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日立・古川社長が経営方針の進ちょくを説明、情報基盤事業のグローバル化を推進


日立の古川一夫社長

安定的な高収益構造の構築を目指す

社会イノベーション事業の伸長
 株式会社日立製作所(以下、日立)の古川一夫社長は5月26日、経営戦略である「協創と収益の経営」の進ちょく状況について説明した。

 同戦略は、古川社長が社長就任以来掲げてきたもの。古川社長はこれまでの取り組みを振り返り、「3年目に突入した『協創と収益の経営』においては、これまで種々の改革を進めてきた。2006年度には、電力海外不採算案件における対策が完了し、昨年暮れには、液晶ディスプレイ事業において松下電器、キヤノンと協創を行い、新たなステップに踏み出した。さらに、ハードディスク事業の構造改革が加速し、黒字化のめどがたった。だが、薄型テレビ事業は、製品高付加価値や構造改革の推進に向けた対策を実施中。2007年度業績では、2期連続の最終赤字となった。2008年度は、営業利益で3800億円、最終利益で400億円を必達目標とする」とした。

 日立が取り組んでいる「協創と収益の経営」では、経営基本方針として、「マーケットインを貫き、利益の創出に徹すること」を掲げ、安定的な高収益構造の確立を目指す。

 また、基本施策として、「FIVに基づいた管理徹底による高収益経営」、「安定的な高収益構造の構築」、「高収益化に向けたイノベーションの創出」に取り組む。

 今後の重点施策として、社会イノベーション事業のグローバルな成長の加速、利益を伴う成長を支える堅固な経営基盤の強化、グループ総合力による環境価値の創造に取り組む。とくに、グループ全員活動として、「基盤強化08-09」を推進し、資材費の低減により年間約3000億円、間接費のさらなる低減で年間約150億円などの削減を目指す。

 古川社長は、「2009年度の営業利益率5%の必達とともに、2010年度以降で海外売上高比率を50%に引き上げる」との姿勢を示した。

 「5%は必ずしも満足できるものではないが、ここ数年、お約束した数字を守れていない。5%は最低限のものとし、きちっと税引き前利益を出し、きちっと配当することを課したものである。規模を追わず、収益を追う」とした。


情報基盤事業の重点方針

高付加価値化を進めるとともに、グローバル展開も推進する
 一方、ITプラットフォームやシステムソリューションによる情報基盤事業では、2005年度に営業利益率5%、2007年度には、2009年度目標としていた7%を達成。さらに、2009年度には、当初計画通り、営業利益率7%を維持する計画を示した。

 「あらゆるところに情報基盤が広がり、情報量激増への対応ニーズが急増しているのに加え、増大するIT機器およびITシステムに対する環境/省エネ対応が必須となっている。こうした市場動向を背景に、知的創造社会に向けた高付加価値化、強い製品・サービスを核にしたグローバル展開、モノづくり強化による高収益体質化を図る」とした。

 情報基盤事業では、プラットフォーム(ハードウェア)、システムインテグレーション、アウトソーシング(サービス)の3つの領域に分けて説明。「プラットフォームでは、収益が厳しくなり、これを打破するにはグローバル展開しかない。ストレージ事業を筆頭にグローバルにシェアを引き上げていく。また、システムインテグレーションはローカルなビジネスが多いが、大型案件が一服しており、これは2009年度も同様だろう。コンサルティングによる上流からの付加価値展開を強化するとともに、上流からの事業を、日本だけでなくグローバルに広げていきたい。一方、アウトソーシングは、インドや中国のアウトソーサーを利用するなど、グローバル化が重要なポイントになる。形は異なるが、どの領域においてもグローバルオペレーションが重要になる。情報基盤事業の営業利益率は7%だが、より高い収益性を目指したい」とした。

 古川社長は、コンサルタントの人員体制を、2007年度の2170人から、2009年度には3500人に増大する考えを示した。


環境対策についても取り組む
 環境対策では、「環境に配慮したクールデータセンターが注目を集めているが、サーバー、ストレージ、ネットワークといった機器を省電力化しても、データセンター全体の省電力化はできない。空調システム、電源システム、付帯設備の省電力化によって達成できるもの。日立は、総合電機メーカーとしてこうした技術をすべて持っており、データセンター事業においても、コングロマリットプレミアムとしての強みを生かせる」と述べた。

 なお、ハードディスク事業に関しては、高付加価値製品、低コスト製品の早期市場投入やグローバル規模での構造改革などにより、2四半期連続で営業黒字を達成したこと、2008年度も黒字化していることをあげ、「競争力のある製品をタイムリーに投入し、2008年度通期でFIV黒字化を目指す。今後の日立のグローバル化をけん引していく事業として大きく育てていきたい」とした。

 古川社長は、ハードディスク事業に取り組んでいる意味として、「日立にとってハードディスク事業はコア事業である。この2年間に徹底して関与してきて感じたのは、テクノロジーオリエンテッドな製品領域であること。研究開発成果を、いかにいち早く製品化していくかがポイントとなる。それによって確実に勝てる事業であり、日立にふさわしい事業である。また、コンピュータ向けのストレージビジネスを健全に拡大していくには不可欠なビジネスであること、そして、研究、開発、製造、販売、保守まで一貫したグローバル体制を構築しているという点では、日立のなかで唯一の事業であり、グローバル化という意味では重要なビジネス」と説明した。


ハードディスク事業では、2四半期続けて黒字化を達成した 事業構造改革は計画通り推進された。主力セグメントへの開発リソース集中などの取り組みも進める


URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2008/05/0526.html

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( 大河原 克行 )
2008/05/27 00:00

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