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アジア太平洋地域担当CTO マット・コロン氏
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米Juniper Networksでは、同社の基幹技術にOS「JUNOS」を位置付け、さまざまな局面でJUNOSの価値を訴求しているが、そのJUNOSをベースに、カスタマイズ用のSDKを提供する試みも開始された。アジア太平洋地域担当CTO マット・コロン氏は、5月28日(現地時間)から、同社がタイで主催したイベント「J-Tech Forum 2008」で講演し、この価値を強調している。
コロン氏が紹介したSDKは、パートナー・顧客向けアプリケーション開発プラットフォーム「Partner Solution Development Platform(PSDP)」の一部で提供されるもの。これを用いると、顧客やパートナー企業がJUNOSにカスタマイズを加えられるようになるとのことで、コロン氏はその価値について、「顧客の中には、当社がやりたくない、もしくはやりたくてもできないことの中に、自分たちのやりたいことがある、という方がいるだろう。一連のツールがセットでそろっており、オープンな当社のプラットフォームの上で、さまざまなことが実現できる」とアピールする。
しかも、そのSDKは「できないものの例を考えるのが難しいくらい何でもでき、価値を高めていける」(コロン氏)ほど。「事例によっては、顧客がパートナーに対してこういったものを開発してくれと依頼することもあろうし、付加価値を付けたものがパートナーから販売されることもあるだろう」とする。
となると、具体的な活用事例が知りたいところだが、まだ進行中のプロジェクトなどについては、詳細を明らかにできないとのこと。その代わりにコロン氏は、「実際の初期実装に関しては社内で盛んに行われているし、JUNOSに関してはさまざまなテクノロジーの統合が何年にわたっても統合が行われているが、それについてはSDKの初期バージョンで行われてきたのだ」と、社内での活用について紹介した。
PSDPに参加している企業自体は、現状では少数にとどまっている。これは、「実装するパートナーに関しては、過剰なほどにサポートを提供している」(コロン氏)ためで、あえて数を限定して、手厚いサービスを提供しているという。SDKの提供以外にも、パートナーが実現したい目的のためのサポートやガイダンスをJuniperが提供し、品質の高いものを作ろうとしているというのだ。コロン氏はこうした方針について、「開発したものが、機能するかもしれないし、機能するかもしれないが、ベースラインを改善するために経験を生かしていきたい。まだその段階にはないが、将来的には、JUNOSのルータに対して好きなことをしたいと思ったら、自由にできるようになるかもしれない」と語った。
なおコロン氏は、JUNOSの特徴について「当社は設立当初からOSだけでなくプラットフォーム全般をオープンにしていこうという方針だったが、それが顕著に表れているのがJUNOS。ルーティングに関してもプロプライエタリなプロトコルは存在せず、当社のルータは、必ずオープンインターフェイスを持ったものからコントロール可能だという特徴がある。SOAPとXMLがその好例だ」とコメント。
また今後の方向性について、「あまり先走って発表したくない」としながらも、「明らかにJUNOSは当社の未来であり、実際に買収した新しいテクノロジーは、やがてはJUNOSに統合されるだろう。今後も、JUNOSプラットフォームへの統合は継続して行われる」との見方を示していた。
■ URL
ジュニパーネットワークス株式会社
http://juniper.co.jp/
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( 石井 一志 )
2008/05/30 08:59
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