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日本オラクル、SOA実現を加速する「AIA」の今後の方針を明らかに


米Oracle、アダプティブ・ビジネス・ソリューション・グループ 開発および戦略担当バイスプレジデントのホセ・ラザレス氏

AIAのコンポーネント
 日本オラクル株式会社は5月29日、SOA(サービス指向アーキテクチャ)構築フレームワーク「Application Integration Architecture(AIA)」に関する記者説明会を開催。米Oracle、アダプティブ・ビジネス・ソリューション・グループ 開発および戦略担当バイスプレジデントのホセ・ラザレス氏が、AIAの現状と今後の方針などを説明した。

 AIAは、2007年に発表されたSOA構築のためのフレームワーク製品。「Oracle Fusion Middleware」を基盤とし、ERPやCRMなどのOracleアプリケーション同士を接続するためのビジネスプロセス群「プロセス統合パック(PIP)」、PIPの中から汎用的な要素だけを抽出してパッケージにした「ファウンデーションパック(FP)」、業界別のベストプラクティスをあらかじめ定義した「ベストプラクティスプロセス」などのコンポーネントから構成される。

 簡単にいえば、SOAを迅速に低コストで実現するための製品だ。

 SOAという考え方が生まれ、サービス・機能単位でのアプリケーション統合が可能になったが、当初、期待されたほど導入は進んでいないのが現状。その主な原因は、SOAを本格的に採用しようとしたら、データモデルの作成やサービス粒度の検討、システム連携ロジック、ビジネスプロセスの構築など、ユーザーに大きな負担がかかり、それが障壁となっているためだ。

 AIAでは、こうした手間をあらかじめアーキテクチャの中に盛り込むことで、導入にかかるコストを大幅に抑えてSOAを実現可能。例えば、受注から入金までの流れを想定した場合、あらかじめ必要なビジネスプロセスが定義されたPIPを導入することで、CRMやオーダー管理システムといった必要なアプリケーションの必要な機能の連携が簡単に実現できるのだ。

 さらに、AIAではOracleアプリケーションだけを対象としているわけではなく、PIPをより汎用的にしたFPを用いることで、他社製品との統合も実現できるのが大きな特長である。


 こうした製品の特性を考えると、ビジネスプロセスを定義したPIPをいかに豊富に提供できるかが、AIAの価値を決める1つの指標といえる。2007年4月のAIA発表以来、Oracleでは、同年7月・9月に立て続けにPIPを発表し、統合できるビジネスプロセスの幅を広げてきた。主に全業種共通で利用できる「統合バリュー・チェーン・プロセス統合パック」と、業種別に特化した「産業プロセス統合パック」の2本柱でPIPを展開しており、現在「見積もり」「受注から売り掛け回収」などの15のビジネスプロセスパックが提供されている。

 ラザレス氏は「この1年で、どのようにやるかは何をやるかと同じように重要であるということがよく分かった。顧客はOracleにアプリケーション統合に関する大きな期待を寄せている」と発言。その上でAIAが成功するために必要な注力事項として、「まずはPIPやFPを拡大していくことが重要」とし、2008年・2009年の具体的な方針を明らかにした。

 具体的にPIPに関しては、「マスタデータ管理」「新製品発表」といった全業種共通ビジネスプロセスや、小売店・ファイナンスなどを対象にした産業プロセス向けのものを投入。FPに関しては、新企業のオブジェクト&サービスを定義し、レポジトリとユーティリティを強化した「FP 2.1」、産業向けFPとなる「FP 2.1.1」、「Oracle 11g Service Component Assembly」にも対応する「FP 3.0」などを順次提供していく予定という。

 また「パートナーとの協力も不可欠」とラザレス氏。OracleとSIerが連携してニーズに応じたPIPを考える「戦略的SI共同開発」、特定の産業の特殊なニーズに応えるためにFPなどを使ったソリューションを創造する「AIAセンター・オブ・エクセレンス」といった施策に注力していくとした。


現在提供されているPIP FP投入のロードマップ 2008年・2009年注力のパートナー戦略


URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/

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( 川島 弘之 )
2008/05/29 17:06

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