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Informatica Data Quality
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代表取締役社長の内田雅彦氏
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インフォマティカ・ジャパン株式会社は5月23日、データクレンジングツール「Informatica Data Quality」を、2008年第3四半期にも国内市場へ投入することを明らかにした。同日開催されたプレス向けセミナーの中で、同社の代表取締役社長、内田雅彦氏が言及したもの。
Informatica Data Qualityは、米Informaticaが買収したSimilarity Systemsの技術をもとに開発された製品で、これを用いると、社内の異なる部門で利用されているデータの表記を統一し、標準化を行えるようになる。内田社長は、「データ統合をしても、“汚れた”データをそのまま利用していると、複数の個所にそのデータが配布されてしまう。統合時にきれいにするのは重要なことだ」と指摘。「データクレンジングの市場はニッチだが、データ統合とあわせて利用することで、広がりが期待できる」とした。
また、同社の買収は2006年の初めで、国内での展開開始までにかなりの時間がかかっていることについては、「日本市場へ持ち込むのにあたって準備期間をかなりかけた。日本の住所はカンマもなければ1本につながった文字の固まりであり、分解してきちんと正規化していくのは大変。また『斉藤』という名字も異なる表記がたくさんあり、どこまでチェックをかけたらいいのかなど、専門的な知識と経験がいる。日本のベンダーと協業して品質を高めている」と説明し、十分な品質で国内企業に対しても提供できることを強調している。このInformatica Data Qualityは、Informatica Release 8.6の中で提供される。
また、同じクレンジングエンジンを別の用途にも提供するという。例として、SAP向けに提供される「Data Quality for SAP Point of Entry」を紹介。氏名・住所などの入力時に辞書と照会し、問題がありそうな場合にユーザーへ注意を促すことで、データ入力段階での品質を向上させられるという。「品質はなるべく前の段階で高めていく、エントリー時にきれいにしよう、という発想だ」(内田社長)。
あわせて内田社長は、「クレンジングというと名寄せに偏りがち。しかしエンジンはどんなデータでも等しく扱えるので、海外では住所、顧客名、企業名のマッチング用途は実は半分くらい。例えば、製造業でのパーツ表記の仕方といった、多岐にわたる活用法が見込める」とも述べている。
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ICCの概念
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なお同社の販売実績は、これまでは約6割は金融業だったが、2008年は、製造・通信・サービス業など業種が多岐にわたるようになった。これまで金融業界が多かったのは、「業界の統合再編と規制強化の流れの中でシステム再編を行い、データ量が多いからツールを使う必要があったため」(内田社長)。今では、通常のSIの中でデータ統合が注目されていることから、特定の業界に依存しなくなったという。
「ここ最近、企業でのサービス指向の取り組みが増加しているが、その中で最初にぶつかる障害がデータハンドリング。構想の段階でアプローチしても難しいが、ある程度デザインを始めるとここで悩んでいることが多いので、そうした顧客へ“はまって”いる。また、既存顧客が同じツールをほかのシステム展開に使えないか、という発想が増えているほか、大手ベンダーがデータ統合ベンダーを買収し、ツールを持ち始めたことで、市場が大きく広がった。案件では必ず競合になるが、データ統合一筋にやってきた当社は強みをストレートに出せている」(内田社長)。
またインフォマティカでは、以前よりICCという概念を提唱しているが、2008年も引き続きこの啓発に努めていく。ICCとは、業務・情報系のシステム統合にかかわる企業内すべてのリソースを集約し、そこがシステムのアーキテクチャを決めていけるようにする、企業横断的な取り組みのこと。同社では、このICCへの理解を深めてもらうため、「会員制だけれども、広く門戸を開いたフォーラム『ICCフォーラム』を7月下旬に開催するとともに、ICCを引っ張っていく知識やコンピテンシーを持った技術者に対し、有償のオープンセミナー『ICCマスター』を開催していく」(内田社長)予定になっている。
■ URL
インフォマティカ・ジャパン株式会社
http://www.informatica.jp/
( 石井 一志 )
2008/05/23 18:51
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