通信システム、電力・産業システム、高性能材料の各事業部門の収益改善により、3455億円と上回った」とした。

 国内売上高は前年比6%増の6兆4844億円、海外売上高は14%増の4兆7422億円。海外では北米が前年比3%減の1兆237億円となったが、アジアでは17%増の2兆1671億円、欧州では24%増の1兆738億円と2ケタの成長を遂げた。その他地域も30%増の4774億円となっている。海外売り上げ構成比は前年の41%から42%に拡大した。


2007年度の業績概要 事業部門別の売上高 事業部門別の営業損益

情報通信システム部門の状況

ハードディスクドライブ事業の状況
 情報通信システムの売上高は前年比12%増の2兆7611億円、営業利益は92%増の1161億円。

 そのうち、ソフトウェア/サービスの売上高が14%増の1兆3086億円、営業利益が28%増の1076億円。内訳はソフトウェアの売上高が13%増の1734億円、サービスの売上高が15%増の1兆1352億円。

 一方、ハードウェアは、売上高が9%増の1兆4524億円、営業利益は前年の赤字から黒字転換し、84億円となった。内訳は、スレトージの売上高が13%増の8687億円、サーバーは5%減の884億円、PCは31%減の482億円、通信ネットワークは12%増の1333億円となった。

 金融機関向けの大口案件があったことで売上高、営業利益とも好調となったほか、ソフトウェア/サービス部門ではシステム運用管理ソフトJP1などのミドルウェアや、アウトソーシング事業およびコンサルティング事業が増収。さらに、プロジェクトマネジメントの強化が収益に貢献したという。

 また、ハードウェアでは、ハードディスクドライブやディスクアレイシステムの増収に加え、通信ネットワークやATMが増収になった。さらに、サーバーにおけるBladeSymphonyの拡大効果も出ているという。

 懸念となっていたハードディスクドライブ事業において、構造改革の成果が出はじめているのが明るい材料。下期から2四半期連続で黒字化しており、「4月からの第2四半期も黒字でスタートしている。ヘッド・メディアを中心にしたコスト削減施策効果、競争力のある新製品のタイムリーな市場投入など成果が出ている」(中村執行役専務)とした。


 全社業績の営業利益が3月14日公表値に比べて上回っている理由のひとつに、情報通信システム部門の営業利益の拡大がある。

 中村執行役専務は、「前半に比べて、後半は収益性が低い案件が増えてきたこと、事業部門が堅く見ていたこともあった。最後に、小さな案件などが積み重なった。内部を締めすぎた反省がある」などとした。


 一方、情報通信システム部門以外の業績では、電子デバイスの売上高は前年並の1兆2935億円、営業利益は18%増の540億円。電力・産業システムの売上高は前年比18%増の3兆5681億円、営業利益は280%増の1384億円。デジタルメディア・民生機器の売上高は前年並の1兆5046億円、営業損失はマイナス1099億円の赤字。高機能材料の売上高は前年比4%増の1兆8750億円、営業利益は7%増の1410億円。物流およびサービスの売上高は前年比5%増の1兆2714億円、営業利益は38%増の278億円。金融サービスは売上高が前年比11%減の4454億円、営業利益は8%増の254億円となった。


2008年度の業績見通し

事業部門別の見通し
 また、日立製作所では、2008年度の業績見通しを発表した。

 2008年度の売上高は、前年比1.1%減の11兆1000億円、営業利益は10.0%増の3800億円、税引前純利益は1.6%増の3300億円、当期純利益は400億円とし、黒字転換を図る。

 中村執行役専務は、「営業利益見通しは、2007年度を当初の3000億円と想定した上で、20%以上の成長目標として3800億円を掲げたもの。本来ならば、実績が3455億円となったことで上乗せしたいところだが、為替の影響や原材料費の高騰、金融市場の混乱の影響などもあり、3800億円を据え置いた」と説明した。

 情報通信システムの売上高は前年比5%減の2兆6200億円、営業利益は29%増の1500億円。

 前年度の大口案件の反動があることで売上高は減少すると見ているが、ハードディスクドライブ事業が黒字基調に転換したことで、営業利益の拡大を見込んでいる。

 情報通信システムのうち、ソフトウェア/サービスの売上高が6%減の1兆2300億円、営業利益は7%減の1000億円。ハードウェアは売上高は4%減の1兆3900億円、営業利益は495%増の500億円としている。

 電子デバイスは、売上高が3%減の1兆2600億円、営業利益は20%減の430億円。電力・産業システムの売上高は前年比4%増の3兆7000億円、営業利益は1%増の1400億円。デジタルメディア・民生機器の売上高は前年比1%増の1兆5200億円、営業損失は約750億円改善するものマイナス350億円の赤字。高機能材料の売上高は前年並の1兆8700億円、営業利益も前年並みの1410億円。物流およびサービスの売上高は前年比11%減の1兆1300億円、営業利益は21%減の220億円。金融サービスは売上高が前年比8%減の4100億円、営業利益は14%減の220億円とした。



URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  2008年3月期 決算の概要
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2008/05/0513.html


( 大河原 克行 )
2008/05/14 00:01

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