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Googleらが始めた省エネ推進団体・CSCI、グリーンIT推進協議会と提携

The Green Gridとは補完関係

 コンピュータのエネルギー効率向上をめざす消費者、企業、政府機関などによって構成される省エネ推進団体・Climate Savers Computing Initiative(以下、CSCI)は5月28日、グリーンIT推進協議会と省エネ活動で協力することで合意した。両団体は今後、気候変動対策への取り組みについて、会員同士の情報交換や国際的なイベントでの協力などを行っていく。


一般消費者も参加できる国際的な省エネ推進団体・CSCI

CSCI代表を務めるIntel、エコ・テクノロジー推進本部長のローリー・ワイグル氏

IntelとGoogleが発足。そのほかの理事会員企業

5段階のレベルを設定。それぞれに参加条件を定めている。省エネ製品の製造・積極的購入といったそれらの条件により、CO2排出量の削減に貢献する
 CSCIは、2007年に米Intelと米Googleによって発足された省エネ推進団体。PCやサーバーといった機器レベルでの省電力化を目標としており、「新規PCおよびサーバーのエネルギー効率向上のための機能、電源管理機能の開発・導入・利用促進が主な活動内容」(CSCI代表を務めるIntel、エコ・テクノロジー推進本部長のローリー・ワイグル氏)という。

 もともとは、企業の温室効果ガスのCO2排出削減の計画とその実施を行っていく、WWF(世界自然保護基金)の「Climate Savers Program」から派生した取り組み。絶対量での排出削減目標を掲げるとともに、第三者機関による認証を行うことで高い透明性を確保しているのが特徴としている。

 理事会員および創設メンバーには、Intel、Googleのほか、Dell、EDS、HP、Lenovo、Microsoft、ならびに米国の電力会社であるPacific Gas and Electric Companyなどが名を連ね、参加企業はすでに200社以上を数える。メンバーのレベルを、「ボードメンバー」「スポンサー」「アソシエイト」「アドバイザー」「アフィリエイト」と5段階に分け、一般IT企業からベンダ、政府機関など広く参加を募っている。ワイグル氏によれば「参加するためには、CSCIからの招待が必要となる場合もある。特に運営・統括を担うボードメンバー、スポンサーは厳しい基準で厳選している」という。

 CSCIの取り組みでユニークなのは、ベンダやIT企業だけでなく消費者団体、さらには一般消費者も参加できる点だ。ボードメンバー、スポンサー、アソシエイト、アドバイザー、アフィリエイトそれぞれのレベルに参加条件が定義されており、例えば、主にベンダが属するアソシエイトでは、CSCIが定める基準に沿ったPCとサーバーの製造に取り組むこととしている。一方、消費者団体や一般消費者が参加できるアフィリエイトでは、CSCIが定める基準に沿った製品を積極的に購入し、電源管理ポリシー、電源管理機能などを活用するよう促している。

 省エネ技術の普及を進めるとともに、こうした会員の省エネ製品の製造・購入を促進することで、環境問題に取り組むのがCSCIというわけだ。ワイグル氏は「これにより、世界中のPC・サーバーからのCO2排出量を、2010年までに年間5400万トン削減する。これは1年当たり、1100万台の自動車が路上から姿を消すのと同等の効果」としている。

 これまでの活動としては、パワーサプライワーキンググループによる電力効率化目標を設定し、電源効率の測定手順として「80 Plus」というものを公開している。さらに、省エネ性能の高い製品300点を掲載したカタログを発行し、「メディアなどを通して着実と認知度を向上している最中」(ワイグル氏)という。今後は、マザーボード効率の測定手順を策定するほか、政府関連団体との協力関係強化などに努める方針。


グリーンIT推進協議会と提携で、省エネ化をさらに進展

 一方のグリーンIT推進協議会は、経済産業省、社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)、IT・エレクトロニクス関連の業界団体が主体となって、2008年2月に発足された日本の省エネ推進団体。同協議会の会長には、シャープ会長の町田勝彦氏が就任しており、副会長に、日立会長の庄山悦彦氏、NEC社長の矢野薫氏、NTTデータ相談役の浜口友一氏、東京海上日動火災保険相談役の河野俊二氏らが選任されている。

 日本政府が地球温暖化対策の一環として取り組んでいる、2025年にCO2排出量の半減をめざす「CoolEarthエネルギー革新技術計画」と連動し、環境負荷低減のための啓発活動、革新技術の提案、IT/エレクトロニクス技術による省エネ効果の調査・分析などを主な活動内容としている。

 今回、CSCIとグリーンIT推進協議会が提携することで、さらなるグリーンITの進展をめざすのが狙いだ。5月28日にグリーンIT推進協議会が行うレセプションにて両団体の調印式が行われる。


The Green Gridとは補完関係

 ところで、CSCIとよく似た団体にThe Green Gridがある。こちらの発足企業にもIntelは名を連ねており、DellやHP、Microsoftなど主要メンバーもかなり重複している。この2つの団体は何が違うのか。

 ワイグル氏は、「ひと言でいえば、補完関係。The Green Gridが、データセンターのファシリティ全体を対象にして省エネ活動を行っているのに対し、CSCIはPCやサーバーなど機器単位での省エネ化を目的としている。例えばデスクトップPCでは、起動の間に約50%の電力が無駄に熱変換されており、電力の非効率さが問題となっている。CSCIではこうした問題の解決に取り組んでいる。またCSCIの場合、対象はITベンダから一般消費者まで幅広い。こうした点でも補完し合う関係」と説明している。



URL
  Climate Savers Computing initiative(日本語)
  http://legacy.climatesaverscomputing.org/

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  ・ データセンター効率化に取り組むThe Green Grid、日本での活動を開始(2008/05/28)


( 川島 弘之 )
2008/05/28 19:35

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